ご感想ありがとうございます。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月1日
呪術も虹も非常に面白くて、湧き上がりつつ見ております。知らないからこその感慨とかを、上手く言葉にできてれるなら嬉しいところです。
今後もだらりとやらせていただきます。#マシュマロを投げ合おうhttps://t.co/R0oS8RBIQd pic.twitter.com/vz4AmH7L0N
GREAT PRETENDERを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
最後の仕事と引き受けた詐欺は、エダマメの譲れない部分を揺るがす。
親に捨てられ、行き場などない少年少女。
犯罪の片棒を担いで、救いの手を差し出す矛盾。
絶望に濁った瞳を、虚言を吐き出す口が救いたいとほざく。
オレらもアンタも、何処にもいけない子供なんだよ。
そんな感じの、極東犯罪絵巻第二話。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
エダマメ…ひいてはこの作品が人情の体温で誤魔化してきた、犯罪のどうにもならなさ、愉快でも痛快でもない鈍痛が子供の形にまとめられて、ブスブスぶっ刺してくる話だった。
生っぽい痛みがジクジク迫るが、必要な展開、必要な話数だと思う。
終章はローランの過去と現在を巡るエピソードであると同時に、作品全体を総括するお話になりそうだな、と今回見て思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
露骨に強調される、父殺しのモチーフ。
エダマメに正義と家族へのこだわりを植え付けて、よりにもよって人身売買でとっ捕まった親父へのコンプレックス。
そしてエダマメの詐欺の真価を教え、犯罪者として導き支配してるローランの父性。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
最悪の仕事と吐き捨てても、ローランの敷いたレールの上を歩き続け、”良心”を捨てきれず外れる半端者。
そんなエダマメが、カタギになるにせよより深い闇に沈むにせよ、超えなければいけない相手。
そういう存在としてのローランが、輪郭を手に入れてきた印象だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
エダマメのやりたいことは、詐欺やってては貫けない。少なくとも人の言われるまま、他人の用意した舞台で踊っているうちは、それを用意した側のルールを超えることは出来ない。
犯罪者としての”父”に、どう対峙しどう超えるか。
この極東ヤダ味絵巻は、その前駆みたいな感じがする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
こんな事やってて、善人なわけねぇだろ。
売上グラフ、小綺麗で熱のない部屋、商品維持のための食事、売り物が向ける濁った視線。
奴隷商売の全てが、ロマンの欠片もない犯罪の現実を教えてくる。
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こ極悪奴隷売買ッ!』って言われるド派手な悪じゃなくて、商品が傷まないよう一応餌与えたり、寝床を綺麗にはしてみたり、”仕事”としての小器用な配慮がある描写が、なんとも最悪である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
絵に書いたような極悪であれば、絵に書いたように爽快な反撃も出来るだろう。今までそうだったように。
でも今回片棒担いでる犯罪は、ひどく生々しい質感でビジネスとしての質感を伝えてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
売り飛ばすために餌与えてくるクズに、子供が希望を預けるはずもなし。
エダマメはどんよりとした表情で、ローランに弱音を吐く。でも、降りるわけには行かない…と読み切られてる
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自分が欲しい物を手に入れるために、獲物を取り巻く環境のすべてを操作するのがアイツのやり口だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
当然エダマメの過去、深く突き刺さったファーザー・コンプレックスは調査済みで、子供を人質に取られたら彼が退けないのを踏まえて”最後の仕事”に用意したのだと思う。
そう追い詰めて、何を狙うか。
それが見えないまま、ビジネスは進展していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
ヨーロッパの人買いに擬したシンシアと、本物の王族を利用した茶番劇。迫真の演技は石神を飲み込み、アビーは大金に見合う”お姫様”に化ける。
デカい山当てないと立場がない、石神の焦りも利用してるな…。
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降って湧いた大物手に、どんだけの値を付けるか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
紫煙をモノともしない、シンシアの鉄面皮が朱雀を騙す。アビーちゃんの裸体が仕事に必要だと判ってても、ゲスの目には触れさせたくないエダマメの奮戦が、可笑しくも愛おしい。
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獅子の身体に虫を入れたら、仕事はアガったも同然。お姫様と一緒にドロン、後は野となれ山となれ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
それが、悪党を喰う悪党のスタンダードだ。慈善事業がやりたいなら、詐欺師じゃなくて国境なき医師でもやってりゃあ良い。
しかし、エダマメは詐欺師である。そこから抜けられない理由が、いくつかある
一つは彼の才覚。なんだかんだ、役に本気で入れ込む彼の資質は詐欺師としての強みだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
一つは過去。犯罪に人生を歪められ、真っ当に生きることを望みながら叶わなかった歪みは、彼を詐欺に惹きつける。
一つは運命。まぁ、そういう星の下に生まれてきた感じは強くある。
そして、彼が抜け出そうとするたびあの手この手で、自分の領域に引っ張り込んできたローランの存在。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
騙すのは悪党だけ。そううそぶいても嘘と泡銭に溺れる生き様じゃ成し遂げられないものは、沢山ある。
エダマメが求めているのは”そっち”だが、それを果たしたければ詐欺師は辞めるしかない。
そうはさせじと、エンジンに魔法の薬をぶち込み、名画の値段を知ってて隠し、絶対に降りれない”最後の仕事”へ誘導する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
ローランのその情熱は、一体どこから来るのか。
今後物語が進み、彼の過去が顕になるに連れ、それも見えてくる…のかな?
