イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

ダブルブリッド 10

中村恵里加電撃文庫。大体五年越しで、シリーズ完結。んー。終わることを願っていたわけですが、ずっと。いざ終わってみると、なかなか難しいなぁ。とにもかくにも、とりあえず出来に関してはおおむね満足。ブランクを考慮に入れると、きっちり〆たなと思います。五年間が開くと色々忘れているだろうに。
んでまぁ。僕はこのシリーズがとても好きで、終わっていく話としてとても好きだったわけで。どうしようもない人たちがどうしようもなく死ぬ話てのは、書くのもこのご時勢難しいし、このシリーズはわりかしいい死ぬ話だった。それゆえに、この話しを終わっていく話だと勘違いしていた僕は、どうしようもない形で終わらないで、綺麗に終わってしまったこの本にすこし、寂しさを感じているわけです。
もちろんそんな感情は、どうにも持って行き場所のない感傷なわけですが。中村先生がブランクを乗り越えて(という表現をするのがふさわしいかどうかは、今後の中村先生の執筆を覗くしかないわけですが、それはまた別の話です)この話しを終わらせたこと、しっかりと小説の形を維持して終わらせたこと、は喜ばしいことだと思います。正直、終わらないと思っていたし。
ただ、ま。四巻がずっと、戻りの付いた針のように胸にじくじく刺さっている自分としては、もっとぶっ壊れてもいいかなぁ、とも思うわけで。もちろんこの小説は中村先生のもので、中村先生が終わらせるべきだと思った形で、終わったんですが。僕は勝手に、この巻で語られた終わり方とは違う、もっとどこにもいけない詰んだ小路を妄念しておったわけです。
まぁそんなものは、脳髄にこびりついた妄想以外の何者でもなく、僕は中村先生じゃないからこの寂しさはどこにも行かずどうでもいいわけですけれども。この小説を好きだった自分としては、こんな風に後ろ向きな感想を、この小説の完結に際して書き残しておいてもいいんじゃないかな、と感じました。お疲れ様でした、中村先生。