イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

マリア様がみてる リトルホラーズ

今野緒雪集英社マリみて新刊。前作「ハローグッバイ」で一区切りつき、「マリみてもここで止まるだろうな」と思っていたところに嬉しい不意打ち。厳密にはバラエティギフト形式の短編集であり、祥子卒業後の「三年目」がシリーズとして続くかどうか、はまだ不透明なところですが。それにしたってマリみてがまだ出る、というのはファンである僕にとってやはり嬉しいニュースなのです。
中身のほうは短編集に必要な切れ味が鋭くて、なかなかに楽しく読めました。セッティングや表現もいいんですが、着地点がスッキリしない作品が多く、そこから生まれる奇妙なテイストが非常にグッド。あえてすっきりさせないことで読ませる、という変化球の短編がぎっしり詰まっていて、リリアン抜きにして面白かった。
ぶっちゃけリリアン舞台にしなくてもイイ話ばかりなのですが、出版社的なアレコレもあるだろうし、なんだかんだとここまでマリみてを読んできた僕には、リリアンという場所自体が一つの魅力になってしまっているのも事実。マリみての外側に出れないのであれば、内側で横幅広く立ち回る、という緒雪先生の戦略は、強かかつ面白いものだと思います。その結果が、へんてこな短編が切れ味鋭く迫ってくるこの本なワケで。「三年目」がどうなるかはさておき、この本は良い短編集でした。