イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アニメ感想日記 14/06/05

 

・ エスカ&ロジーのアトリエ
「特に突出したところもなく、程よいヌルさと柔らかさでゆったり時間が流れる」お話を監督させたら日本一の監督、岩崎良明らしい最高のまったりアニメとして、ゆったりまったり楽しませてもらってる本作。
ですが若手メータの中でも強烈な岩崎リスペクト演出を武器にブイブイいわせてる中野英明のコンテ・演出と絡むと、さすがに脂っこい出来になって日記も書きたくなる。
いや普段の"若鮎だし淡旨塩ラーメン"みたいな流れも大好きだけどね、俺。

温泉回なので肌色多めの湯気多め、三パンハーモニー画面分割にブラックアウトによるざっくりしたシーンカットと、中野演出の火力がこれでもかと詰め込まれた過剰な演出。
なのですが、肌色描写も不思議とお色気レベルで止まり、Bパートには圧縮された展開に漂う、いい塩梅の間抜けさ。
ココらへんの入りと抜きはいかにも岩崎的であり、同時にアトリエ的でもあり、押し通ろうとしても静かに跳ね返してくる、ゆる系監督最右翼の意地みたいのをちょっと感じた。
この風通しの良さというか、清潔感が俺は好きなのだ。
あとテンション上ってばら撒いた書類を自分で回収したり、わざわざバスタオルちゃんと付けて湯船ではちゃんと外すところとか、いかにもイベント感盛り上げた宝玉より魔法花火のほうが精霊王との交流に役立ってたり、そういう部分ネ。
……悪魔のリドルは岩崎センスを継承するアニメという可能性が、微粒子レベルで存在している?(錯乱)

その上で初見にはフックが足らないのも事実で、中野演出のクドさはそこを補うのに、結構いいかもとも思った。
まー竿役担当のロジーさんがかなり枯れた性癖の持ち主なので、油っこくなりようがないというのもあるが。
原作と演出、監督とコンテの相互作用が、なかなか奇っ怪な効果を出した面白い回だったと思います。

 

・ シドニアの騎士
VS紅天蛾一回戦と、クマのおもひでぽろぽろという二本立てでした。
宙間戦闘もジジイのサムライソードバトルも、切れ味の鋭いアクションであり大満足。
そしてクマのヒロイン力が天井知らずでヤベェ……。
後のりおな、狼狽えるくらいなら謀殺なんてしなけりゃいいのに……状況が異常だししょーがないか。

人類サイドの兵器をコピーしたことで、今までの怪獣大決戦とは違った、圧倒的なエース機体とのドッグファイトが描写され、なかなか良かったです。
空間を使った描写は、やっぱ3Dの強みが出ると思いますね。
「そんな余裕ないわ」と言った三秒後に、長道がエナ白を確保していて、やっぱ英雄は物が違うなぁと思いましたなぁのりお!!

そんな英雄に全てを仕込んだジジイですが、テクノロジーが人類の定義を書き換えた世界にあってオールド・スクールな倫理観を持っており、サムライめいた戦い方も相まって古武士の風格。
シドニアが今までの二瓶作品に比べて一般受けがいいのは、わりかし血の通ったキャラが多いというか、感情回路の動作原理が解りやすく、僕らが抱え込んでいるヒューマニズムに近い道理で作品が動いてるからかなぁ、とか思った。
意念で機転を制し、戦場を制御下に置く剣術描写はなかなか凄みがあり、ドッグファイトとチャンバラが一度の食べられるとはなかなかのお子様ランチ(好きなモノが全部乗っている、の意味)でした。

血が通っている、といえばララァであり、女の情念と戦士の決断力を併せ持つ、圧倒的なヒロインでした。
クマなのに。
すげーいいこと言ってるシーンなのに、クマなせいでちょっとズレた空気が画面に漂うんですが、その違和感が逆にSFぽいーっつーね。
ジジイの延命を優先した艦長といい、亡霊の恐怖に怯えるのりおといい、恋した男のためなら人間も投げちゃうララァといい、今回は人の矛盾した側面がよく出ていて、なかなか見応えのある回だったと思います。

