イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アニメ感想日記 14/06/07

・ 神々の悪戯
個別回ラスト? はギリシャの面倒くさい方ことアポロンくん。
バルドルに引き続き、このアニメの金髪は病む法則でもあるのか、というくらいトラウマに縛られた回だった。
ホンマ、ユイちゃんの主人公力がなければ、あのイケメン共ズブズブやで。

お話としては幽霊女房系の綺麗な展開で、こういう地力の強さがこのアニメの強さよなぁ、と再確認。
まぁトト様が過去最大のスタイリッシュ☆壁ドンを決めてたり、ネタ方面にも強いけどね……アポロンになんで全裸かも聞いて!!
かなりいい塩梅で個別回ラップを集会し、温度上がりまくりキャラに思い入れ発生しまくり。
クライマックスにはベストな状態で終盤戦であり、すごく楽しみですね。

 

・ チャイカ
ラストエピソードに向けて、キャラクターの過去を掘り返し、モチベーションを整理し、関係を強化して世界観の描写を深める回。
派手さはないですが、エモーショナルな画面の作り方も相まって、なかなかリッチな回だったと思います。
こういう回がクライマックス前にあるアニメは、ホント強いなぁ。

記憶のないチャイカと、辛い記憶しかないトールの対比は、オーソドックスながらも叙情性高くて、非常に良かったです。
取り戻せない過去を重ねられても、怒るどころか慰めにかかるチャイカのヒロイン力ヤベェな。
あのシーンは丁寧に描写された異世界の魔法弾屋といい、黄金の光差し込む長椅子の美術といい、異世界ファンタジーふたり旅の魅力を煮こごりにしたような、いいシーンだった。
そういうシーンを作るために、場を賑やかにするだけしたら即座に退場するアカリのPC3っぷりとかもグッド。

敵さんもまったりとした平穏な日常を送りつつ、不穏なフラグを立てていた。
ライバルサイドも丁寧に描写してくれるのは、キャラにもお話にも深みが出ていいやねやっぱ。
いろんな部分をしっかり地均しして、一期ラストエピソードに向けて万全な体制が整ったと入っていいんではないでしょうか。

 


・ ピンポン
ザクザク進むインターハイ予選と青春、今回は真田のお話が終わり、ペコとドラゴンにエンジンがかかった。
ペコにはオババドラゴンにはアクマと、強力な聞き役がいるからこそ、主役のモチベーションが綺麗に開示されんだなぁと感心。
この二人の直接対決に向けて、すげー温度上げていた回だと思います。

こういう書き方をすると真田さんが、無様噛ませ犬のオナマスハゲ横恋慕大臣みたいに聞こえるかもしれないけどけど、俺はあの人の藻掻き方すげー好きで。
結局彼もピンポンの青年たちが皆そうであるように「男の背中に惚れて頭がおかしくなった男」であり、風間大好きというモチベーションを原動力に、良きキャプテンとして、恋敵として、ライバルとして自分を任じたかった男なわけです。

でも、ずっとそばに居ても、真田にドラゴンのことは判らない。
佐久間が「自分の為に打ってる? そんなわけないじゃないですか」と見抜いた直後に、「チームの為に打っている」という言葉を言われてしまう。
虚心坦懐に打っているつもりでも、その言葉の奥にあるドラゴンの嘘、孤独、相手の望む姿を全開で満たしてしまう歪んだ優しさを、見抜くことが出来ない。
卓球という競技の才覚だけではなく、人間の性根の部分にも、製作者の冷厳な目は行き渡っていると、此処らへんのやりとりは僕らに再度、教えてくれるわけです。

がしかし、佐久間が卓球から離れてより大きくなったように、真田の無様な真っ直ぐさもまた、マイナスの側面ばかりではないわけで。
負けの背中を勝ちが追いかけ、低い所が気づけば上にあるような、そんな奇妙で転倒した人生観があるからこそ、このお話は競技論として、勝負論として、青春譚として優れた場所にたどり着いている。
そういう世界の中で、真田もまた、何らかの価値と意味を持っているし、また見出していくんじゃないでしょうか。


一方、二人の天才は綺麗に明暗分かれた形。
「自分の為でも、他人の為でもなく卓球を打つ」ドラゴンと、「自分の為にやった結果、他人の為になる卓球を打つ」ペコの対比は、アニメ独特の台詞・演出追加で更にクッキリした印象を受けました。
コマ割り演出をアニメーションとして一歩進展させた真田戦といい、今回特に演出の切れ味は良かった。

