シュタインズ・ゲート ゼロを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月14日
神よ、サリエリを憐れみ給え。
死せる天才に、愛情と羨望の入り混じった感情を投げかける真帆。コンプレックスが胸を締め付けても、日常は楽しく弾み、いたわりはお互いを癒やしていく。そして…。
真帆視点で丁寧に、距離を詰め描写を積んでいく回。
というわけでゼロの新ヒロイン、真帆たんの内面とか日常とかがモリモリ積み上がる、半分個別エピみたいな話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月14日
これまでもその人格者っぷりの片鱗は見せていたが、クローズアップでじっくり付き合うことで助手へのコンプレックスとか、作り上げた関係性とか、秘めた強さと優しさとかが見えた。
アバンの切れ味が本当に鋭くて、岡部も知らない"可憐なる天才美少女"としての牧瀬紅莉栖の思い出を、瑞々しく描写していた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月14日
死ぬことが『モーツァルトを聴けない』と定義されるなら、死んだ人に取り残されるのは『ああ、あの子はもうモーツァルトを聴けないんだな…』と、しみじみ実感することなのだ
真帆の記憶の中の紅莉栖は、岡部くんに見せるツンデレ変人ともまた違う、10代の真っ直ぐさと天才を眩しく輝かせる、才能の塊だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月14日
過去紅莉栖の描写からは、輝かしい未来に必ずたどり着けると、心底確信させられるような強いオーラが行動の端々から漂っている。
だからこそ、それが失われるのは痛ましい
真帆が自分をサリエリと位置づけなければ収まらないほど、天才・牧瀬紅莉栖の光は強い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月14日
それに焼かれ、あるいは引き寄せられながら、それでも心底愛おしく暮らした過去を思い出すことで、牧瀬紅莉栖がいない比屋定真帆の現在に実感が生まれてくる。
喪失に苦しみ、後悔に苛まれつつ、それでも前を向いて誰かを守る。未来を掴み取るべく、震える足で立ち上がる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月14日
『お墓参り』をすること含め、第8話の岡部くんと今回の真帆はよく似ていて、だからこそ惹かれ合うのだろう。愉快な日常描写も、そういう実感を視聴者に与えるべく積まれていく。
お掃除軍曹やらパジャマパーティやら、泳ぐ眼と薄暗い部屋と精神安定剤とフラッシュバックゲロで埋まったアニメには、珍しくギャグ&サービスの多い回であった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月14日
それは注目されていなかっただけで、これまでの世界にもあったものだ。しかし岡部くんの限界精神は、笑いや明るさを受け止めきれない。
リーディング・シュタイナーを持たず、牧瀬紅莉栖の不在をあくまで尋常の死として受け止めている(受け止めざるを得ない)真帆は、アマデウスの死んだ世界に慣れざるを得ない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月14日
起こったことは消せない。どれだけ辛くても、死は否定できない。そういう非常な条理を受け入れるために、墓参があるのだ。
レディーボーデン食ったり、オモシロ寸劇でドタバタしたり、オカリンとアキバデートしたり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月14日
そんな日々の積み重ねが、新しい優しさとの出会いが、真帆の心を癒やす。自分を卑下する萌香に怒る優しさが、彼女を誰かと繋げ、誰かとの繋がりが彼女を癒やしていく。
望まずして時の迷い人になってしまった岡部くんは、そういう連鎖から外れてしまったところにいる。孤独で、痛ましく、それでもなお優しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月14日
そんな岡部くんの心象を、真帆がしっかり見抜いて気にかけていたと判るシーンは、あまりの人間力の高さに拝みたくなった。アンタすげぇよ先輩…。
オカリンの抱えてる事情(つまりこの作品の真実)は、オカルトと陰謀説と超科学が混じり合ったトンデモであり、にわかには受け入れがたい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月14日
そういう寝言に当惑するより、"牧瀬紅莉栖の不在"を共有する仲間の顔をちゃんと見て、胸の傷、吐かれるゲロのケアを優先できるのが、真帆なのだ。
メタ的な読みをすると、ここで岡部くんと真帆の間合いを詰めることでお互いの伏せ札が公開され、話が先に進む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月14日
だから真帆は違和感を乗り越えてでも、岡部くんを身近に感じ、その寂しい笑顔にときめく必要がある。デートもギャグも、物語を編み上げるための大事な一手だ。
しかし真帆にクローズアップした今回は、そういう計算をあまり感じさせない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月14日
紅莉栖への複雑な心境含めて、一人間として真帆は強さと優しさと陰りを持っていて、それに従い必然的に岡部くんに惹かれ、体重を預け、あるいは重荷を預かる。キャラの心情に嘘がないよう、描写が積まれている。
