イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

乙嫁語り 5

森薫エンターブレイン中央アジアでほっこり暮らす、色んなお嫁さんのお話も五巻目。今回で双子の結婚には一段落ついて、またアミルさんのところに話が戻った。「お嫁さん未満」だったタラスさんとか、「お嫁さん中」なアミルさんとか、今回「お嫁さんをはじめた」双子とか、女性の人生史の様々なタイミングを、フェティッシュなカメラで切り取るアニメだと再確認。
双子の結婚式はなんかキュンキュンする描写と、NHKのドキュメンタリーみたいな、徹底して執拗な中央アジアの風俗への視線が入り混じった変な絵面だった。形から入ってなんとなーく情みたい生まれてくるシーンとかやっぱりキラキラしてんだけど、細かいパーツへの拘りが異物めいた光を発していて実際怖い。そこに生活感が生まれるからこそ、特別ではない結婚の話が真に迫ってくるわけだけども。まぁ森先生に細かい書き込みすんなってのは無理だ。
アミルさんと鷹のエピソードは、ほっこりだけではない峻厳さというか、土のそばで生きえる時否応なく迫ってくるシリアスさ見たいのが非常に巧く漫画になっていて、ショートショートとしての完成度がとても高かったと思います。アミルさんの狩猟民出身らしい、ソリッドな死生観も見れたし。処分を買って出るカルルクさんの夫度、雄度にちょっと胸キュン。あとババ様は男前すぎ。そらクイーン言われるわ。どっしりと腰の座った観察眼と、それを漫画に起こす確かな腕、キャラクターと風土への愛情という、この漫画の良さがしっかり生きた五巻目でした。