ハッピーシュガーライフを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月15日
箱が開く。殺人によって崩れた約束のお城、犯行の残穢によって開いていく記憶の扉。
きれいな天使が何処にもいなくても、もう一度やり直せるから。
一緒に飛び立とう。
希望の未来へ、あるいは遠い遠い、固くて痛い現実の地面へと。
そんな感じの、しょーこちゃん殺人事件アフター。マトモな女の子が一人死んでも世界は続くが、さとちゃんはそれなり以上にダメージを受けて動きが止まり、その静止がしおちゃんの心の扉を開く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月15日
生存を脅かされると記憶が開放されるあたり、動物的な生臭さがあって良い。
さとちゃんはしおちゃんに失われた自分…"おばさん"と出会わず、綺麗で無垢な少女を求め続けてきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月15日
ズタズタに損傷され、しかし諦めきることも出来ないセルフイメージを投影することで、欠損した自我を補充し、生きる喜びを獲得してきた。
その愛は身勝手であり、同時に無私でもある。
あるいはしおちゃんの記憶封印、知能レベルの低下は、保護者であり生活維持者でもあるさとちゃんのご機嫌を取り、餌を持ってきてもらうためのある種の擬態でもあった、かもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月15日
記憶の回復と同時にすごい勢いで語彙が増え、自主性ももりもり芽生えるところが、弱者の戦術を感じさせる。
回想の中で描写/回復されるしおちゃんは敏い子で、どうにかお母さんを維持/回復させようと頑張っている。そこに身勝手な生存欲求を投影している自分も、客観的に認識している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月15日
無私の愛と裏腹な、自己保存のエゴイズム。そのバランス/アンバランスに自覚的だ。
しおちゃんに叩きつけられた拒絶に、この世全てが崩壊するほどダメージを受けたさとちゃんは、そこら辺の区別がついていない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月15日
しょーこちゃんのこと思いの外大事だったから、動けなくなるほどダメージ受けてるのに、しおちゃんだけが世界のすべてだと思いこんで、即座にぶっ殺しちゃう。
おんなじように、さとちゃんに身勝手なイメージを投影し、それを維持するためにお城に閉じ込め嘘をついてきたエゴイズムにも、全く自覚的ではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月15日
ズタズタにされた心が渦を巻いているのに、相手に都合のいい言葉を並べ立て、表情を作るのは忘れない。でも、下着姿のまんまでもある。
しょーこちゃんの殺害が、さとちゃんのアンバランスを暴露し、それがしおちゃんの(歪な)バランス意識を覚醒させる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月15日
愛と自己愛の奇妙なドミノが、バタバタ倒れる回だったと思う。その先にあるのは自由と永遠、あるいは破滅か。まぁろくなことにはならんよな、確実に。
お城の中に閉じこもっていると、お母さんが壊れてしまうので外に出る。空気を入れ替える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月15日
"完璧な天使"ではないしおちゃんは、新陳代謝する人生についてポジティブに考えている。しかしずっとお城で暮らしていた少女は、交通マナーも知らない。
お母さんが"外"に怯えるようになった背景、あのクズ父とくっつく羽目になった原因は、切開するとすんげぇろくでもないことになる気がする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月15日
そこら辺はアニメ化にあたって省略されたのか、原作でも匂わす場面なのか。どっちにしても、お母さんも"外"と"中"、停滞と変化のアンバランスに苦しむ。
生活能力がなく、自分を苦しめる相手にすがるしか命をつなぐ手段がない。ままごとめいたハッピーシュガーライフで窒息しかけなのは、母も子も同じだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月15日
おままごとめいたしおちゃんの家事が、思いの外的確でQOLをちゃんと上げる結果に繋がっているのは、なかなか面白い。
母がしてくれなかった、弱ったヒトへのケア。ご飯を食べさせ、掃除をして、ヒトが生きる状況を維持する努力。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月15日
そういうマトモなものに目が行きつつ、しおちゃんはさとちゃんの殺人を肯定する。自主ではなく逃走の方に、自分の"戦い"を定める。
"マトモ"さは、やっぱ遠いのだ。
しおちゃんのバランス感覚は"マトモ"な社会の法やルール(横断歩道の渡り方とか)と手を繋ぐのではなく、さとちゃんとの関係を一回ぶっ壊し、絶望から再構築させることで、自分を対等な共犯者(伴侶)に引っ張り上げる方向に転がす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月15日
最大限上げて落として上げる。洗脳の手口である。
しかしそれでも、弱い私が行きていくためには最愛の人と共犯する以外にないし、クソみたいな顔のない社会はごはんも愛情もくれはしないのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月15日
そういうシビアな価値感覚が宿っているところも、しおちゃんの大人びた歪みであろう。それを育まないと、地獄で生き延びることは難しかった、というか。
母に捨てられたしおちゃんを、さとちゃんは拾った。養うものと養われる物の関係は、腐ったお城での閉じた共犯の中でいつしか逆転し、さとちゃんはしおちゃん抜きでは生きていけない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月15日
それを確認するのが、自分の生存のための冷たい計算…ってわけでもないのが、なお面倒だ。
しおちゃんもまた、ヒビの入った自分の小瓶を、さとちゃんでみっしり埋めたのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月15日
求め、求められ、愛し、愛される。身勝手な自己投影であり、同時に無私の愛情でもあるような、矛盾と無矛盾に満ちた激烈な関係性の中に、己の充足…愛を見出したのだ。
だから、"マトモ"なら背中を向けるような犯罪にも、”マトモ”な家族の絆にも背中を向けられる。さとちゃんがそうして、しょーこちゃんをぶっ殺して、自分の中に残った"マトモ"さの欠片にぶっ殺されそうになったように。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月15日
ある意味、似合いのカップルではある。生存者、エゴイスト、愛の戦士。よく似てる
そんな二人の類似と癒着を確認し、二人は身勝手さすら許容し合う共犯者へと、関係を進化させた。あとは官憲の手を逃れ、どっか暖かい場所で幸せに暮らすだけだ!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月15日
そんなの、結構"マトモ"なこのお話は許さんだろうなぁ、とは思う。逃げ出した先に、楽園なんぞねぇのさ。
さとちゃんがしょーこちゃん殺害の痕跡を随所に残して、それがトリガーになって記憶が蘇っちゃう流れは、それだけしょーこちゃん殺害がデカかったからか、ネグレクトの再生産に飲み込まれているのか、なかなか判別がつかない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月15日
他人も傷を受けるというところに想像力がないから、殺人も出来るわけだが
大事に守ると口で言いつつ、しおちゃん個人の人格を考慮し、ショックを受けそうな事態を覆い隠す努力はしない。しかたが解らない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月15日
"おばさん"との生活は、子供相手には暴力とかセックスとかにフィルタを掛ける"マトモ"な優しさとは、全く無縁だったろうしね。生活環境の中に、学習対象がない。
そういう地獄の輪廻もひっくるめて、賢いしおちゃんはさとちゃんを突き落とし、抱きしめ、自分が望む"共犯者"という関係を手に入れた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月15日
殺人を隠し通して、自分たちだけ幸せになれますように。
少女が星に願った祈りは、果たして叶うのか。叶えていいものなのか。お話はまだ続く。
しおちゃんを無邪気な天使に押し込めるのではなく、このお話らしいクレイジーなエゴイストであり、ただの人間でもある運びにしたのは、すごく良かったと思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月15日
無原罪なし、逃げ場なし。追いつ追われつの地獄行きドッグレースも、そろそろ佳境。さてどうなるか、次週も楽しみです。