それは岡部くんの限界精神を真ん中に据えつつ、その端っこで彼を思う人の優しさ、見落としてる日常の楽しみを拾い集めてきた、これまでの運びあってのことだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月14日
ここまでの描写があればこそ、『まぁ、真帆はそうするね』という納得も生まれる。各キャラの描写を的確に分散し、人数を捌いてきた結果だ。
真帆はデザインも良いし、優しくて頼りにもなる。しっとりした情感を背負いつつも、コメディもやれて親近感もある。唯一"牧瀬紅莉栖の不在"を共有できるキャラでもあって、メインが来る前から好感度は高かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月14日
そんな彼女と、今回のお話は"出会い直す"エピソードなのかもしれない。
気になるあの子が、実はこういうやつだった。驚きと納得を込めて、『なるほど、そういうことなんだね』と実感できるエピソードが、この話数でどっしり取り回される。ただでさえ高かったヒロイン力が、更に上る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月14日
全体の構成としてみて巧い配給だし、単話としての切れ味も鋭かった。
ワキの描写の巧さは今回も健在で、フザケているようで仲間のメンタルケア、社会的経済的支援をガンッガンにやりまくるフェイリスの頼もしさとか、キョーマ大好きっぷりとかよく見えた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月14日
ほんとフェイリスは良く出来た人間で、アキバに留未穂明神とか勧進したほうが良いんじゃないかと思う。拝みたい。
フェイリスハウスでワーワーやるシーンは、今は亡きラボの輝きが戻ってきたみたいで懐かしく、楽しく、ちょっと寂しかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月14日
第三次世界大戦に向けて突き進むゼロでは、ああいうアホバカをやるのはトンデモナイ贅沢で。でも思い返せば、ああいうやり取りは確かにあったのだ。そこに、紅莉栖もいた。
岡部くんと仲間たちが、ゲーゲー吐きながら今後進んでいくのは、そういう風景を取り戻す戦いなのだろう。それが、この世界線の彼らの手には握られないとしても。否、だからこそ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月14日
遠い日の花火のような尊さを、もう一度掴み取るために迷い、走るアニメの背骨として、ああいうアホ描写大事だと思う。
背骨といえば、真帆のサリエリコンプレックスはどう書いていくのかなぁ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月14日
PCが"パンドラの匣"として扱われている以上、そこに残るのは"希望"のはずで、紅莉栖の本心が飛び出してきて真帆のコンプレックスが解消される流れ…になるのかなぁ。
真帆マジ聖人なんで、コンプレックスで曇ってるのは忍びない
真帆は映画『アマデウス』で描かれた、いわば物語的サリエリに自分を重ねて、紅莉栖との距離感を見ている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月14日
しかし史的サリエリは、モーツァルトとは結構いい関係であった。一般に膾炙する思い込みを巧く使う作風を考えると、そこで一捻りすんのかね。
映画『アマデウス』に乗っかったまま進めると、真帆の真摯な愛情が居場所を見つけられず終わってしまうわけで、それは同じ気持ちの岡部くんの救いにもならない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月14日
なにより、ちっちゃくて可愛い真帆パイセンがかわいそうなので、どっかこー、救いのある変化が欲しいねウム。
それは未来の話になるんだろうけど、丁寧に丁寧に真帆のコンプレックスに分け入ることで、『どうにかしなきゃ!』という気持ちは強くなるし、『どうにかします!』というサインも出る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月14日
影をつけて真帆のキャラを掘るだけでなく、それを生み出す紅莉栖の光も強調できるの、巧い描写だったなぁ…。
楽しく楽しく進めて、ラスト五分で不穏なコーナーを曲がり、最後の5秒で一気に引っ張る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月14日
次回へのヒキがとにかく強いゼロアニメらしい終わりだったが、真帆は唐突にトンデモ電波を発信し始めた岡部くんにドン引きなのか、それも含めて受け入れるのか。んーむ、気になるぞッ!
惹かれつつもすべてを預けれない不信感を、岡部くんと真帆はお互い感じてきた。それが今回、ゆったり日常を共有することで氷解しだして、お互い札を表に出して、洒落になれないことが判る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月14日
岡部くんが知ってる"世界の真実"と、真帆が足場を置く"当たり前の日常"のギャップが、ガバッと口を開ける。
ここら辺陰謀モノである強みをキャラのドラマに活用した展開であり、シュタゲでしか出来ないサスペンスだなぁと思う。心理だけでなく、"PCの行方"という具体的な札を添えてあるのが、実感があって良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月14日
寄り添ったと思えば離れていく、心の離心円。二人の関係はいったいどうなるか、来週も楽しみです