まちカドまぞく を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月20日
桃色魔法少女との、終わりの見えない戦い…。
シャミ子は心のドアを開け、再び桃の夢に入り込まんと試みる。
奇っ怪な悪夢から飛び出す、思いの外シリアスな二人の過去。絡み合う喪失と、対峙の重さ。
すっかりズブズブな二人は、もう一度向き合うことが出来るのかッ!!
というわけで魔法少女 VS 魔族サーガクライマックス! 親友の重荷を少しでも背負ってあげたい二真心が、ちょっとすれ違う最終話前である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月20日
光と闇のバトルが完全に”そういう体”でしかなく、お互い相当深いところでズブズブなのがよく見えて、とっても良かったです。
今回のコンテ演出は、ベテラン島崎奈々子。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月20日
極彩色の背景の使い方が印象的で、全体的にテンポが早い。しかし勢いで押し切るというか、立て板に水でちゃっちゃか進んで、あまり玉を持ちすぎない小気味よさがある。
©伊藤いづも・芳文社/まちカドまぞく製作委員会 pic.twitter.com/xe7N02QtUO
今回の話、結構シャレにならない重たい過去が表に出てくるので、このペースの速さは良かったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月20日
どっしり重たいものは、今までだってずっとそこにあった。それでも毎日楽しく笑えるように、誰かに優しくなれるようにみんな頑張ってきたのだ。
だからこの展開、『取ってつけたシリアス』ではない。
お話は親友が過去に苦しんでいるのを見てられないシャミ子が、美味しいお弁当でその苦しみを減らそうと考えるところから始まる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月20日
このまぞく…”善人”かッ!(知ってた)
QOLの高い生活は、まず食生活の充実から。生活基盤から人生を立て直そうとするシャミ子、優しい少女であるな…。
ご先祖とオモシロ漫才をぶっ込み、良子ちゃんのお姉キチっぷりなども堪能して、スルスルと夢の中へ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月20日
イマジネーションが力に変わるドリームワールドは、人間の本性がよく出る。シャミ子、ホント暴力とか苦手なんだな…トリガー逆さまだよ…。
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相変わらず八頭身のご先祖はキモいが、心のドアは簡単には開かない。今回は”ドア”が演出のキモで、夢でも現実世界でも幾度か顔を見せる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月20日
家に上がり込んで、ご飯を用意して。お互いの生活がすっかり密接してきた(からこそ、力になりたいと思った)二人だが、無条件に踏み込めるわけでもない。
結局桃の扉は、桃が内側から開けることでオープンになる。扉にかかったロックは、不正な手段で利益を奪う”悪い魔族”にシャミ子が落ちることを止める。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月20日
ズブズブと心に上がりこんだ”良いまぞく”を、逃さないよう握り込んだしっぽ。
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それは髪の毛を撫でるのと同じ愛着行動であり、『逃さない』のではなく『すがりたい』心理の現れな気もする。桃はほんっっっとシャミ子好きな…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月20日
好きだからこそ、無理はさせたくない。シャミ子が心に踏み込んだ理由は、鏡写しにシャミ子に帰ってくる。
桃はシャミ子に、魔族であることの意味を問う。
ここで生き死にレベルの重たい過去と、友情に憧れつつ届かなかった孤独、まぞくに覚醒することで変わった人生が一気に見えるのは、なかなか面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月20日
ゆるーい人造不幸だと思っていたものが、ヘヴィなリアルだと突きつけられる瞬間…てのも、ちと違う。
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『明るく振る舞ってるけど、みんな色々背負ってるんだろうな…』という予測は、ハイテンションでトンチキな笑いの中にジワジワ滲んでいたし、だからこそ楽しい今を走る二人を応援したくもなった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月20日
元々優しいわけではなく、頑張って優しくなっている世界は、過去が顕になって反転するわけではないのだ
しかし新しい顔は見えた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月20日
桃は過剰に強いことで苦しんできたが、シャミ子は過剰に弱いことに悩んできた。だからまぞくに目覚めて、走ったり戦ったり出来ることは新しい喜びだった。
それを受け止めてくれる桃と、対等に向き合いたかった。”立派なまぞく”でいたかった。
シャミ子は本当、魔族とか向いてない。相手を倒す手段は思いつかず、トリガーは逆向きだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月20日
それでも、それだからこそ『戦える自分になりたい』という望み、”強い桃”と並び立ちたいというプライドは、とても大事なものだ。
そういうモノを抱えて、『これで勝ったと思うなよー!』と吠えてきたのだ。
桃の重荷を取り除くために心に入ったのに、自分の重荷を思い知らされる。心の旅路は、反転して進んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月20日
母は一体何を隠しているのか。幸せ貧乏暮らしの裏に何があるのか。
桃の追求は、シャミ子の疑念を深めていく。
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ここでも”扉”は複雑な色で描かれていて、家族を守るための結界であり、同時に真実を隠す嘘でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月20日
世界の”普通”は、ポイント稼ぎのために”良いまぞく”を狩るような暴力で満ちている。それを遠ざけて、のんびり家族コメディ出来るような世界を、母は嘘で作ってきたのだ。
スパルタンな生活を続けてきた(だろう)桃は、そこに対峙することを望む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月20日
アホなシャミ子は、大事なお母さんが退治されてしまうと焦る。
Bパートの断絶と対峙を予感するように、二人の夢は醒める。心に潜っても、全てが分かるわけじゃない。
