イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

MOONLIGHT MILE 17

太田垣康男小学館。一時期雨後の竹の子のように生えた宇宙漫画で、モノホンらしく生き残った漫画の十七巻目。間に印パの重たい話を挟んで、ゴローとロストマンから主役交代。ゴローの息子歩くんの時代であります。間の話と言っても、パキスタンのテロリストの話は非常に重たく、情け容赦のないエピソードでした。まさか、ガチで核戦争になるとは思ってなかった。どっかに逃げ道を用意しているとか考えてた自分は、この漫画のガチっぷりをまだわかっていなかったという話で。
んで。主役交代で何が変わったかというと絵。漫画はまず絵、だと僕は考えているのですが、その根っこの部分を弄ってきました。トーンを押さえて、輪郭線濃い目ベタ強めの、アメコミっぽい感じに。もうすぐ二十巻なのに。しかし、新しい世代である歩君は月面人であり、エベレストすら制覇した超男性たちとは大きく異なるわけです。それこそ骨格から。ので、なで肩で眼勝ちな美形という歩のデザインは、かなりグッドな舵取りだと思います。
デザインという意味では、10年の時間を経てフロンティアから日常の一部へと姿を変えた月面都市のデザインも、非常に強力な鋭さを持ってます。工業デザインとして切れ味のいい街の風景は、かなり雄弁に主役と時代が変わったことを伝えてくれます。説明ではなく描写で伝えるのは、流石に巧い。こういうところで一新してくれると、本当に話が切り替わるんだなぁ、と実感します。
んで話のほうは、人類史初の月面人歩くんが、屈折しながら生きる話になりそう。相変わらず周りの政治は複雑にうごめいていますが、根っこにあるのは登場人物の心情とか激情とか、そんな感じのもので。この漫画はとにかく、そういうモノを取りこぼさない漫画なので、ガッツリ期待が持てます。いい舵の切り方したなぁ、とつくづく思いますね。マギーとかいい歳の取り方したし。十七巻を数えてなお、次が楽しみですね。