イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

中世のアウトサイダー

フランツ・イルジーグラー&アルノルト・ラゾッタ、白水社。ドイツ語タイトルは「乞食と大道芸人、娼婦と刑吏」 中世末期から近世初期、14世紀から17世紀までのドイツ、ケルン市における職業差別について述べた本。
とにかく当時の行政資料、書簡、裁判記録、その他諸々の一次資料を掘り下げ、同時に現代の研究にも幅広く目を通している。膨大な文献をしっかりと見通し、中世期においていかなる扱いを「名誉なき職種」の人々が受けていたのか、もしくは実は受けていなかった時期があったのかを丁寧に記述している。
豊富な図版は理解を助けてくれるし、各職種ごとに分かれた章立ては直感的で読みやすい。少々訳文の調子が乱れるところがあったが、それを差っぴいても面白い書物であったと思う。良著。