イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

道教とは何か

坂出祥伸、中公叢書。タイトルどおり、中国の道教についての本。筆者は日本道教研究の大一人者であり、その博識が迸る本である。さて、道教の宗教・倫理を少しでも勉強しようと手に取ったが、「道教の本分は呪術」という筆者の考えにより、この本で紹介されているのはさまざまな呪術である。
呪言、呪符、房中術、歩法、錬丹術などなど。いかにも適当なオカルト雑誌が取り上げそうな題材であるが、筆者は中国語原典を徹底的に読み込み、いかに道教が強力な呪術宗教であり、かつ中国においてしっかりと根を張った信仰であるか、を明らかにしていく。
オカルト染みたこれらの民俗は無視されるか過大評価されるかの両極によりガチだが、筆者は学者の本分としての公平性、資料性をけして失わない。しっかりとした書き口で分析される道教の呪術は、宗教学というよりもむしろ比較社会学の手法に近いだろう。
ともあれ腰のしっかりした本である。良著。