イザナも可愛かったしな!
いやマジ、妖精めいた悪戯っけと優しさを持つイザナは、シンドい人類生存戦争の中で重要な癒やしポインツだと思っております。
豊崎さん巧いよなぁやっぱ。

エナ白もなにか起こしそうだし、次回も楽しみですね。

 

・ ラブライブ
主役を「μ'sを支える人たち」に譲りつつ、名曲"Snow Halation"を引っさげての地方予選決勝。
2月の大雪と伝説のSSA初日をオーバーラップさせる、ライブ感の強い回でありました。
いやー、あの時は雪かき大変だったなぁ……。

今回、EDテロップが流れるまでの映像は、ほぼすべて「μ's以外」を描写するのに使われました。
アバン周りで徹底的に描かれる、家族との光景。
一期の奮闘により穂乃果たちが獲得した、新入生への説明会。
そして、まさに縁の下の力持ちな活躍を見せた、音ノ木坂学院一般生徒。
彼らのバックアップがあってこそ、μ'sはステージに立てるのだ!! というメッセージを積んだ上でのスノハレリブート。
負けるわけがない流れでした。

登校するまでの描写は家族との繋がり(高坂家、綾瀬家、矢澤家)と、学年どおしの横のラインの再確認が主でした。
雪穂が思いの外ホノキチで、一期のメイド喫茶といい、「高坂姉妹の絶妙な距離感を一発で描写するのこのアニメうまいなぁ」と再確認。
姉の緊張感に一発で気付き、即座にほぐしに係るアリエリの間合いとか、そこを希でリフレインさせる演出もね。
あと、矢澤がなんか消えそうだった……アイツの強がった背中には。いつも儚さがあると思います。(矢澤にこに思い入れが強すぎるマン)

同級生登校風景はまぁファンサービスで、丁寧にキャフフさせててグッド。
三年の思い出つくりムードに「うーわー……終わるやんけこのアニメ」と再確認したり、一年トリオが三人だけの時に見せる子供っぽさが微笑ましかったり、こういうスケッチ的な描写の巧さは日常を取り扱うアニメではホント大事。
八極拳の達人みたいな動きで矢澤ハウスの扉を制圧するのんちゃんは、前回を受けて少し積極的になったのだろうか。
……元々、自分のやりたいことに関しては積極的だった気もする。


学校という要素は"スクール"アイドルであるμ'sの物語にはとても大事で、それは穂乃果が生徒会長になったことで強化された部分でもあると思います。
廃校回避という目標を達成し、クエストの喪失危機だった穂乃果に、一話で「音ノ木坂にこだわる理由」を与えた一話は、思い返すと妙手だったな。
一期後半の身勝手な行動への反省と、生徒会長としての責任感を組み合わせて描写するシーンは二期では結構多くて、七話の予算騒動であるとか、今回の遅刻覚悟の説明会参加だとか、細かいところだと更に色々あります。
そこら辺は一期を踏まえた上でのキャラの成長描写であり、シリーズアニメの醍醐味だなぁとも思いますね。
巧いなぁと思うのは、「理事長は説明会でなくて良いと言っていた」という補足を入れることで、極力悪者を作らない努力をしているところでしょうか。

その後のスーパー雪かきユニットヒフミの活躍に関しては、理屈ぶっ飛ばしていいんじゃないでしょうか。
ラブライブ(つーか京極監督と、その師匠である菱田監督)のロジックは常にエモーション優先であり、他のアニメの言葉を借りれば「ややれそうな気がするときはやれる」という法則に則って、世界が回ります。
一期ラストの空港だってどう考えても間に合わないし、穂乃果は二回ワープしているとしか思えませんが、お話の躍動が『学校での海未との会話→空港でのことりの説得→学校でのμ'sライブ』という形式を求めるのであれば、それを優先してシーンをセットする。
この3つのシーンはそれぞれ『学校(出発)→空港(達成)→学校(帰還)』という場所を必要としているので、そのニーズを再優先したセッティングだと思っています。

