ダーリン・イン・ザ・フランキスを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月28日
逆行する時間、語られる起源。死せる新世界に唯一残った、旧人類の生き残りが回想する、世界と我々の始原。
なぜ、このようなことになったか。物語開始時よりの疑問が答え合わせを受ける中、人でなし達の恋は、冷たく熱く突き進む。
そんな感じの『APE誕生』といった風情の、過去回想&設定答え合わせ回。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月28日
歪で異質な世界を、説明なく叩きつけられる物語であったので、今回フランクス博士の口から垂れ流される回想は、各視聴者の予測をチェックするような意味合いを、必然的に帯びていく。
全部が全部、分かるわけではないが。
第7話で見た『街』が、まだ人類の形を保っていたことから判るように、ダリフラ世界が現状のようになったのは、超遠い過去、というわけではなかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月28日
事態が動き始めるのは2025年、今からたった7年後である。マグマ燃料を基幹とする技術発達で、人間定義はあっという間に崩れ、環境も激変しているが。
物質文明を支えるエネルギーと、精神文明を変貌させる不死技術。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月28日
APEによってもたらされたマグマ技術は、その両方にアプローチした。フランクス博士は主に後者に関わりつつも、『マグマ技術はどこから来たか』『APEと叫竜はどこから来たか』という疑問には、接触していない。
ので、今回明らかになるのはあくまで『フランクス博士の知っている、世界のあり方』だけだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月28日
それだけで十分、あまりにも変質してしまった作品世界の謎解きには十分ではあるのだが。魅惑の賢雄ボイスでスラスラナレーションされるが、シーン単位でドラスティックに、人間存在が変貌しまくるなぁ…。
マグマ技術により、人間は生老病死の苦しみから開放された。生殖機能を失い、閉じた街の中で老いることなく、平和を享受し続ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月28日
ここら辺の『人間』の生き様は、第10話でゾロメが確認したとおりである。それを知ってなお、パパの愛を問うて答えが返らない彼の、涙がなんとも痛ましい。
都市に閉塞し、わざわざ『コドモ』を製造し戦わせて安寧を甘受する『オトナ』たち。そこにある搾取は、旧世界から引き継がれたものだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月28日
マグマ技術により急速に変化していく人間概念は、金持ちの道楽である。オレンジに染まっていく『街』に住めない貧者は、崩壊していく環境に取り残され死んでいく。
生殖機能を失うことが一般化し、子孫を育むことが違法となる。
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フランクス博士の眼の前で、世界からあっという間にヒューマニティが失われていくが、彼はその変化に対抗するでもなく、同化するでもなく、ただただ究極の生物、生物の究極を追い求めていく。
正しくマッドサイエンティスト気質であるな。
僕らに見慣れた2025年の雑多な景色が、一瞬窮屈なガラス窓と鳥を捕まえる。ミストルティンでよく見た、閉塞感の象徴は未来を予言するように、オレンジの町並みとなり、プランテーションと叫竜に満ちた世界へと変貌していく。風景の変遷は、人間性の変遷だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月28日
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フランクス博士は、ひどく冷淡な表情でその変化を見つめる。自分自身はマグマ不死を拒絶するが、それは明瞭な倫理や反抗に支えられてのものではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月28日
それは彼を突き動かす叫竜の研究、人類の研究と同じく、猛烈な『好み』によって支えられたものなのだ。好きだからやる。あるいはやらない。オタクだ
共に不死研究を行うパートナー、カリナ・ミルザとの初対面にしても、名前や人格よりも先に研究領域が先に出る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月28日
子を為しても良いと思えるほどの好意にも鈍感に、契約の証である婚約届もおざなりに。旧式の『家族』を作る手続きに、博士は全く興味がない。
先週あれだけの熱量で持って描かれた、男女のエンゲージメント。博士とカリナの契約は、窓ガラスに視線を反射させつつ、不思議な片手間の中で行われる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月28日
窓ガラスを巨大な手鏡に使う構図は、第10話、あるいは第15話で描かれた『街と母』を思わせる。
