A3! SEASON SPRING & SUMMERを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
MANKAIカンパニー復活公演。
運命の初日も近づき、衣装や広報も整ってきた。
"やれる”という予感を裏切るように、降り出す雨と生まれるわだかまり。
どうしても熱の入らない、”家族”への一言。
碓氷真澄は果たして、彼のジュリアスを掴めるのか?
そんな感じの、春組ラスト一個前。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
天才チャラ男のアシストで色々場が整い、初公演が成功しそうなオーラが出てくるエピソードであり、夏以降への目配せが仕込まれる回であり、ヤバ人間・碓氷真澄が狭い視野を、ちょっと広げていくエピソードでもある。
圧縮率が高い話を、いづみが良くまとめていた。
前回咲也の苦しみを間近で見て、真澄の眼も監督だけでなくカンパニー全体へ…とはならず、やっぱり彼の瞳は恋にとらわれている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
しかしそれだけでは、芝居は点睛を欠く。溢れる才覚で乗りこなしていた部分を超えて、役に魂を入れるために必要なもがきへ、真澄も踏み込んでいく。
それは同時に、”家族”にわだかまりを持つ自分を見据え、芝居で繋がる仲間を見つめることでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
疑似家族であり、演劇を完成させる共犯者でもある様々な存在へ目を向けることが、冷たく狭い真澄の世界を拡げ、演目の完成度を上げていく。
演者と舞台は、相互に影響しながら善くなっていく。
そういう全人格的なステージを、真澄を真ん中において描いていくエピソードだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
同時に全てが”家族”に集約していく引力への、ある種の畏れみたいなものも勝手に感じ取って、なかなか作品と話すのが面白くなっても来ている。
多分そこまで考えなくても良いポイントなんだが、気になるのよね…。
前回背中合わせで交錯した視線は、真澄を今までとは違う場所へ動かした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
天才の手を借りることで、咲也もまた前進していく。主役2人が前に進むことで、芝居は完成度を上げ、板に乗せて他人を引きつけるに足りる魅力が、ステージから生まれていく。
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そんな爽やかな光を、いつものお節介メンツだけでなく、至も見守っているのが僕には嬉しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
今回の真澄もそうだけど、性格極悪のダメダメイケメンが物語を通じて、ちょっとずつ多人の存在を自分の中に入れて、世界を広げていく描写が好きなのだ。
その時、あんまり焦りすぎていない感じなのも。
至は相変わらず体温低い感じで、クールに芝居と仲間に向き合う。しかしそこに、今までの拒絶の気配はない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
自分なりのスタイルで手を差し出して、多人の存在を受け入れる。
それが至の内側にあった未知の”茅ヶ崎至”を顕にして、変質することなく変化していく。
個性が死なないまま、自分の立ち位置を少し変えて、今まで向き合わなかった存在に手を伸ばす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
それは変化の兆しをくれた他者だけでなく、自分の可能性と対話する行為でもあると思う。
至と真澄はマイナスポイントが多い分だけ、こういう変化が分かりやすい。ダイナミックなキャラだ。
真澄の冷たく狭い視野と、そこからはみ出す体温の描写も、至と同じようにここまでの物語に埋め込まれている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
世界を拒絶するヘッドフォン。血縁との冷えた繋がり。いづみにだけ籠もる熱量。
そういう”真澄らしさ”が、トンチキ劇団との絡みでちょっとずつ変化している様子も。
今回の物語はその結実であり、彼が自分の内側に閉じ込め守ってきたものを、カンパニーが一緒に背負う関係になる…少なくともその第一歩を共に踏み出す話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
イケメンたちのデコボココメディで楽しませつつ、そういう人間の体温が宿った双方向の変化をちゃんと切り取っているのが、僕は好きだ。
と同時に、次回春組最終回の大勝利に向け”やれそう”感を溜め込むエピソードでもあり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
綴が連れてきたスーパーボーイは、チャラくてウザイがマジ有能で、広報もコミュニケーションも力強くこなす。
彼が来たおかげで、客が劇場に入る説得力がぐっと分厚くなる。
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登場時のスーパージャンプで身体能力強調してたり、『あ、多分別の組で役者になるんだろうな…』と思わされる描写であった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
