イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

プロレスメン

ジェントルメン中村、講談社。世にも珍しいプロレスラー漫画。プロレス漫画、ではなくプロレスラー漫画である。どういうことかというと、プロレスリングという現実演劇を、いかにプロレスラーが演じきっているか、というリアル超人漫画なのだ。夢とロマンとショーマンシップに関する漫画、と言い換えても良いだろう。
中小団体のヒールコンビと、その付き人である新弟子が織り成す日々は、戯画化されているがしかし、プロレスを愛しているものならこうあって欲しい、というケレン味とサービス精神に満ちている。主役級の三人だけではなく、ベビーの面々も外人助っ人も、それぞれの生き方、それぞれのレスリングがある。とても良い。
絵のほうは油っこく古臭い絵柄であるが、油っこく古臭い昭和のプロレスラーが、いかにショーマンでありサービス精神の塊であるか、というノスタルジーを一点突破で攻めてくる漫画なので、この絵がとてもいいのだ。あとまぁ、一点突破型の漫画はネタ切れした後続くと凄まじく無惨なことになるので(アレとかアレとかアレとか)、一巻でコンパクトに纏まっているのも良い。しかし「ジェントルメン中村の漫画を読み続ける」という側面からはあまり良くないので、中村先生の興味がむっくり頭を上げる題材で、また描いて欲しいものだ。そう思わせる、非常にピュアでソウルフルな漫画だった。