イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

ガンスリンガー・ガール 11

相田裕メディアワークステロリズム渦巻くイタリアで、女の子たちがひどい目に合う漫画の十一巻目。死臭濃厚となった前巻に引き続き、今回もバンバン死ぬ。まぁ人が死ぬ話であるのはこの漫画の感想を書くたびに言っているのだが、それでも辛い。作中でジャンさんも言っているが、義体娘どもは心も体も限界で、ここに至っては死ぬ順番の違いでしかない。それでも辛い。それはまぁ、この漫画が趣味の悪さを全開にして積み上げてきたもののおかげだろう。
今回顔のある敵役が出てきて、さて最終局面という色も強くなった。だが、この漫画は世界の悪を塗り固めたハリウッド的な仇が出てきて、そいつ打っ殺してハイおしまい、という漫画ではないし、なってほしくないし、なってはならないと思う。今まで散々趣味と居心地の悪い、どうにも悪いお話をつづけてきた以上、この漫画の終わり方は一期の義体娘どもがさまざまな死に方で死に絶えることしか要求できない。そういう意味で、今回の突入でバンバン死んだ(公社もGISもテロリストも)のは、ただしく終わりつつある証明なのだろう。
そのような視座で見れば、後半の過去話も終わることへの補強であり、ちらほらと姿を見せつつ消えつつしていたクローチェ事件の真相、というなんともミステリ的な情報の出し方で一瞬の断絶があるのは、なかなか興味深い。前半を見るとクローチェ兄弟の業はどうにも深く、どろりと歪んだ目がいつも以上に目立つ。その上で、エッタから「死に狂いの場で狂う権利」を奪う優しさが最悪の形で結実しつつあり、今までたっぷり描いてきたジョゼの偽善の因業も帳尻が合いそうだ。どうにも情けも容赦もなくて、とても辛い。つい、次の巻も確実に読んでしまう位だ。