他にも何人か顔を見せてる人がいて、春以降への目配せなんだろうな-、と思ったり。
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『2人きりのエレベーターを、この距離感この角度で同乗するやつは、確実に感情ブラックホール…』と、色々余計なことを読んだりもするけど。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
他メンが後に劇場に足を運ぶためのフックくらいなのに、この眼鏡だけ異様に不穏だからな…茅ヶ崎周辺は、相変わらず重力係数がおかしい。
そこら辺は先の話として、今は真澄の芝居道。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
今まで生来の才覚で乗りこなしてきた部分に、他の役者が育ってきたことで瑕疵が見えてくる。そういう成長を引き出したのが、真澄の歩み寄りなのも含めてなかなか良い描写だ。
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どうしても魂を込めて演じられない、”家”を捨てる苦悩。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
いづみちゃんが一歩引いた”監督席”から、しっかりそれを見据え指摘しているのも。
前回明るい場所にようやく踏み出した茅ヶ崎が、後方腕組みでシッカリその孤独と戸惑いを見据えているのも。
なかなかに面白い描写である。
”家”を捨てる決断を重荷と感じるためには、そこに愛着がなければいけない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
芝居に魂を込めるためには、芝居自体に執着がなければいけない。
本気にならずともこなせてしまえる真澄の才覚と、クールに突き放した”家”への感情が、逆に勝負芝居に”軽さ”を与えてしまっている状況といえる。
その内実に踏み込まないまま、監督としてもっと良い芝居、もっと良い可能性を貪欲に求め、柔らかな言葉で改善点を指摘するいづみちゃんが、相変わらず人間出来てて素晴らしい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
こんな顔全振りの単機能人間、向き合うのは相当大変だと思うけど、なかなか上手いことやっとるよね…背中がデカい女だ。
『好きな芝居を見つける』ということは、いづみ一色の世界に”芝居”を入れて、大事なものとして受け入れる、ということだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
どこかが壊れている真澄には、それは難しい。それでも恋した人の願いなら、叶えたい。
キモストーカー寸前なんだけど、こういう純情が可愛げである
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しかし真澄には、カンパニーの輪はなかなか遠い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
溢れる才覚に溺れて、他人と真摯に向き合えない弱さは、凡人であるがゆえに他人の顔が見れる咲也と対極なんだなぁ…。
ここまでは逃避の道具だった至の携帯電話が、今回は新しい可能性を連れてくる窓になってるのも、なかなか良い演出。
社会人として色々経験している、自分の中の財産。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
それをゲーム一本に注ぎ込むのではなくて、拡げて共有する新たな一歩。
その象徴が、至を中心にカンパニーが集う絵面なのだと思う。人当たりも柔らかめになってるし、やっぱこういう良い変化が見れるのは嬉しいね。
煮え切らない感覚を抱えたまま、至は赤いセンターステージを踏み出し、役者であることで人を引きつけようとする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
芝居を始めたら、何かが生まれざるを得ない”才”。
それに挑発され、咲也も”ロミオ”となって今の己たちを魅せる。
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”家”を振り切る直前までは、道行く人を惹きつけていた二人のアンサンブル。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
しかしそれは、重荷故の決意を語る直前で止まってしまう。それをいう資格も決意も見当たらないまま、瞳は隠れ言葉は止まる。
ジュリアスを降ろすのに必要な資質が、まだ駆動しない。
真澄のなかで”家”はある程度、結論が出ている問題なのだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
冷たくて、実りがなくて、本気で関わっていても良いことはない。一番身近な冷気に適応していた彼の心が、唯一動いたのがいづみとの出会いだ。
それに動かされるまま、たどり着いた公演。でも、それじゃ足りないものがある。
『アンタのために』だけでなく、真澄自身が舞台に、与えられた役に当事者として踏み込み、背負う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