「お前らがこの子たちの物語を、自分たちの物語だと思えるようなブリッジは限界まで描写する。だから、それでもなお判らないなら判らんでいい。無様に直球の描写をすることはない」つー、京極監督の演出哲学に関しては、如実に菱田イズムを継承していると思います。
画面の端っこにおいたもので心情を描き、細かい台詞で物語的な刺を抜き、描写の豊かさをふくらませて膨らませて投げるスタイル。
これは視聴者が物語と、作中人物に対して前のめりにならなければ通用しないスタイルであり、取り残される人たちには「理不尽である」という印象を与えるスタイルでもあると思います。

今回で言えば、あの雪の描写で2/9のSSA雪中行軍なり、家の前の雪かきなり、止まる電車なりの、個人的な物語を思い出し、重ね合わすか否か。
自分の物語として、モニタに映し出されている穂乃果の焦燥と、それを神の如き奮闘で突破させた一般生徒への感謝に共感できるか否か。
これは優劣の話ではなく、物語へのレセプターの話、個人の特性の話になるので難しい所ですが、ラブライブは前のめりに見たほうが楽しめる、とは言えると思います。
一歩引いた距離から見ていると、入り込んで見つめること前提の演出が、効果的に刺さらないアニメというか。
無論、入り込ませるための布石は大量に打っているし、それは効果的だと自分的では思っていますけども。

一般生徒が楽しそうにジャンプしている様子を、OPで積極的に写してることから見て取れるように、アニメラブライブにおいて「みんなでμ'sのステージを作っているんだ!」という意識は、相当に強いと思います。
ましてや、音ノ木坂学院の生徒は廃校回避という問題(利害?)を共有し、学院という場所を共有し、ステージセッティングを支援してもらっている立場であり、彼女たちにスポットライトが当たったのは、とても良かったと思いました。
観客/裏方を描写することで世界が広がっているのもありますが、"他人"を巻き込める魅力がμ'sにはあるんだ、という描写をすることで、アイドルとしても、部活としても魅力が増したところだとおもいますね、滑走路のように開けた雪の道は。

ヒフミ達はスーパーサブとして、一期三話くらいからすげー重要な仕事をしている大事なキャラだと思っています。
一期終盤で穂乃果が立ち直るきっかけも、彼女らが与えているしね。
そんな彼女らが、「自分たちが体を張って、μ'sをステージに上げるんだ」という誇りと矜持を持って裏方やっているということが明示されたのも、今回の良かったポイントですね。
いや、見てりゃ判るけどさ彼女らのプライドとまごころは。
あのクッソイモいレインコートと長靴は、宇宙で一番カッコ良かった。


ステージに関しては、言うことはねぇ。
散々煽った期待感を踏み台に、空の裏側までカッ飛ぶようなパワーの有るリブートでした。
曲が一旦落ち着いてからのUO点火はあれだな、理屈をすっ飛ばしたアゲ感があるな。

むしろ重要なのは、これだけエモーションのあるステージを見せて、それをぶつける相手であるARISEをどう描写するのか、という部分だと思います。
彼女らはμ'sが抜くべき"天井"として非常に巧く描かれていたので、その終着点である直接対決にも、否応なく期待が高まわるわけです。
ましてやμ'sからのコールが、物語的助走も含めてあれだけの仕上がりだった今回、ARISEからのレスポンスがショボイと、すげーしんなりすると思います。
が、まぁラブライブ! なんで。
どーとでもなるでしょう。どーともするでしょう。
来週、楽しみですね。