イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

スーパー・カンヌ

J・G・バラード、新潮社。バラードの結構新しい(2000年発行)作品。バラードといえばアメリカン・SFの思索的旛手としての作品がやはり有名だが、そういう軸を外して書かれたこの作品はサスペンスである。ディズニーランドとまったく同じ意味で人工的なカンヌの「ビジネスパーク」エデン=オランピアで起こった虐殺事件を追ううちに、楽園に仕込まれた謎をいやおう無しに発見してしまう、というエンターテインメント作品として、非常に高レベルであり一気に読まされてしまった。同時にバラードらしい思弁性もまた残っており、両方が両方を引き立てるという非常に稀有かつ幸福な作品であると思う。面白く、また興味深く一気に読んだ。名作。