さらざんまい を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月18日
欲望という名の電車が、少年の顔で浅草を走る。
弟のために作り上げた、女の装い。兄のために積み上げる、麻の香りの悪徳。ダンボールの中、秘めたミサンガとキス。
空疎な繋がり、搾取される欲望、暴かれる秘密。アヴァンギャルドな景色の中に、微かな哀しみが浮かび、消える
そんな感じのさらざんまい第二話!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月18日
第一話のぶっ飛び第一宇宙速度よりかは、ちょっとアクセル緩めてくれた気がする…わかりやすかった気がする!
多分気のせいなのだが、まぁそんな感じだ。
サラを被った三人が何をダンボールに隠しているか、そこにどういう体温が宿るか。何が好きで大事か。
それがくっきり見えたのが、相変わらずワケわかんねぇマジックリアリズム浅草の物語が食いやすかった理由ではないかな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月18日
皆、愛に溺れ愛に歪んでいる。無邪気な時代を終えて、犯罪や欺瞞や悪徳に身を染める頃合いの、恐るべき子供たち。しかしその奥には焼け付くような純情があって…。
『釘宮声の弟も出たし、いつものイクニだな!』って感じ。まーじみるん王子”無敵”だからよぉ…みんなも”ユリ熊嵐”見ろよぉ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月18日
俺はるるちゃんの人生を最高に賢いと思っている人間なので、矢逆兄弟もああいう悲しく美しい展開になるなら、涙腺がぶっ壊れることを覚悟しなきゃいけねぇ…多分なる…。
さておき、浅草にガッパリ空いた異界に首を突っ込み続けた第一話に比べ、現実世界の描写が多い今回。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月18日
少年たちをまだ柔らかく包む”家”がどんな場所で、そこでどういう孤独を育成しているかがよく判るエピソードだ。
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ビビッドな色彩と、飾り立てられた幼さが匂う兄弟の私室。全イクニチルドレンが高倉兄弟の部屋を思い出したと思うが、一稀は二段ベットの下の宝物庫を守るべく、全てを捧げている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月18日
アイドルが自分と繋がっているという幻想。世界は綺麗で、なんの不安もないという妄想。
子供が当然与えられてしかるべき夢を、ただひたすらに守るために。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月18日
兄は女の格好をして、猫を盗み、嘘を積み重ねる。
華麗なる犯罪、純情に満ちた凶暴というモチーフは、ちょっと”悪童日記”っぽいね。…ウンコとケツに異常な執着を見せるのは、フランスの血か…。
さておき、一稀は暖かな家族の団らんを共有せず、クールに自分の領域に旅立っていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月18日
弟への狂暴な純愛を秘めたまま、あくまで年相応の冷たさをかぶり、あるいは狂ったアイドルを模造する。愛と欲望に素直になれないネジレは、一体どこから生まれるのか。
女装とか窃盗とかがモリモリ漏洩しつつも、『何故』は顕になっていかない。手を繋いでも、近くにいても心がつながらない少年たちと同じように、僕らも少年の内面をちらりと見せられつつ、踏み込めない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月18日
その巧妙な挑発が、なかなかに視聴意欲を誘う。上手く煽るね。
欲望を形にする”金の皿”。日常の裏側にあるゾンビ殺しミッションを、こなす理由。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月18日
一稀は光の側から夜に踏み込み、悠と出会う。
取り違え、思い違い、すれ違い。気に食わないクラスメートとの、接触と衝突。
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にゃん太郎が誤って飲み込んだ麻のように、あるいは取り違えられた悠と燕太のダンボールのように。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月18日
本当に欲しいものの形もわからないまま、少年たちは空回りして取り違え、ドンドン深みにハマっていく。望むものは手から滑り落ちて、正反対の相手とだけ縁が繋がっていく。
悠の欲望は兄にある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月18日
研ぎ澄ませた定規を『ブスッと行くぞ』と凄む仕草を、無邪気に真似する幼さ。それは生々しい大麻や鉄砲…隅田川に浮かんだ死体とはそぐわない、無邪気な色合いをしている。
一稀と春河の兄弟関係が、悠においては逆転してる感じ。”弟の特権”としてのイノセンス。
無論背丈が伸びた悠少年は、無邪気にアイドルを求めはしない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月18日
兄と同じ悪徳に身を浸せば、同じ存在になれると信じるかのように。閉ざされた部屋で大麻を育て、ダンボールの中に凶器を隠す。
そうすることが、愛と欲望に近づき、純情を守ることなのか。こちらも、内部事情は顕にされない。
どちらにしても、ダンボールの中の鉄砲(悠が隠したいヤバさ)を偶然に(あるいは運命的に)掴んでしまった燕太は、悠と一稀の接近から取り残される。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月18日
スラップスティックな流れで花やしきカップル地獄に投げ込まれたのは、あくまでソリの合わない二人だ。
