アイカツスターズを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月16日
次々と花の終わりを語りつつあるスターズ最終盤、今回は美組筆頭・香澄真昼のラスト・ダンス。彼女が手に入れてきたもの、それを積み上げても届かない頂きの高さを、しっかり確認して未来に繋げるエピソードとなった。
去る者の描写の分厚さと、残るエルザの空疎の対比が残忍
というわけで、真昼の(おそらく)ラスト個別エピとなる今回。前回レイちゃんの歪み自体には嘘をつかなかったように、今回も香澄真昼というキャラクター、その歩みには嘘のない結末を、丁寧に積んでいく形となった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月16日
第91話で繋いだアリアだけでなく、第34話の弟子もちゃんと顔を出したのは良かった。
空手キャラを(少しやり過ぎなくらい)ぶん回し、わりと常勝不敗だった香澄であるが、だからこそ闘争の意味、競う価値に迷う役が回ってくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月16日
第15話で姉との対決=対話をほぼ終わらせてしまった彼女は、作中一番『闘う』ことの意味が掴めないキャラなのかもしれない。そこを補うエピもなかったし。
S4の君臨し、ランキングに選ばれて残りつつ、今更勝敗の意味に迷う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月16日
それはこの最終決戦の概念的な意味合いを、そんなに掘り下げなかったスターズ自身の歩みを、真昼に重ねた展開だと思う。
姉に勝つという目標は、第47話で叶えた。第2期自体が、真昼にとって『余生』だったとは、流石に言いすぎか
過去のエピソードを読み返しても、闘うことの意味は(僕には)出てこない(というのは妥当に思える)。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月16日
だからその答えを探して、真昼は太陽の先にある一番星を目指すことになる。一意専心できない心の贅肉が、僅差の勝負を掴み取らせなかった、とも取れるか。
最終的な点数差も、対手である真昼の世界認識も、エルザを『世界の中心で、全てを覆い尽くす太陽』とは認めない。いつものごとく、エルザの認識と、狭い部屋(つまりママの子宮)の外の価値観はズレ続ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月16日
敗北という形でそれを正されない才が彼女にある…という檻から、彼女の物語は出ない。
負けることを許されず、最終的に負けるためにあるラスボス。彼女の凄みと、人格的な未熟と自閉、歪んだ認知のアンバランスは、エルザ・フォルテというキャラクターにずっとつきまとう。多分、最後まで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月16日
それが彼女の仕事と言われればそれまでだが、それにしたって哀れにすぎる。
仲間、弟子、姉、ライバル。真昼の周りには沢山の人がいて、沢山の関係がある。迷っても正してくれるのは、過去の真昼が他者にしっかり向かい合った結果だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月16日
それは非常に好ましい結果だし、それがあればこそ、真昼は敗北の先に、自発的に目を向けることが可能になる。
そういう真っ当な道は、エルザには用意されていない。作中誰よりも子供なのに、それを指摘してくれる人もいないまま、遠巻きに崇拝され愛され、正されることなく高みに在り続ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月16日
それを『孤独な太陽』で片付けてしまうのは、やっぱり僕には薄情に見える。
エルザのマザー・コンプレックスと、それに起因する人格の未熟、他者との関係性構築のマズさは、あの世界では問題にされない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月16日
真昼が色んな人と触れ合う中、ラスボスたるエルザは独善をいつものように確認して、当然のようにゴージャスなステージで勝つ。もう、圧倒ではない。終わりは近い。
幾度も繰り返されてきた、価値のない勝利。勝てば勝つほど、エルザはほんとに求めるものからも、アイドルとして自分が他者に(半ば暴力的に)与えてしまったものからも遠ざかっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月16日
それを正す存在は、お客さんである四ツ星にも、身内であるVA生にもいない。側近たるレイちゃんが一番ダメだし。
『ドレスが私を強くする』エルザは、孤独で未成熟な太陽として自分を焼いて、『ドレスがみんなを輝かす』ゆめに負ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月16日
その画を強調するためには、エルザは当然孤独で、間違え続けなければいけない。その檻が仲間の接近を阻む、あるいはエルザに頑なな拒絶をさせる物語が、ずっと展開してきた。
