マナリアフレンズを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月24日
長期休暇を前に、ざわつく学院。喧騒の中でこそ、寂しさが、不安が際立つ。いつか来る離別を前に、臆病に震える心。かわされる約束。
いつか離れ離れになるとしても、今はこの揺籃の中で甘い夢を見る。
さあ、明日はどんな日になるだろう。
そんな感じのファンタジック百合やおい、the last Episodeである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月24日
『最後まで自分の武器を信じて殴る!』とばかりに、叙情的な演出とみっちり詰まった感情をぶん回し、露骨婚姻届な同室願いをフェティッシュに物語は進む。
身のある話を(おそらくあえて)やって来なかった物語が、一つの結実に至る。
”同室願い”という物質があればこそ、この短く特殊な味わいの物語がちゃんと終わる実感を手に入れられ、巧い最終回だったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月24日
切なさがたっぷり詰まった再開と出発のラストシーン、あえてアンを映さないのがこのアニメだなぁ、と思う。生命の躍動(エロス)は隠蔽の奥にこそあるのだ。
かなりピーキーなフェティシズム、エロティシズムにディープに潜っていったこのアニメ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月24日
毎週倒錯と活力についていろいろ考えさせられたわけだが、今回は休暇前の喧騒を彫り込むことで、それが去った後の静寂が際立つ構成となっている。夕日のシーンの衣擦れ音響がとにかくエロい!
それはワイワイガヤガヤ騒がしい学園の空気と、喧騒のただ中にいるのに奇妙な孤独と静寂に包まれたグレアが、事前に対比されているからこそ響く音だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月24日
その甘やかな対比は、この作品の到るところに良い美術、良い音響、良い作画で仕込まれていた爆弾であり、今回もよく爆発する。
おっぱい大きいソシャゲ二次元女子が、ガッツリお互いの目を見た(見すぎた)感情を常時くゆらせる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月24日
もっとジャンクで食べやすい作りにしてもいいのに、徹底的に強火で煮込み、ソースに妥協はなかった。場末の定食屋で、本格フレンチが出てくるような意外性と喜び。
それもまた、このアニメ独特の味わいであり、過剰な”力み”を短い尺に蕩尽するデカダンスを際立てもした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月24日
様々な意味合いで捻れ、しかしその倒錯をあくまでソシャゲ的なライトなパッケージを崩すことなく届ける。軽く噛んでも、深く味わっても、どう食べても美味しい。
そういう二段仕込でアニメ作るのけっこう大変だと思うが、最後まで怠けず走ってくれた。感謝である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月24日
今回は最終話ということで、学園というシェルターの終わり、去りゆく幼年期、籠の中だからこそ弄れられる性愛についても、強い視線があった。
学園というアジールを抜ければ、二人は国家を背負う”公女”である。責務が背中を追いかけ、その(性的)身体は己のものにはならない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月24日
戦略として結婚し、兵器として子供を生むことを期待されるプリンセスたちは、しかしこの学園で運命として出会い、二人になってしまった。
その夢が覚める妄想に、グレアは震えて足を止める。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月24日
その夢を少しでも引き伸ばすために、アンは公的制度を最大限活用する。
同性愛を巡るファンタジーとリアルの綱引きが、密閉された手紙を中心にぐるぐると回り、いつか終わりを約束された永遠は画面の外側で、永遠に続いていく。
(と言い切るには、神撃のバハムート本編という”外部”が厳密にある所が、なかなか難しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月24日
自分はゲームの方をさっぱり触っていないので、このアニメで描かれた閉鎖した永遠が正当性のある旋律なのか、はたまたパラレルに展開する不協和音なのか読みきれないのだ。)
(しかし、たっぷり注ぎ込まれた予算を蕩尽し、ハイクオリティに女と女の感情と視線を追ったこのアニメが描いたものは、やはり単独に存在もしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月24日
僕がこの1クール見てきたものは幻像であり、また真実でもあるのだろう。だから、二人が震える”終わり”は来ない。)
永遠に山も谷もない、シリアスさも公の圧力もヘテロでいることへの強要も襲いかからない、壮大なスケールの揺り籠。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月24日
そこで微睡むことが逃避なのか、いつか羽ばたくための休息なのか、真実の愛に出会った運命なのか。多分、このお話はそういうことを(あんまり)考えない。
