イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

銃姫 8

高殿円MF文庫J。きっちり煮込まれたファンタジー世界でのろくでもない戦争のお話も大詰め、のまえの地ならしといった感じの八巻ですよ。流石に八巻かけて(ところどころ抜きのエピソードはありましたが)ろくでもない大国とろくでもない部族がろくでもない戦争をする状況を煮込んできただけあり、地ならしとはいえ嵌め手と謀略の横行するろくでもない戦争の描写がねっとり濃いです。
独自の呪文理論や世界観描写が骨太なこの作品ですが、それより骨が太いのは軍人とレジスタンスのどうにもしようがない戦争具合であり、突き詰めて言えば「人が死ぬ場面」です。オリジナリティあふれる呪文も、それを看板にするのではなく、結局人を効率よく殺す手段に(状況が戦争になだれ込むのにしたがって)なりました。民族とか戦争とか、そういう難しいお題目を掲げなくても手ぬるくやれる、というかやりやすいセッティングでここまでろくでもない戦争をろくでもなく書いているのはとても凄いことです。そんなろくでもない戦争の中で各人想いを抱えたまま生きたり死んだりする。そこが書いてあるこの小説は、やはりいい小説なのです。そろそろ終わりが見えてきましたが、どうなることやら。どきどきして次を待ちますよ。