イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

へうげもの 9

山田芳裕講談社。戦国茶席絵巻の九巻目。ついにこのときが来た、という感じの利休切腹でございます。なにぶん時代物なので、登場人物の末路は一応知れ渡っているわけで。重要なのは、物語としてそこまでどう持って行くかの過程、事実をいかに描くかという演出なわけです。漫画力をブンブン振り回して数寄を描くこの漫画は、いうなればこの利休切腹の場面にたどり着くために今まで巻数を重ねてきたわけで、否が応でも天王山の空気が盛り上がるわけです。
さて、そのようにして注目と期待が集まる利休の土壇場。実際どうだったかというと、一言で言えばよかった。この漫画の武器である、ハッタリとケレンが効いた漫画表現と、秀吉・光秀・織部そして利休それぞれの腹に秘めたキツさが身に迫る心理描写で、見事に描ききりました。特に利休最期の無双は想定外すぎて、一瞬惚けた後笑ってしまった。こういう角度から不意打ちしてくるので、この漫画は凄い。その上で、利休が床に座ってからの流れはじんわりと染みたり4ページぶち抜きで魅せたりで、ただしく天王山でした。
さて、そうなると不安なのは"その後"であり。ここまで緩急つけた大見得の後、果たしてどうなるかというのはなかなかに難しい問題です。が、二年進んで古田殿も天下一宗匠の風格を見せた外交をし、なかなか理想的な着地加減だな、と感心しました。利休という巨人がいなくなった後、大きくなりすぎても小さすぎるままでも漫画が死んでしまうと思っていましたが、織部は相変わらず織部のまま名声を背負っていて、なかなか良い。今後にも期待が持てる、へうげもの一つの山場でありました。あ、どうでもいいことですが、石田(兄)の萌え加減が異常。超イカス。