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バキッとしたヴィヴィッドな色彩と、くたびれたサビが同居する花やしきの美術。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月18日
生々しいのに空想的で、夢いっぱいなのに傷に満ちてる。このアニメらしい表現が無言で唸っていて、遊園地シーンは楽しかった。
現実に取材しつつ、現実にはありえない美しさで描かれる浅草は、この兄目もうひとりの主役だ
二人はお互いきょうだいに強い思いを抱いて、犯罪に身を染める。欲望のためなら、どんな泥でも被る覚悟。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月18日
二人にはそれがあって、しかしそれが共鳴も共有もされないから、偽りの繋がりだけを維持していく。
女の格好も嘘、カップルも嘘、手つなぎも便宜上。ギクシャク最悪の相性は変わらない。
だがそんな成り行きが、正反対なはずの二人を巻き込んで、繋がりを強めていくのではないか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月18日
偶然ゾンビ殺しのかっぱになった三人(二人+一人)には、実は共通点が多いことを今回のお話は静かに語る。
『お前も、俺と同じ種類の人間だ』
漏洩する心が、否定したい繋がりを暴いていく。
燕太が一稀と悠のロマンスから置いてけぼりにされていること。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月18日
手をつなぐ相手が、女装アイドルもどきよりなおグロテスクな河童しかいないこと。
その孤独に、一稀も悠も寄り添う気配がないこと。
遊園地のコメディは、笑いの中に空疎な毒を隠している。
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あっはっはと笑い飛ばしている中に、洒落にならないヤバさと重さを込めるのがイクニ流である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月18日
スラップスティックに展開する花やしきの夢は、あくまで現実世界で展開するリアルなショーであり、そこには燕太の孤独と寂しさ、重なり合う嘘が確かに刻まれている。
前回暴かれた一稀のクローゼットには、女の服と弟への思い、どす黒い嘘が詰まっていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月18日
今回、悠と燕太も箱の中身を開ける。鉄砲とミサンガ。兄と親友。OPで暗示される想い人への、強く重い視線。
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取り違えとはいえ、心に秘めた一番柔らかいものを共有しつつ、三人はうまく繋がれない。奇妙な距離を開けて、でも匣の中の失楽を蹴り飛ばすことはせず、ぶっきらぼうに投げ渡す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月18日
秘密が暴かれるだけでは、欲望の共有はなされない。欲望が加速する心のエンジンに共鳴する道は、まだ見えない。
あれよあれよと始まったゾンビバトルにおいて、狂った猫は性器の位置から水を流す。ま~最悪であるが、少年たちが戦士として歪みを正した時、その水は涙の位置から流れている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月18日
汚いものは、綺麗なものに変わりうる。その代価が”死”だとしても、少年は星を夢見るか
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猫の皮を剥ぐ極悪人も、猫になって愛されたかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月18日
猫になりさえすれば愛されると、欲望の回路が混線したからこそ、弱い立場の猫をいたぶり、踏みつけにした。
グロテスクでコミカルなゾンビーは、主役の少年たちの戯画だ。一瞬流れる猫の涙を見落とせば、主役の純情も踏みつけることになる。
欲望を叶える皿の代償として、秘密は漏洩する。猫を盗み、去勢した一稀の行いは生々しく洒落になってない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月18日
あははと笑ってばかりもいられないシリアスさが、ひたひたと忍び寄ってくる。不格好な服を着せられてるデブ猫は、アイドルの服を着込む一稀のシャドウか。
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だとしたら一稀は、自分自身を盗み、去勢して、ぶくぶくと太らせてしまったことになる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月18日
弟の夢を守りたい。
言葉だけなら綺麗なものだが、そのためには女の装いをまとって、自撮りポイントを走り回って探し、教えたくもない秘密を気に食わないヤツに晒さなければいけない。
純情から生まれる汚濁が、なにか大事なものを蔑し、汚していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月18日
ポップな尻子玉演出の奥で、ヴェールをかけて見せつけられる巨大なクソ。汚れていくしか許されない世界の只中に、一稀も悠も放り出されている。
そんな汚濁と正常を巡るお話なのかな、と思う。
寝ている一稀の唇を略奪した燕太は、『闇が深い』のだろうか。誰かを強く思う気持ち…切れれば願いが叶うミサンガは、歪みの象徴なのだろうか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月18日
燕太の内面(クローゼット、ダンボール)がまだ不鮮明な今、確たる事は言えない。
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ただここまでの筆致は、犯罪や変態性に開き直れず、あくまで『まとも』であろうとする燕太の空回りと孤独に、結構優しい目線を向けていると思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月18日