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マジカルな超絶パワーを使って、新しい謎が増える。桃とギクシャクする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月20日
この運びは、凄くこの話らしいなぁ、と思う。
まぞくと魔法少女、超常的な力を主題に扱っているのに、世界を良くしていくのはすごく地味な優しさだ。メシだったり、筋トレだったり。
重たい力はシャミ子を過剰に弱くもするし、そこから強くなっていく喜びを与えもする。魔法少女の宿命は、桃を強すぎる存在にもする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月20日
スケールの大小が、幸不幸に直結するわけではない。色んな顔の色んな力を、どう適切に使えるかが大事なのだ。
現実に戻ったシャミ子と桃は、扉の前で押し問答する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月20日
自分の存在意義、母への愛情。かなり重たい感情が、トンデモねぇバカですれ違うシリアス&コメディ空間。
畳み掛けるようなネタで、重い空気を上手く入れ替えてくれるのがありがたい。
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ここはディスコミュニケーションで笑いを取るコントであり、同時にシャミ子なりにすげー必死に解ってもらおうとするシリアスな場面でもあって。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月20日
そこで”お好み焼き”が出てくるのが、このお話とシャミ子の善性だなぁ、と思う。
美味しいご飯を、一緒に食べる。その思い出は嘘ではないのだ。
結局ズレた問答は、母が内側から扉を開けることで、新しい状況に進む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月20日
夢の中で、桃の扉が動いたのとシンクロしとるね。誤解と闘争に満ちたクローゼットは、外側から強引にではなく、内側から自発的に開ける必要があるのだ。
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和解の証拠として、うっすい麦茶(口に入れるもの)を間に挟んで語り合う魔法少女とまぞく、その母。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月20日
吉田家の父と、桃の義姉。お互い”家族”を喪失している二人の真実が、深く絡み合っていく。
さくらの結界。父の封印。色んなものを犠牲にして、”優しい世界”は成り立っていた。
シリアスな過去を語るときの、青いリアリティ。フィルターかけただけなんだが、おなじみの景色が全く別のものに見えて面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月20日
でもそれは、いつでもそこにあった色彩だ。知らず使い倒していたダンボールのように。親父の扱いヒデェな…。
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知らないうちに、吉田家から家族を奪ってしまっていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月20日
『真実を知って、ちゃんと対峙しなよ!』とけしかけていた桃が、顕になった真実にダメージを追うのは、興味深い反転だ。
夢での侵入と同じように、シャミ子を成長させるはずの対峙は、桃の過去と喪失へと反転してくる。
それは桃がクールな表情の奥に、シャミ子の痛みを自分の責任と受け止める優しさを隠しているからだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月20日
大事だからこそ、合わせる顔がない。
大事だからこそ、踏み込みたい。
大事だからこそ、秘密にしていたい。
今回は人の真心が持つ、複雑な色彩が見えるエピソードだ。
嘘っぱちのイカ釣りストーリーで、娘を騙し守ってきたお母さんも、やっぱり真心の人である。何しろお好み焼きと麦茶くれるからな…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月20日
吉田家の真実は、桃が強く踏み込んだからこそ顕になった。それを受け止めたシャミ子が、どう強くなるのか。どう優しくなれるのか。
それは罪悪感から背中を向けて、扉を閉ざした桃にどう追いつくかで見えてくるだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月20日
まー桃ならショックを受ける真実であるし、同時に桃が過剰に背負いすぎる必要もないと思う。そういう不要な傷に手を差し伸べるのが、”強いまぞく”の仕事だぞ。
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思えば、いつでも桃は強かった。しかし血を取られ、力を奪われ弱くなった。誰かに心を預け、むき出しの自分を見せられる『弱くなる権利』に、桃は接近しつつある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月20日
そういう桃に肩を貸して、自分の足で二人分体重を支える時、シャミ子は真実”強く”なれるのではないか。
自分と家族をメチャクチャにした、重たい宿命。それを知ってなお、親友に『桃は悪くないよ』と言えるようになった時、よわよわ魔族の修行時代が終わるのではないか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月20日
そういう事を考えさせられる、最終話一個前であった。スパスパ状況が転がり、色々納得がいく真相暴露であったなぁ…。
小娘に角が生えても、あんま気にしない。お互い支え合う日常を続けることが出来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月20日
美しい街桜ヶ丘が、桜と吉田父の犠牲と思いで出来上がってたのが、『あ、まちカドまぞく』って感じだった。
タダできらら時空ってわけじゃあないんだよなぁ…。優しさの裏に、重たいものが確かにある。
だから桃は扉を閉ざしてしまったのだけども、それを開ける鍵はシャミ子、もう持っているわけで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月20日
最終話、どのぐらいの加速度で友情が唸るのか。へっぽこ魔族と強まり魔法少女の関係は、どこまで到達するのか。
今までの珍道中が何を生んだか測るには、なかなかいいクエストだな…。
基本桃シャミの感情あやとり軸で進むんだけども、ミカンが良い賑やかしを担当し、どっかズレてるけどとびきり人が良い部分を見せてくれたのも良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月20日
追加キャラが君で、僕は良かったと思う。お前もまた、情を知る魔法少女…。
お互い重たい喪失を抱え、なかなか扉を開けあえないすれ違い。でも大丈夫、まぞくと魔法少女は宿命のライバル、真っ直ぐ対峙する運命なのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月20日
これまでの描写を裏打ちする真実もドバッと手に入れ、シャミ子、真実と愛の戦士となれるか。
勝負の最終話は次週ッ! マジ楽しみです。