まぁそれは、目の前のビジネスと譲れない願いを超えた後の話として。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
金は手に入れ、後はお姫様を檻から出す算段。既に終わったつもりで浮かれる同僚にため息一つ、酔わせて写して一丁上がり。
今回ガチャ占いの卦を読むのが、石神なのは面白い。”親殺し”…と。
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アビーを釣り餌に汚い金を引っ張り上げる算段は、スルスル順調に進む。金を稼ぐだけなら、話は簡単に終わる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
でも、そうではない。
ただの詐欺師でいられない自分をエダマメに思い知らせるために、用意された試練のように、ビジネスは別の方向へネジ曲がっていく。
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盗んだ鍵で扉を開けても、絶望に瞳を染めた子供はそこから出ていかない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
悪人しか騙さないとうそぶいていても、詐欺師の言葉なんて信じない。
ここから出ても、行く場所なんてどこにもない。
善良な正義のミカタなんかに、今更なれると思うのか?
そう問いかけるように、エダマメのヒロイズムは拒絶される。まぁ、当たり前っちゃ当たり前だわな…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
エダマメは子供を見捨てて金を稼ぐ悪人にも、真実人を動かせる善人にも、今のままじゃなれない。
他人の用意した舞台で踊ってるだけじゃ、本当に掴めないものは掴めない。
ローランはこの暴走…の失敗を、予見し期待してた節すらある。飛び立ちつつあるエダマメに、現状を叩き込むべく状況を仕込んでる気がする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
問題は、そうしてどうしたいか、だ。
エダマメが善良を求めるように、ローランは何を求める?
抜け出せないと知って折れ、自分に膝を折ることか?
はたまた、”父”たる自分の思惑を超えていって欲しいのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
ここを読みきれないことが、終章にのめり込ませるサスペンスを生んでいると、僕は感じる。
ニヤニヤ笑いの底が見えない男として、三章書き続けてたのが生きてるなぁ…。
アビーは助け出せず、子供も動かせず。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
状況は振り出しに戻った。
結局は薄汚れた嘘つきでしかない自分を飲み込むように、慣れないタバコを吸うエダマメ。
悪徳を嫌っていても、それを口に入れる以外選べなかった生き方が、ひどく苦い。
©WIT STUDIO/Great Pretenders pic.twitter.com/0qxwuCfilh
この苦さの源泉であり、行き着く場所。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
あの美しい夕日、父に背負われてみた世界。
結局、そこにエダマメの全てがある。善を求めるのも、掴みきれないのも。
”父”と向き合うことなしには、自分のやりたいことは出来ない。苦い煙が、そう教える。
…という所で、次回に続く。
というわけで、なかなかうまく行かない現状を、ビジネス失敗に重ねて見せるエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
奴隷売買という”仕事”の、全然劇的じゃないディテールの積み重ねが、エダマメに現実を突きつける話運びを上手く支えていて、面白い感触だった。
ここまで痛快ピカレスクやってた分、なかなか新鮮だ。
伊達政宗の謎解きで”父殺し”のモチーフが刻まれ、自分を裏切った実の父、隠微な支配を続けるローランの長い影が、エダマメに伸びていることが判る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
檻に閉じ込められて出れない、行き場所のないただの子供なのは、助けたかった被害者だけではない。
エダマメもまた、彼らと同じだ。
つまりエダマメが自分自身を檻から出さない限り、彼らは差し出された希望を信じ、人情派詐欺師の望む結末には進んでくれないのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
そしてそれは、人を騙すより遥かに難しい。
エゲツなくも面白い”最後の仕事”を、どう進めるか。どう、檻から出るか。そして、その後の景色は。
次回も楽しみですね