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カリナはフランクス起動実験であっけなく死んで(墓デザインのエヴァっぷりに卒倒しそうになったが)、博士はパートナーを失う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月28日
そのことが彼の孤独を加速させ、人間性を喪失させる…と言うには、カリナ存命時から博士の言動は『人でなし』に見える。無神論者だからね。
博士のパートナーシップはむしろ、グランクレヴァスでだった叫竜の姫に向けられている気がする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月28日
カリナが自発的に伸ばした手を、博士は取らない。叫竜の姫相手には、博士は自分から手を伸ばしている。両方とも、男女のコミュニケーションは破綻する。
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伸ばした手を振り払い、あるいは食いちぎる。入り混じらない青と赤の中で、博士は絶頂する。
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人知を超えた、あまりにも巨大な存在。ずっと追い続けた夢に出会うことで、博士は人間なんぞよりも遥かに興奮するパートナーを夢見る。
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博士が置き去りにした、人間らしい過去。男女の健全なパートナーシップ。あるいは人と竜のコミュニケーション。
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『今』を生きるヒロが、ゼロツー相手にちゃんと目線を合わせ、しっかり手を繋いでいるのとは対照的である。ヒロは『人間』に、興味が深い。
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『コドモ』がオレンジの試験管の中で製造され、スイッチひとつで壊される絵が衝撃的だったが、その起源もまたおぞましいものだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月28日
不死を求めて捨て去った生殖能力を、ロボットの起動キーとして再び取り付ける。生き死にの不思議を、スナック感覚で付けたり外したり。神様気取りであるな。
物質文明を極限化し、不老不死の夢を達成するため、マグマ燃料を搾取する。防衛のために飛び出してきた叫竜を殺すために、コドモを製造し、性を付与する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月28日
APE達の行動は徹頭徹尾利己的で、ロジカルだ。そしてそこからはみ出して勝手に暴れるものに、13部隊はかき乱される。
フトシはカップルを守護する『神父』のロールを、結婚式で選び取った。式が踏みつけにされても、その決意は生きていて。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月28日
彼はココロちゃんをミツルに譲り、失われた尊厳のためにAPEに怒り、堂々と本心を口にする。偉い。オマエは本当に偉い。
APEは嘘と沈黙で以て、子供たちの真摯な問いかけに答える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月28日
第10話冒頭の勲章授与、第7話と第9話のプレゼント。かつて子供たちに与えられた欺瞞の優しさは、既に剥ぎ取られてしまった。
思春期をくぐり抜けて、もう略奪者を『パパ』とは言えない。当然である。
APEはヒロの権利請願を『あーハイハイ』くらいで受け止めてたが、そえはグランクレヴァス攻防戦が終われば第13部隊が死ぬからか、APEの望みが叶うからか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月28日
まだAPEと叫竜の札はオープンになりきってないので、真意は読み切れない。ただ、奴らが卑怯者なのはよく判る。
こっちを向いて目を合わせて、ちゃんとホントの事を言え。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月28日
フトシが吠えた言葉は、大体の視聴者の感想だと思う。フランクス博士の回想にも通じる、人間存在への冷淡さ…というより、自分が『人間』と定義した存在以外への興味の無さ、誠実さの不在。
それは『人間』たる僕らとコドモを苛立たせる。
ヒロの思いを取り次いで、APEとの会見をセッティングしてあげる分、まだ博士は『人間』っぽいのかもしえない。多分、突然変異を起こした実験動物がどこまで行くか、確認したかったからだと思うけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月28日
それでも、一応交渉は可能で、憎しみつつも目を見て話すことは出来る。
APEの仮面が遮るものを、博士はなんとか保持している。マグマ技術によって、変貌していない身体。罪悪感と他者への興味。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月28日
パラサイトが使い捨ての工業製品だと明言されてしまった今、あの世界に我々が知る『人類』は博士一人なのかもしれない。人類代表にしちゃ、悪い意味でオタクすぎるけど。
