ドロヘドロを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月24日
カスカベ博士は心に命を救われ、ニカイドウは煙のパートナーとして側にあり続ける。
煙の過去が顕になり、カイマンはパイ戦争に背中を向けて、親友と向き合う。
敵味方の境界が、融解する混沌。その渦中で己を支えるのは、やはり暴力! …なのか?
という感じの、最終回一個前、まさかのカイマンVSニカイドウで引くドロヘドロである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月24日
煙ボスの過去を語る、脚色の多いビデオ。ノンキなパイ戦争に、高木渉大暴れのデカイお嫁さん。
相変わらずのスラップスティックに、滲むシリアスな声色がググッと狭まり、運命の対峙に向かう。
非常にこのアニメらしい、なんとも名状しがたいが面白く惹きつけられる運びで、最終話を迎えられそうだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月24日
最初から最後まで”らしさ”がブレないってのは、やっぱ見てて安心する。化けるアニメも面白いが、クオリティも方向性も横綱相撲、どっしり魅せてくれる喜びってのは贅沢でいい。
お話は前回緊迫のヒキを、心先輩が解消するところから始まる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月24日
情けは人の為ならず…という金言を持ち出すには、カスカベ博士はマッド過ぎるけども。血まみれの混沌を駆け抜ける人非人にも、過去は追いつき影響を及ぼす。
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マスクを外して顔を見せ、タマ盗るか盗られるかの関係を壊す奴らも入れば。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月24日
ボーリングに毒入り紅茶、『気のおけないいたずら』っていうには殺意高い歓迎を受ける新入りもいる。
殺伐とした世界に漂う、過去と現在と未来。それは暴力と人情を接着剤に、複雑な色を描いていく。
現在進行系で作られる関係だけでなく、過去もまた様々な要素の集合体だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月24日
ナルシズムバリッバリのジャケットから放たれる、煙ボスの一代記。
現世の地獄、死後の生。クズどもを皆殺しにして、少しは世界を良くする善行(あるいは蛮行)
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最終話を前に、煙ボスはマスクを外して、自分の過去を見せてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月24日
死後の復活、自己の回復と獲得。つきまとう暴力と、タフな食事。人非人が跋扈する修羅界でも、生まれていく絆と伝説。
それはかつて語られた、カイマンや心先輩達と同じ色合いをしている。
美麗なる残虐が悪趣味に踊り回る、魔法の地獄。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月24日
そこに身を置いたとしても、人は過去と繋がりを求めるし、大事にする。
それは『皆が大事』な博愛なんぞに繋がりゃしないが、地獄だろうと身内は大事だ。目の届く範囲で、少しはいい感じの世界に書き換えたいとは、誰もが思う。
それが混沌を突き抜けた、なんかいい感じの絶対真理には届かず、個人的な記憶(とその喪失)、臓物の温もりに塗れた体験で収まる、魅力的な迷妄。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月24日
ここまで積み上げた作品の魅力とルールは、当然煙ボスを例外にしない。ドロヘドロ”らしさ”の代表が暴力と食事だと思うので、そういうシーンも満載だ。
仲間と出会い、組織を作り、敵を倒す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月24日
煙ボスはカイマンの敵対者だが、彼とニカイドウ、主役と作品世界を繋ぐのと同じ素材で出来ている。
同じだからといって殺し合いをやめるわけじゃないし、判りあえるわけでもない。敵は敵だ。
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記憶映像の抑えた筆致に捉えられる、心先輩と能井の死闘。腸ぶち抜かれた程度では終わらない、人非人達の闘争。
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そこに一瞬、『ここで”二人”、死ぬ運命か…』と呟く、美しい輝きがある。はー…マージで顔が良い。
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顔の見えない、十字目のボス含め。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月24日
沢山の犠牲を生んだ闘争は奇妙に伝説的で、思わず目を奪われてしまう。
美しくあってはいけないはずのものが、偽り無く美しい。ごみ溜の中にこそ、本物の黄金がある。意外性の美を発見する喜びが、随所にあるのは本当にありがたい。
完全に光が消えた、悪魔を越えた悪魔の目。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月24日
街一つを犠牲にしても、その死は確信できない。
自分が悪魔を殺せる英雄だと確信するために、ボスは時を巻き戻しすニカイドウを求め、奪ったのだ。
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カイマンと煙ボスを繋ぐ、首のない死体。それがニカイドウも縛っていることを確認する、ディープでダークな回想だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月24日
十字目の男との激闘にカメラが向いて、画面が暗黒に染まる。その後の美術に黒い圧力が満ちていて、非常に良かった。煙ボスが”英雄”であることを、肌で感じられたぜ…。
未完成の年代記をは制御できない力で親を殺して始まり、街をキノコに埋めた所で終わっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月24日
過剰な力で、安住の地を壊してしまう。繰り返される”それ”が英雄の宿命だとすると、彼が作り上げたものは(恐らく彼の力で)瓦解することになるのだろう。
それは二期で語られる物語…であって欲しいね。
さて、煙ボスの過去に囚われたシンデレラを、取り返すべく魔界に腰を落としたカイマン。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月24日
裏声とピンクエピロンに戯けつつも、自責の念と決意は強く、結構マジにヤベェと感じている。
まぁそれは一瞬で、大半は丹波との漫才なんだけど。
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『やっぱ、カイマンが高木渉で良かったなぁ』と、今回つくづく思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月24日
甲高いお嫁さん声が面白くてしょうがねぇ、ってのもあるけど、祖の合間合間に滲むシリアスな重さ、道化の奥にあるザラツイた熱量が肌を焼いて、凄くビリビリ来た。
カイマンは面白いけどシリアスで、バカだけど人殺しなのだ。
