山田芳裕、講談社。おもしろ安土漫画の七巻目。利休七哲と古田織部回りのお話をしているよ。七巻は秀吉まさに絶頂期で、伊達恭順に小田原攻めとイベント盛りだくさん。まぁこのあとガクッと坂が下るんですがそれはそれ。対して利休宗匠のほうはもうそろそろ燃え尽きちゃう時期で、山上宗二は殺されちゃうし秀吉とは不仲だし、という時期。
というか宗二死んじゃったよ。いや死ぬんだけどさ。このマンガ誇張してるとはいえ、史実がモトネタだし。山上宗二はこのマンガでも史実でも結構好きな人物であり、宗匠がガクーっと落ち込んでしまうのに、思わずシンクロしてしまいます。古田織部をあくまで"俗物"として主人公にすえているこのマンガにおいて、超越性は全部宗匠に委ねられており。宗匠の肩が落ちると、このマンガのテンションも落ちるような気がする。
のですが、流石に山田先生もベテラン。凋落の中のドラマというか、利休最後の残り火を巧く見せつけて、漫画に仕上げています。絵やキャラが濃い目なので見過ごしがちですが、群像劇として各人のツブを立てて、それを見せ付ける丁寧な構成を心がける巧さは特筆に価しますね。ある人が上がればある人が下がるのは世の常で、とも安土末期ともなれば。そこらへんのまくり合いが面白い時代ではあるのですが、それを巧く見せるためには、漫画力が要求されると思います。今回でいうと、高山右近の帰還とか。
この後は宗匠オンステージであり、織部の数寄者としての地位も天下一に上るわけですが。宗匠の超越力を、無理なく俗物織部につなげられるか、という構成上の心配も含めて、非常に楽しみです。面白いねぇこのマンガ。