博士の興味はもう、右腕を奪っていった青い衝撃にしかない。むしり取った髪の毛から生み出した、人造の竜の姫。ゼロツーがどこまで行き着くか見守る視線には、ちょっと親の情と支配が滲んでいる感じもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月28日
遺伝子提供者なのかなぁやっぱ…釘宮病が極まると、人間ああなっちゃうんだなぁ…。
博士はAPEとオトナのサークルからも、感情という病を再発させたコドモたちのサークルからも、遠くて近い場所にある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月28日
今後、コドモのサークルは世界とどう戦うのか。闇の中、孤独に龍穴に挑んだ先陣は、無残に噛み砕かれたわけだが。
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『円』の演出はこれまで幾重にも重なっていて、それは主にゼロツーが『人間』に抱く裏腹な欲望を図示していた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月28日
鬼の気持ちがすっかり落ち着き、目指すべき人間の姿が鮮明になった今、光と闇、現在と過去に別れた二つのサークルの描写は、また別のものを写し取っている。
フランクス博士の回想によって、過去が顕になっても謎のままな、凶暴な隣人。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月28日
叫竜は青くて黒くて冷たい。サークルの触れ合い方を間違えると、腕をもぎ取られる危険な存在だ。それと血の起源を同じくするゼロツー、あるいはコドモたちのサークルが、どう触れ合うのか。
それが最終決戦の行方を、子供たちの運命を決定する、大事な足場だろう。コミュニケーションに失敗すると、血まみれで悶えるハメになるが、さてどうなる
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月28日
地面に横たわる博士が、モロにアダム取られたゲンドウで面白かった。奪われた手が左右逆なのがオタク
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ヒロが前回ラストで感じ取った、APEへの不信と怒り。それは会見によって子供たち全員に共有された。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月28日
フトシは怒り、ゾロメは泣く。道具として作られたとしても、生まれてしまった心と体は勝手に疼き、人間の証明を求め続ける。
そんなモノに興味はないと嘲られても、オレたちには大事なんだ。
そういう現状を確認し、共有していく回かな、と思いました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月28日
世界の成り立ちを確定させることで、子供たちが愛されず生まれ、報われず死んでいくことが『普通』なのだと、残酷に突きつけられた。
オトナが人間性を不死のオレンジに染めたように、コドモも赤心の叫びを世界に突き立てられるか、否か。
クライマックスに向けて加速する物語を前に、孤独と対立は決定的となった。そろそろロボットアニメの時間かな、って感じですが、さてどうなるか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月28日
描くべきものがコドモたちの生き様と、APEと叫竜の伏せ札に絞られてきてますが、残り話数をどう使ってくるか。来週も楽しみですね。
あ、APEとの対立が決定的になって、『巨大ロボット』という武力をコドモらが握り込んでいることに意味がありそうなのは、面白いし大事だと思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月28日
理不尽な抑圧を突破する実行力としての『巨大ロボット』が、ようやくポジティブな意味を持てそうで、『ロボアニメ』になりそうかな、と。
第16-18話で子供らは、生活を育み仲間を慈しむ、ある種『女性的』な解決策に接近し、それは破綻した。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月28日
パパの支援がなければ楽園は維持できないし、親世代が勝手にぶっ壊した環境を生き延びるのは、サークル内部で流通する優しさだけでは足らない。
そこで巨大ロボットという、ある種『男性的』なパワーの象徴が意味をもってくるなら、これは男女の融和を歪に描き続けてきたこの『ロボットアニメ』らしい運びになるんじゃないかな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月28日
まぁ現状、フランクスは奴隷の鎖でありデカい棺なわけだけど。
物語の開始時、セックスはコックピットでバックからズコズコしてロボットを動かすためのツールだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月28日
曲がりくねった物語と表現を抜けて、子供らはその行為の失われた真実を快復しつつある。なら『ロボット』の意味もまた、『セックス』の復権と共に戻ってくると、収まりが良いかなと思う。さてはて