その繰り返しが、どうも『やり尽くしていない』感じをエルザと、彼女が背負う二期の物語に与えていたんじゃないかと、今回の空疎な描写を見ていて思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月16日
間違える役。最終的に負ける勝ち役。飾られた玉座を根っこから崩してしまえば、そういう仕事は成り立たない。
でも、そういう歪さに体当りしてぶっ壊して、ゼロから作り上げてあげられる関係性こそが友情ではないか、と僕は思うし、きららとあこ、あるいは真昼と夜空の描写を見ても、恐れず踏み込み、相手の人格を受け入れあるいは壊すことの意味は、このアニメも書いてきた気がする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月16日
そこからエルザが遠いのは、まぁ良い。ただそこに挑む描写もなく、必死に食らいついて本気で拒絶されることもなく、物分りよくエルザを孤独にさせてしまったVAの子たちが、どうにも薄情に見えてしまう運びは、個人的にはやっぱり寂しいな、と感じる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月16日
エルザの独善も孤独も、彼女自身が選び取り、望んで引きこもったものだ。だけど、そこをぶち壊すチャンスは(メタ的な物語構造としても、キャラクター自身の物語としても)、エルザの仲間の前に、あったんじゃないか、と。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月16日
まぁ、結果がこうだから『無い』以外の答えはないわけだけども。
そういうことを、これまで目の前に開けたチャンスを、ちゃんと掴み取って今回のエピソードにたどり着き、それを足場に新しい未来に目を向けた真昼を見ていて感じた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月16日
最後を締めるのが夜空なあたり、彼女というキャラクターの成分表示がよく見える話だったと思う。
香澄家と関係の深い小春も、S4という目標を明言して、未来への道を総括していた。ああ、終わるんだなぁ、という感じがある。皆、歩いてきた道を見つめ直し、一つのエンドマークを描いて、物語から離れていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月16日
そのキレイな仕草が、積み上げた物語を総括しているか。始まりと終わりは繋がっているか。
まどろっこしい修辞疑問を蹴っ飛ばせば、僕の答えは『NO』である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月16日
闘うことの意味、自分たちが走っている物語的レールの存在意義は、もっと断続的に、しつこく細かく問うて欲しかった。ここで急に顔なんて、出してほしくなかった。
問うていたのかもしれないけど、問い方も答え方も、僕には遠かった。
描かれたものを僕がどう受け止め、僕以外にはどう見えるかを推察し、その偏差を調整しようとしてしきれないまま、ここまでズルズル来てしまった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月16日
主観(と僕が受け取るもの)と客観(と僕には見えるもの)が、巧くマッチしない。未熟で不幸だなぁと思う。その主体がどこにあるか、答えはもう出ない。
香澄真昼個人の単位で見ると、過去エピソードをよく見て、その未熟も含めてしっかりまとめた良いエピソードだと思います。エモかったし、収まりも良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月16日
お互いがお互いを見ない決戦も、エルザとの間に摘まれた感情とエピソードの送料を見ると、むしろ誠実だったと思う。
真昼の敗北を前に、エルザは心を揺らされないし、揺らすものかという姿勢を真昼が切り崩すこともなかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月16日
それをゆめが為し得るのか、別の誰かがやるのか、はたまた崩れないのか。そこら辺の予兆として、来週の引退予告はあるのだろう。まぁ、エルザらしい。
アイドルをやっても、アイドルをやらなくても。母を求め手に入れられなかった、当たり前に寂しいただの子供は、本当に欲しいものを手に入れられない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月16日
『アイドル』ってそんなパワーしかないのか、っていうニヒリズムだけは、何がどうあろうと跳ね返してもらう。それはスターズ単品の問題じゃないから
願わくば、ゆめが背負う(ことになるだろう)『アイドル』が、不和とディスコミュニケーションを打破する普遍的なパワーを、しっかり持てるよう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月16日
残り少ない物語とステージを積み上げて、エルザとの決戦を描いて欲しいなと思います。
”夢を君の足元に そっと踏んでほしい 私の大切な夢だから”イエーツ