最悪の出会いから生まれるロマンスを、着実にひた走る一稀と悠。遊園地で見えたように、燕太はそこから取り残されている。『まとも』に足を取られている
姉との関係もフツーに適切で、爽やかスポーツ少年として『ゴールデンコンビ』であろうと願う(装う)燕太。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月18日
異界で漏洩なんかしなくても、溢れる思いはとまらない。少年が眠れる少女(の形をした少年)に重ねたのは、彼個人の欲望であり愛だ。身勝手でどす黒く、美しい輝きだ。
いけないとされること。後ろ指を指されるような秘密。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月18日
それを前に、それでも踏み込んでしまう強い思い。それが少年たち全員に共通していること…燕太が見た目より『まとも』ではないことを見せて、今回のお話は終わる。
PTAは文句いうかもだが、俺はそれでいいと思う。心が望むのなら、変態で良い。
秘密の共有、悪徳の覚悟。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月18日
露骨に一稀と悠の距離が反発しつつ縮まっているので、燕太の純情が報われない気配がプンプンしておる。
弟のため、兄のため『まとも』じゃなくなった二人を前に、燕太は己をさらけ出せるようになるのか。むき出しの悪徳に、汚れずにすむ道はあるのか。
そういうところに踏み込んでいく話なのかな、と思った。ウム、イクニであるな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月18日
ホント”ミサンガ”が残酷なフェティッシュでなぁ…燕太が望む通り、スポーツ少年としてサッカーに勤しんでいれば、いつか切れてかなったはずの願いは、箱の中に閉じ込められたまま、受け取られもしないわけよ。
一稀は弟さえいればいいと視野を狭めているけども、その外側には確かに燕太の純情と欲望があって、繋がりたいのにすれ違っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月18日
そこに悠のぶっきらぼうな犯罪、兄への純情がどう絡んでくるかが、今後の眼目かなぁ。むっちゃ空回り三角関係の話なんだな、さらざんまい。
物語との絡み合いって意味では、ゾンビを作り出してるっぽい警官二人も、三人といつ、どう絡むのかねぇ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月18日
奴らのバンク、あまりに世界を革命する力過ぎて爆笑しちゃった。(流れ出す”絶対運命黙示録”)
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挿入歌”カワウソイヤァ”を聞いても、去勢ってのが大事なテーマっぽいのは判る。まぁ尻子玉ぶっこ抜きアニメだから、そりゃねぇ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月18日
去勢。本来の性役割を破壊され、別の役割を上書きされること。
地域猫として生まれ直すために、暴力的に押し付けられた通過儀礼。
弟と繋がるための女装。
ケツにぶっこまれて/ぶっこんで、願いの叶う皿を探す中で、少年たちは男になるのか、女になるのか、自分になるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月18日
性役割を混乱させるホモセクシュアル/BL/衆道陰間のモチーフを大量にねじ込みつつ、タダの興味本位ではない強い視線が、作品全体を貫通している気配もある。
ここら辺の”本気”が、燕太の秘めた恋と合わせて今後どう踊るか。非常に楽しみです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月18日
一足先に『まとも』じゃなくなっちまった想い人を前に、進めばいいか引けばいいか分からない、でも唇は欲しい。燕太のキスには魂の震えがちゃんと宿ってて、綺麗だなと思いました。来週も楽しみ。
しかし先週のダンボールといい、ゾンビが望む欲望は何故”空を飛ぶ”んだろうな。”スーパーシティが舞い上がる”ってことか。ジュリーか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月18日
欲望は常に浮遊して加速し、繋いだと思ったら離れていく。だからこそ欲しいと望む。少年たちは地に足の着いた願い、それを掴む自分にたどり着けるのかなぁ。
追記 ”イクニ”で育ったからよぉ……昔の話っぽいのが出ると、ついはしゃいじまうわけよ。
あー! 今回ラストのキス、ピンドラ一話ラストの冠葉のキスのセルフオマージュでもあんのか!!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月18日
警官の絶対運命黙示録といい、釘宮声の弟といい、スーパーイクニサーガっぽさあるな。全然しらんでもぶっ飛んでて面白いのが、自家中毒から逃げてていいね。
追記 尻子玉抜かれた犠牲者は蹇になるとも言われるし、まーた過剰に読める話だなぁ……情報量に溺れないようにせんといかん。
さらざんまい追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月19日
ただの幼さの象徴かなーと思ってた兄弟の私室だけど、よく見ると角を丁寧に取ったデザインで、トイレも補助手すりがあって広い。
春河くん、なんらか体に障りがあったりすんのかな。それが兄の過保護の理由か?
©イクニラッパー/シリコマンダーズ pic.twitter.com/Rgxvbylrjs
となると弟を溺愛(”愛に溺れる”ってこの作品だといい表現ね。喝破が川流れする愛の川)してる内面と、クールな対応の断絶も思春期以外の理由がありそう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月19日
食べる人がいない一稀の食卓は、どっか陰膳っぽさもあって陰湿なのよね。明るい表面にどす黒い陰り。イクニイズム。