イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

日常生活の犯罪学

マーカス・フェルソン、日本評論社。犯罪学の本。元々が教科書として書かれているため、非常に可読性が高く、論旨も明確である。筆者固有の理論である「ルーティン・アクティビティ理論」に従った論が、大量の統計資料に基づいて論じられる。
研究対象が米国の犯罪事情である、実地調査があまりにも足らず、論理的に過ぎる、などの弱点もある。しかし、心理要因をも環境要因として計算し、実際的な犯罪対策を次々と提案してくるその姿勢は、非常に強靭な説得力を持っている。犯罪多発が叫ばれる近年だからこそ、あえてこのような理論理想主義的な本に目を通すことの必要性を感じさせられた。良著。