咲也が先週獣のように吠えた、強すぎる舞台への情熱と執着が、『アンタのために』な真澄には無くて、それが台詞を押し留めてもいる。
クールで冷たい自分を超えて、舞台を引き寄せる。
そういう一歩を踏み出さないと、天才といえど…というか天才だからこそ、芝居には血が通わない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
ここは今まで、泥臭く己の非才、演劇への信奉を積み上げてきた咲也と対比になる、真澄だけの苦悩でとても良かった。
赤と青のライバル、正反対だからこそ”才”が仇にもなる。言い対比よね。
超人間チャラ蔵先輩のアシストで、カンパニーはマスメディアに顔を乗せ、より広い場所へと届いていく。ほんとすげぇなあの人…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
年下勢と異邦人が固くなる中、社会経験を生かして卒なく…というか、ウケる仮面を被って適切に演じる至が、キャラ生かして良い感じ。
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先週までの至だったら、ここでマイクをスルリと盗んでアピールするなんて、体温高いことはやんなかったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
でも仲間がわざわざ踏み込んで、自分もそれを受けて『もう一度、信じてみるか』と思えたのならば、行いも自然変わっていく。
そういう因果の”果”が見れるのは、歯ごたえがあっていい。
ブログにオフィシャルページ、TVにビラ配り。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
色んなメディアに露出して、動員を増やし舞台を成功させる明るい材料。
それが曇天に曇って、涙雨に濡れていく。この露骨な心理主義演出は、パワーが有って好き。
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子を慈しむ雨中の父を、見つめる真澄の視線はどこか冷ややかで、自分が掴めなかったもの、諦めたものへの緩衝が滲んでいるようにも思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
それはビニール傘を伝って、真澄といづみの間に伝う。
自分はいづみだけを見ているのに、いづみは演劇を、他の役者を平等に見ている不平等。
ここらへんをどっしり、しっとり魅せるスローテンポの重たい演出が、なかなか良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
基本ハイテンポで進むんだけど、勝負どころではBPM下げるのは好みだな…メリハリは大事よ。
真澄が家族とどんな過去を過ごし、何故冷たく諦めてしまったかは、今回掘削されない。
ただ今彼がどういう状態で、その冷たさがジュリアスの台詞から体温を奪っている現状だけが描かれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
内実を直接描写せず、その現れを丁寧に積んでいく筆が、現実のゴリッとした質感を真澄に与えていて、なかなか良かった。
そうそう、過去なんて共有できるものではない。
思えばシトラスさんも至も、過去の厄介事が具体的にどういうものか、語ってはいない。ただそこに重たい影があり、その影響下でなお、変化を求めステージに踏み出した結果だけが描かれている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
この”果”の扱い方は結構独特で、このお話の長所だとも思う。他人に見えない場所で、人間は色んなものを積む
それは人間を動かすブラックボックスであり…そんなものを共有しなくても、行いは常に表に出て、他人と触れ合っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
芝居という結果が常に求められる、演劇集団なら尚更のことだ。何もかもさらけ出すのは、大事だろうけど必須ではない。欲しいのはまず、最高の芝居だ。
『そのためには、一人間として役者たちに、しっかり目線を合わせなければいけない』という覚悟を、いづみちゃんが硬めて、その通り勤行しているところが偉いわけだけど。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
彼女だって、無敵の千里眼で何もかもが判るわけではない。判らないからこそ、真摯に向き合い手を伸ばしているのだ。
”家族”というキータームを答えとして用意しつつ、人間と人間の間にある断絶をしっかり見据え、それぞれそれに悩まされつつ、繋がって生まれる奇跡。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
コミュニケーションの織物としての”演劇”を、かなり大事に転がしてくれているところが、個人的には作品への信頼感ともなっている。
ヒトは分からないし伝わらないからこそ、板に乗っかって何かを伝えようと芝居をするのだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
他人を諦め、親を諦めた真澄が、どうしても諦めきれない熱い恋。持ち前の才能で超えられない、クールに無視できない、たった一つの特別。
そこに、”芝居”を入れてみれば、多分ジュリアスに血が通う。
