イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

オールラウンダー廻 6

遠藤浩耀、講談社。世にも珍しいMMAスポ根漫画の六巻目。今巻はほぼ一巻丸丸VS加賀谷戦。フィジカルもテクニックもキャリアも、勝負のほぼ全ての要因が上回る相手にどう戦い、どう勝ちに行くかという部分が見所。それだけではなくMMA競技者として、技術・肉体的のみならず精神面でも成長した廻の見せ方もとても巧い。
一巻で、一番勝ちたい相手であろうタカシに負けてヘラヘラ笑ってた廻が、今回は泣く。よくある展開といえばそれまでですが、この漫画はそこまで積んできた描写の量も質も凄いし、試合自体の臨場感や迫力が別物。なので、廻の涙がつくづく良く刺さる。いい少年漫画、いいスポ根。特に肩固め入った時の勇大の声援は、ありえないくらいの名シーン。凄い。ここで終わってもいいくらいの充実感ですが、面白い漫画なので続く。ええこっちゃ。
今巻は対戦相手の加賀谷の描写も凄く良くて、キャラクターとしてのバックボーンの描写も、ざらざらとした焦燥感が匂い立ってくる感じでとても好みですが、何より試合自体の描写が分厚い。体格があって、前に出るハートと自分の武器を知ってる確信のある選手だけが持つ「圧力」をここまで描いた格闘技漫画は少ないんじゃ無いかなぁ。左ジャブでダウン取られてから、気持ちも試合も引き締まる展開が、すごくいい。
勝ち負け自体はとても大事だし、そこをないがしろにしたら競技漫画としては終わり。だけど、健一郎さんが言ってたように、格闘技が強いだけでは、偉くもなんともない。その一手奥に(もしくは、格闘技それ自体の中に)何があるのか。この漫画はそこを匂わせる漫画であり、つまりは極上の少年漫画である。そこらへんの底力をつくづく思い知らされる、関東予選編ラストでした。いやー面白いわやっぱ。