無力な記憶喪失者でありつつ、友情に命をかける主人公でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月24日
分裂しつつ繋がっているカイマンの多才な顔を、シームレスに魅力的に演じてくれるからこそ、混沌をそのまま美味しくいただくことも出来る。
本当にありがたいよ…男声優の”艶”をたっぷり摂取できるのは…。
『矛盾の同居』ってのは心先輩やカスカベ博士にも言えて。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月24日
昔の恩は恩だけども、情け無用の処理屋ってマスクもまた、心先輩の顔だ。
膝並べてお菓子でパーティーもするし、マジモンの威圧もぶっこむ。こ、こええ…。
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それをするりと受け流し、『人助けが趣味か?』という問いに『興味あるのは研究だけだよ』と返す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月24日
カスカベ博士の言葉に、嘘はない。
冷たく狂った科学的興味が、心先輩のバラバラを繋いで、命の取り合いを回避したのも嘘はない。
何もかもが真実で、でも融和は出来ない。
ゴロゴロした世界に皆いる。
記憶のないカイマンにとって、掴むべき真理とはつまりニカイドウだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月24日
人殺しで自分がない怪物を、この世に繋ぎ止める唯一の釘。
それが奪われてるから、取り返す。
そんな信念を、新聞が揺るがせる。現実が砕く。
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一体どうして、ニカイドウはボスに身を寄せたのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月24日
カイマンはブルーナイトの呪いを知らないまま、思わず駆け出そうとする。
ゴング代わりの時計台が、アスの見守る中鳴り響き…丹波社長が、フォークをひっつかんで止める。
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もう少し、ここでコメディやっていけよ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月24日
お前がただの人殺しでも記憶喪失者でもなく、白紙のまま必死にもがいた結果掴んだものを、ちゃんと見ていけよ。
彼の乱暴な手付きには、そういう優しさが込められているようでとても好きだ。
行っては戻り、行き詰まっては思わぬ横穴が開く。
ずっと迷走しているようで、一歩ずつ”何か”に近づいているカイマンの歩み。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月24日
それには白紙の記憶だけでなく、もとからあったニカイドウとの友情だけでもなく、いろんな荷物が付いてきた。
白紙のまま怪物の顔で生きてきた物語は、血みどろの因縁と、そこで息づく妙な面白さ、絆の太さを生んだ。
最終決戦を前に挟まれるパイ戦争には、そういう奥行きを確認させられた。これもまた、嘘じゃない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月24日
エンジェルの色香で男を誘う飛鳥の商売は、呪いで心を縛る煙ボスの鏡だ。それは結局破綻して、丹波の実直なパイが勝利を掴む。
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命からがら去りゆく飛鳥にも、アシスタントの女の子は付いてきてくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月24日
血の流れない、平和で呑気な闘争。それはこの後、親友同士を襲うだろう血みどろの結末を、すでに暗示しているように思えた。
心を捻じ曲げる魔法は、なかなか長続きしないのだ。
一挿話のように思えるパイ戦争だけど、『魔法使いも、飯を食う時はマスクを外す』とか、『どんな奴にも仲間はいる』とか、作品に共通するルールがギュッと濃縮されてて個人的に見応えがあった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月24日
パイがマジで美味そうなのは、凄く大事だと思う。人非人だろうが、飯は食うし友情もあるのだ。
まぁ何しろドロヘドロなので、友情や真実や正義が邪悪な魔法に余裕で負けるってこともあるだろうけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月24日
『死んでもやり直せる…こともある』ってのも、作品のルールの一つだと思うからね。
さて、カイマンの決戦はどうなるか。
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譲れない思いのために、飛び出していく”身内”を見守る丹波社長の眼は優しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月24日
その温もりを知れたことで、白紙のカイマンを駆動させていた『魔法使いは殺す』というルールは、少し揺らいだと思う。
友だちになれる、魔法使いだっている。暴力バイトに明け暮れる中で、カイマンはそれを学んだ。
それが、ニカイドウへの複雑な思いと向き合う時、大きな力になるだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月24日
横道、迷路、回り道。真っ直ぐ進むだけが、歩き方じゃない。
クソみたいに血みどろの殺伐絵巻なんだが、こういう”答え”をスルッと出してくる所に、センスと知性があるよねぇ…。
毒の煙に当てられて、王子様に魅入られたシンデレラ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月24日
取り返すのに必要なのは、ガラスの靴でもキスでもなく、ロマンチックな暴力。
青く美しい時計塔の美術が最the高であるが、親友同士が殺し合う流れは心が痛む。同時に、納得もある。
まぁ、ドロヘドロだしね…。
まぁ死んでも死なねぇ話なので、一回ぶっ殺し合ってから生まれるものに飛び込んで、散々溺れると良かろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月24日
どうなるのかさーっぱり読めない混沌も、すっかり楽しい。
そう思えるように作品世界を組み上げ、ドラマとキャラクターで楽しませてくれたからこそ、最終話へのこのヒキ、最高に良い。
このままカイマンがぶっ殺されちゃったり、ニカイドウが煙ボスの側に居続ける終わり(あるいは続き)も、全然ありうるからな…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月24日
普通ならそこがどん詰まりなんだが、記憶を無くしたり、首をちぎられたり、バラバラに引き裂かれたりしてからがこの世界じゃ本番だからな!
死人が歩き、生者を食らう。それが当たり前の世界で、確かに生まれる輝き。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月24日
クネクネねじ曲がったジェットコースターのように、僕らを最高に楽しませてくれた混沌の物語。
それも一段落となりますが、さて、何が描かれるか。
最終回、非常に楽しみです。
ひと足お先に、ありがとうMAPPA…。