そこに至る前段として、雨中の冷たいステージが切り取られていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
急に世界の悪意を煮固めたようなKUSOAMAがポップアップして、ちょっとビックリしたけども。
顔が見えない、相手を見ない。
女達が持つ冷たさと断絶は、実は真澄の鏡合わせなのだろう。
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何でも上手く出来てしまうからこそ、血が通わないジュリアスの台詞。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
天に愛された”顔”をもっているからこそ、他人を傷つけて恥じないクズも引き寄せる。
何かを持っているということは、何かを持ち得ないことと同じくらい、呪いになりうる。ココも咲也の反転かなぁ…。
あ、至が光に踏み出していく先週のシーンでは、彼の過去と今を照らしていた玄関の姿見が、このシーンでは真澄を捉えていないのも好きな演出です。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
『明日が見えない、自分が見えない』
EDで歌われているような迷いの中に飛び込んだから、鏡は何も教えてくれないのだね。
自分をどこかへ連れて行ってくれるはずの靴も、涙と後悔に濡れて。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
しかし闇の中に閉じこもっても、ヘッドフォンはもう外している。カンパニーは真澄の閉じた世界を、いつの間にか開いていたのだ。
その歩みが刻まれた、豆だらけの凡人の掌。綺麗な手や咲也…(キモ蔵の感慨)
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カンパニーは扉を開けて、闇の中に踏み込む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
伏せていた顔を言葉で上げさせて、ベッドを這い上がって同じ視線を交わす。ここで踏み込む特権が、咲也にあるのはまぁ当然。W主役だからね。
悩んで迷って努力して、ようやく真澄の領域まで咲也が上がった、ということでもあろう。
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んで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
悩める真澄の純情を、仲間たちは笑顔混じりで光の中受け止め、より良い方向へと一緒に歩いていこうとする。
それは非常に喜ばしく、またここまでの話運びに嘘がない、良い必然の混じった展開だ。
その形が”兄弟”を擬す必然性が、果たしてあるのだろうか、ということも含めて。
家族は善いものだ。しかし、善いものの全てが家族である必要はない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
芝居を共に演じるカンパニーの、絡み合う個性と絆。それが家族的な色彩と手触りを宿すことは当然あろうけども、まるで引力に惹かれるかのように、全てがそこに整形されなければいけないルールも、また無いのではないか、と思う。
同時に家族というのは普遍的な問題であり、”家”は万人のシェルターであり檻でもあろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
そういう普遍を、個性の強いキャラクターに共通の軸として貫通することで、物語の空中分解を防ぐ求心力として活用する狙いも、家族志向にはあると思う。
彼らは家族になっていく。兄貴のように、弟のように。
それは血縁の網の中では果たせず、喪失や諦観の冷たさを抱えて、皆カンパニーに集った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
そういう運命の力強さは、物語を加速させる大事なエンジンであり…同時に”家”こそが唯一絶対の救済と、何かを切り捨ててしまう危うさにも隣接しているだろう。
欠けていたものが、暖かく埋まる場所。
だからこそカンパニーに強く引かれる魂の色合いは、ここまでとても上手く描かれてきたと思う。それがそれぞれの事情と脂質に合わせて、個別の温度を有していることも。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
その多彩さを、このお話の家族主義は傷つけるかも知れないという危惧を、僕はなかなか捨て得ない。
楽しみつつ、足場は結構曖昧だ。
そういう不安定をもまた楽しみつつ、作品の地金(と僕が感じるもの)に向き合っていきたいと思わされる至誠も、やっぱこの話にはある気がする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
カンパニー≒/=/≠家族。
そういう等式のどれを(あるいは全てを?)選びながら話を紡いでいくかが、個人的な注目点ではある。
真澄にとっていづみへの恋とはとてもシリアスで血の通ったもので、氷のような自分を突き動かす唯一のものなのだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
そんな彼女は何よりもまず演劇人で、役者を板に上げるために全霊を捧げている。二人の視線はステージを間に挟んでズレて、繋がっている。
