イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

その音楽の<作者>とは誰か

増田聡みすず書房。ポピュラーミュージックをはじめとする音楽に関する美学・社会学の論文集。いや、良くかけている。論文集なのでさまざまな事象を論じるのだが、複数の視座から見つめているのは「音楽の現在」という一点であり、その徹底が強力なテーマ性となって可読性を生んでいる。
もちろんその読みやすさは、徹底的な資料への当たりこみ、読み込みが生み出しているものだし、論旨の展開のわかりやすさが強く影響しているのは言うまでもない。もはや産業と切り離せなくなった音楽と、「作者」を有する文化の交錯点としてのポピュラーミュージック。リミックス文化、著作権、テクスト論とさまざまな分野に足を延ばしつつ、一本筋が入った骨太な本である。良著。