イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

百合男子 3

倉田嘘一迅社。表紙を見るだに、どう見ても不良がボクシングするマガジンかチャンピオンの漫画三巻目。もともとメタ百合漫画なんですが、今回は特にその方面が強く、全然メス出てこない。ムサイおっさんや、百合男子こじらせた面倒くさい雄たちが画面を専有し、暴力のまっただ中でスラムダンク六巻後半から八巻したり、ドラゴンボールごっこしたりする。そんな百合姫掲載漫画。
百合男子どもが画面をネームと雄臭さで専有しながら、延々面倒くさい百合千日戦争をするのは恒例行事なのであんま触れないとして、話のほうは師匠の百合バレ回避に付き合わされるのと、即売で三井寿ゴッコする展開。ていうかサウザーか。後半は乱痴気騒ぎの中で、消費者と創作者のキワに触ってくる部分があって、落とし所をチラチラ見せてくんのかなと思った。パロディ色が強すぎて、色々見えなくなってるけど。乱闘に尺割きすぎて、ポニー先生の心が折れる説得力が薄いとかね。
あと師匠の嫁さんが百合男子許容派の百合女子で、嫁さんの贖宥状が出るんで百合男子の葛藤はオールオッケーです! みたいなマザコン展開はマジ勘弁です。いや無いと思うけどなんとなく。俺がこの漫画で好きなのは、結局ヘテロで男性でしかない「私」にずっぷり腰まではまって抜け出せない中、過剰なエゴとそれを他人に押し付ける暴力性を「笑い」に昇華している部分です。
百合男子どもがグッチャグッチャ話してるような事案は、どれも正解で(あるべきで)、結局問答は空回りするネタなんで、それなりーに落としどころを見つけて、それなりーに落ち着いてしまうのが生な百合ヲタというもんです。もしくは、主に匿名のフィールドで延々戦い続けるか。どっちにしろそこを論じること事態に実りはあんまないんですが、それでもそこに居続けて、そこで足掻いている彼らは(一応)本物で、彼らのくっだらない拘りも真心から出たものです。本当のことだからこそ笑える。笑いながら、くっだらねーと思いながら、でもまぁ俺にもそう云うのはある、この漫画は俺の漫画だなぁ、と感じる。そういう部分が好きなんです。
んで、いきなり女性っていう超特権を生来持ってる存在が、上から全部オッケー! って百合男子のくっだらねーグチャグチャを許容されると、とたんに俺の漫画ではなくなってしまう。今まで積んできた膨大なネーム全部踏み倒す行為なんで、まぁ無いとは思うんですが、P147にはちょっとその気配を感じた。この俺のくっだらない危惧なんて全部吹き飛ばすくらい、今後も大真面目にネチョネチョと悩んで欲しい漫画であります。