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ここで『好きな芝居』という監督からの課題を、真澄が自分に嘘をつかず、『アンタの芝居が好きなんだ。アンタが好きだから』と答えたこと…そしてそれが、役者としてのいづみの救済になったことは、とても素敵だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
個人を突き動かす、身勝手で狭い慕情。それが”芝居”に繋がることも、世の中ある
真澄は恋に嘘をつかず、でもこれから”芝居”をしていく自分にも嘘をつかず、必死に考えて『好きな芝居』を探した。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
公平で正しい答えなんて、狭い世界しか持たない少年には見つけられないけど、それでも冷たい心が動いた瞬間に、自分だけの答えを探し求めた。
それが、愛おしい人の過去を救い得た。
それは恋の一幕としても、またそこを離れた(と同時に、人生の一幕として強く繋がった)人間の真実に嘘のない、素敵な一瞬だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
そういうものを、狭い視野で必死に探し、そこに引っかかった他人と芝居を結構尊重しながら、真澄が演じ得たこと。
それは少年の身の丈と魂を、伸ばす一つの成長だろう
アガペと誠実に満ちた『いい話』で収まらず、愛おしさを熱い唇に乗せて一気に踏み込みたい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
真澄の情熱は、僕は何も間違いではないと思う。
しかし”兄貴”は2人が恋人に…”家族”として繋がり続けるには不適切な関係になるのを、無垢に止める。
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春の恋はまだまだ序幕で、このあと芝居と人生に向き合いながら、真澄の世界も大きく変わっていくのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
大急ぎで結論を出されたら、これから広がる物語が死ぬ。勿体ないってのは、一つの真実だと思う。
一本気にすぎる”弟”を見守るカンパニーの視線は、朗らかで温かい。花は開き、静かに揺れている
同時に、疑似家族の危うい重力均衡をぶっ壊して、人生のなかで唯一真実だと思えるものにまっしぐら、真澄が進むことを許してあげても良いかなと、僕は思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
今後季節が巡り、MANKAIカンパニーは人を増やすだろう。
大家族の中心として、あづみは誰もに優しく、誰も特別には選び得ない。
それは複数キャラクターに優劣をつけること無く、サービス終了まで物語を紡ぎ続けるという、アプリベースの作品世界を維持するために、必須の無決断でもあろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
そういう聖域を守るべく、咲也は一歩を踏み出し、間に入った。物語力学的にも、未熟な”弟”の暴走を止める意味でも、正しい行動だ。
でも中座させられた踏み込みには、幼く熱く無分別なものがマグマのようにうごめいている。氷の天才が手に入れられなかった、生きている実感が。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
それが立花いづみの形をしているのなら、口付けさせてあげてもよかろうよ、と。
アプリもやっていない、女性主人公に自己投影も難しい僕は、勝手に思う。
とまれ真澄の恋も芝居も、On goingな演目だ。次回の公演を一つの節目としつつも、彼の不器用で必死な人生は(他の全ての演目がそうであるように)続いていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
幕開けの光に挑む、その瞳は晴れやかで。
血縁とはまた違う”家族”の重さを込めて、台詞に血が宿る。
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春、風に誘われて集った五輪の花が咲く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
MANKAIカンパニーの運命を占う、春公演初日。
様々な迷いと軋みを背負いつつ、それでもお互いぶつかり、分かち合ってたどり着いたステージ。
ブザーが鳴る。幕が上がる。
観客の期待の視線が突き去り、今まで積み上げた全てを板に乗せる。
それが成功するのに必要な、汗と迷いと情感は、ここまでの話でちゃんと描けていると僕は思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
素材は十分以上。あとはどういう料理をして、どういう結末で春を終わらせるか次第。
春組の一区切りとなる次回、非常に楽しみです。
ここ本当大事だと思うけど…多分”勝つ”よ、いいアニメだからこれ。
追記 僕が作品に信頼を預ける最大の足場は、結局主人公の”人格”なのだなぁ、と再確認したりもする。
A3!追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
年下で指導する立場でもある真澄が、己の上手くいかなかった過去、魂の傷に大事な言葉を投げてくれたとき、しっかりと頭を下げて礼が言える人間がA3! の主役なのは、俺凄く良いことだしありがたいことだと思う。
敬意と礼節を、瞳を曇らせず正しく使える。大事なことよ本当。