衛宮さんちの今日のごはん を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月1日
殺伐現代異能バトルロイヤルから毒消を抜いて、優しさとメシで埋め尽くしたアニメも、つい開始から六ヶ月!
節目の今回は『衛宮ごはん/ZERO』とも言うべき始原のエピソード。第1話以来の両監督コンテ・演出が思う存分唸る、穏やかで強いお話。
というわけで季節は6月、紫陽花の頃合いである。時間は逆行して、あの家に士郎と若タイガーと切嗣しかいなかった時代、一瞬の夢のような平和が切り取られる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月1日
作画力はブンブン唸り、細やかな仕草を一切省略無しで丁寧に置く衛宮めし作画フル回転である。マジこまけー…。
相変わらず細かいところがちゃんとしてる…というか、ちゃんとしている部分を作品の味わいに活かすのが巧いアニメで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月1日
ブラウン管TV、余ったタネで作ったちびっこハンバーグ、今も昔もはつらつと動くタイガームーブ。丁寧な作りがキャラに実在感を与え、地味な物語に味わいを足す。
噂では四週間分の予算を12分につぎ込んでるらしいリッチさが、最大限に活きて、あの柔らかく温かい世界を維持している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月1日
そういう作品の強さが存分に出る、地道で丁寧な描画だったと思う。料理テーマは必然的に手指がクローズアップされるんで、その仕草の細やかさがリアリティに直結だなぁ…。
今回のお話は士郎が何望んで飯作るか、その根本を静かに描く話であった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月1日
じいさんが喜んでくれるから、人と人をつなげてくれるから、衛宮少年は拙い文字でレシピを書き取り、暗記するほど熱心に学ぶ。
めし単品で足を止めず、それが生み出す幸福を求めて、衛宮めしは始まったのだ。
自由奔放に暴れまわっているように見えて、姉的立場にいるタイガーはそんな士郎をよく見ている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月1日
エプロンボーイ(候補)が自分でレシピを覚えられるなら、補助はいらないから黙る。手数が必要な空気抜きは手伝う。肩の力の抜けた寄り添い方が、元気なキャラ性を落ち着かせている。
あの家で寄り添った三人に、血の繋がりはない。タイガー以外の男衆には結構な悲劇の過去があって、一般的な見方からすれば『かわいそう』かもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月1日
しかし彼らはそういう重たさを弾き返すように、必死かつ丁寧に日常を積み重ね、思いやりを交換し、思い出を繋げていく。
それは切嗣が死んだ後も士郎の心を支え、あの家には新しい客が来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月1日
昔に比べて腕が上がった士郎は、タネを効率よく使い切ってちびっこは出さない。しかしそこに込められた思いは昔のままで、おそらく味の根っこも変わらないのだろう。
現代と過去、2つのハンバーグを描くことで奥行きが出ていた。
細やかな仕草を省略無しで描く現実的な作画と、士郎が夢を語るシーンの画調の対比が、とても良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月1日
それは切嗣の死によって破綻してしまう脆い夢なんだけども、あの儚い水彩を描いたことが士郎の根源にあって、結果現在の賑やかな食卓に繋がっている。淡くても、脆くはない夢想。
衛宮めし自体が、悲惨極まる聖杯戦争に投げかけられた夢みたいな部分があるので、今回切り取られたリアリティとファンタジーの対比からは、不思議なメタ批評意識みたいなものまで、勝手に感じ取ってしまった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月1日
『本編あっての衛宮めし、一炊の夢だけども良いもんでしょ?』みたいな。
後まぁ、飯がちゃんと美味そうなこと、ハンバーグが赤みから焼き上がっていく過程を丁寧に切り取るところは、相変わらず強い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月1日
『食べる』という結果だけでなく、『作る』という過程にも意味とコミュニケーションが満ちてるって作品だから、カロリーぶっこんで食材が食品になる過程描くのは正着よね。
梅雨の湿り気にメランコリーとノスタルジーを載せて、しかしただ過去を懐かしむのではなく、そこに繋がり、だからこそ生まれた新しい光を喜ぶ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月1日
衛宮めしらしい多幸感とポジティブさ、静かな香気に満ちた良いエピソードでした。来月の放送も楽しみですね…一年やるのかな?