重要なのは、みっしりとした質感を宿した肉体が二つそこにあり、ぶつかりあって魂が燃え、微かに傷つけ合うことで愛を滴らせる”今”の諸相。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月24日
その超瞬間主義もまた、デカダンスかつエロティックで好きなのだ。10分形式だからこそ生まれた、奇っ怪な捻じれだと思う。形式と内実の共犯は”特長”だよなぁ…
ぶっちゃけこのアニメ、ずーっと二人の女の感情しか追っかけていない。なんか事件っぽいもの、あるいは視聴者サービスらしきものが現れたとしても、それは二人の目線を描くためのキャンバスでしかなく、画題は常に『女と女』である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月24日
10話、様々な季節、様々な道具立てでそれを書ききる。
それに特化したアニメであったし、その一点突破作戦は大成功でもあったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月24日
ハイクオリティな作画に美術、音響を惜しげなくつぎ込み、益体もない思春期の戯れを描く。一瞬燃え盛る夢を本気で描けばこそ、それが永遠になりうるかもしれない可能性も輝き出す。
同時にそれが、儚く揺れる灯火でしかないことも、切ない演出の中で丁寧に追われた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月24日
今回の最終話は、永遠と一瞬の間で答えを出さない。『同室届』が学園を出る未来、”公”に少女たちが取り込まれる運命に無力なのか、無敵なのかは描かない(10分外伝である以上、描けない)
その矛盾した2つの顔が、女性同性愛を描く筆先に非常にマッチしていて、僕はとてもいいな、と思った。綺麗だし、嘘がない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月24日
(この結語は、『百合は儚くなきゃ、美しくなければ意味がない』という意図は当然ない。タフで荒々しい百合も、当然素晴らしい。ただファンタジーを綺麗にすくい上げたと思う)
というわけでマナリアフレンズ、非常に面白かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月24日
油っぽいお肉描写に拘った序盤は正直、色々警戒もしたけども、だんだん『濃厚な感情スープを徹底的に煮出す…それだけだ!』という眼目が理屈ではなく魂で理解って来て、どんどん好きに為りました。
『”女と女”をやる。あと巨大建造物とファンタジーの諸風景』という覚悟は、異常なパワーの作画に裏打ちされてとにかく”本気”で、毎週たっぷり味わうことが出来て幸せでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月24日
やっぱな~…キッチリ仕上げられたファンタジーを摂取すると、肝臓の働きが確実に良くなるんだよなぁ…(幻想健康法信奉者)
尻尾を性器、あるいは感情の表現器官として活用する演出を始め、文法を抑えつつ新たなエロティシズムに踏み込んでいく表現の鋭さも、非常に良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月24日
借り物ではないエロさをちゃんと追求し、アンとグレアのパーソナルな性的遊戯空間、そこに籠もる吐息の熱量をちゃんと叩きつけたのはマジ偉い。
アンとグレアが活きる動物としてお互いを強く求め、それが性欲に結実している躍動が、直接的な行為とは上品に距離を取る間合い感覚含め非常に良かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月24日
”友情”とか安全圏でスカしてんじゃないよ…そこに張り詰めた双丘があるでしょうが!!!
最初はオタク好みにシチュエーションをダラダラ垂れ流す、肌色環境映像なのかなぁとも思ったんですが、直言しないながらもオリジンをちゃんと彫り、出会いの過去、運命の未来、心突き動かす愛の今をしっかり書いてくれたのも、とても良かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月24日
物語は、キミの想像力で編め。正調ファンタジーよね
トーンを抑えたリアル目の色彩、圧倒的な風景の作り込みは、そこで踊る感情のリアリティにも繋がっていたと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月24日
それが蕩尽される一瞬の夢だとしても、宿った鼓動は本物だから。虚と実の間を行ったり来たりする表現は、女性同性愛というテーマとしっかり噛み合っていたと思う。
ホント初報段階ではこんなにエロティックでフェティッシュでデカダンスな話に仕上げてくれると思ってなくて、期待してなかったところをガッツリくすぐられ、ありがたい限りでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月24日
こういう方向でエロいアニメ、もっとやんねぇかな…”金を持て余したサイゲの遊び”だからこその、奇跡のような夢、か…
でもそれは、綺麗で優しい夢だ。思春期の不安に踊りながら、近づいては離れ、口づけしては引き剥がされる二人の恋。その戯れを確かな視座、豊かな筆で描いた、とても良いアニメでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月24日
とても面白かったです。お疲れ様、ありがとう。