「父親を負け犬として喪失している」というドラゴンのオリジンが明確になったせいで、彼の苦痛と優しさもまた、はっきりと見えてきた。
超父権的に周囲を振り回す存在という意味では、海王の理事長は「悪」なんでしょうが、その豪腕で開けるものもあり、また父を失ったドラゴン一家を(卓球での成果を押し付けるという「悪」を同時に行っているとはいえ)物理的に支えたのが彼というのも事実。
そこら辺の「良し」と「悪し」がグルグルお互いの背中を見つめ合っている感じも、このアニメに特徴的な"相反する価値観の融合と超克"つー軸にしっかり絡んでいて、なかなか面白い。

更に言うならば、誰よりもストイックで他人にも自分にも厳しく見えるドラゴンが、その実誰よりも優しく「他人が自分に求めている自分」を徹底できてしまう、という所も、相反の文脈においては大事なんではないでしょうか。
彼の持っている優しさが、必ずしも他人(百合枝、佐久間)にとっても、自分にとっても「良い」ものではない、という意味でも。
ドラゴン(と彼の才能に惹きつけられた数多の人たち)の持っている多数の矛盾は、この後のペコとの試合で解消されるわけで、今から楽しみです。
相反する要素を的確に見せ、それを熱量を持った描写で昇華するというのは、物語のダイナミズムの基本ではあるのですが、やっぱりしっかりとやってくれると非常に興奮しますね。


そういう意味では、この話最大の矛盾はやはりスマイルボーイであり、ずーっとヒーローの帰還を信じ、不器用に待っていた彼こそが、この話最大のヒロインだと言えます。
ペコの回想と決意は、このヒロインの魅力を最大限に拡張した、とてもいいシーンだったと思います。
少年期のスマイルの笑顔をちゃんと可愛くかけている所、野沢雅子の演技力、アレだけ反対した上で無言でラケットを渡す道夫さん。
いろんなパーツが完璧に噛み合っててなぁ……良いシーンだった。

今回は徹底的にスマイルをロボット・モンスターとして描くことで、それをヒーローペコが解消してやらなければならない苦悩として描写することに成功していたと思います。
本当、猫田や真田とやってる時のスマイルはシンドそうだ。
その状態を、ずーっと側にいる小泉が解消してやれないのがね、どうにも切ねぇ。

あの流れ、あのシーンをやっておいてドラゴンに勝てないってのは物語上はありえないわけですが、僕らはドラゴンの苦悩や優しさ、強さも見てしまっている。
両者に肩入れしている以上、片方任すためにはモヤモヤした心をぶっ飛ばし、結論を飲み込ませるどデカいカタルシスがなければいけません。
次回勝負の回であり、演出担当は湯浅監督・シリーズ構成・脚本・絵コンテだそうです。
楽しみですね、凄く。

 

・ アイカツ
前回おとマリを強化したので、今回は蘭そら。
カッチリと殺陣について真面目に展開するAパートと、ぶっ飛んだ特訓の後に濃厚な蘭そらがキまくるBパートという、アイカツ定形の硬軟取り混ぜた展開でした。
いやー、あの映画は確実に空飛ぶ蘭絨毯に二人が全裸で乗って、世界の果てを突破していくエンディングだと思う。(ウテナの亡霊にとりつかれた男)
もしくは二人で自由になれる場所に旅立ち、永遠の少女として時間と空間を超越して飛翔し続ける。(シムーンの亡霊にとりつかれた男)

Aパートは写真(54話『笑顔のヒミツ』)や振り付け(58話『マジカルダンシング♪』)のように、綿密な取材を活かしたマジメで丁寧な展開。
フツーのアニメだと「アイドルに俺の殺陣は教えねぇ!!」みたいな頑固爺がゴネて起伏が出来るもんですが、アイカツの先生役はみんな話が早く、要点をコンパクトに纒めて教えてくれるネ。
余計なストレスはかからんし、展開は早いし、これはとても良い。

ここで土台を作っておいて、常在戦場系アイドル"美しき刃"紫吹蘭のチャンバラデイズとか、蘭ちゃんが引くほどグイグイ来まくるそらちゃんとか、まさかのアクションアクタージョニー別府とか、アラビアンだと思ってたらレズビアンだった映画とか、とんでも方向にアクセル踏みこむのがアイカツ
いやホント、全然ツッコミ追いつかねぇわ。
おもしろチャンバラでスターライトの各キャラに見せ場を作ったり、ナマクラ呼ばわりが定着した蘭ちゃんのかっこいい所が見えたり、デザイナーらしい革新的な発想でストーリーラインを根本からひっくり返しに行くそらちゃんだったり、バカなだけじゃないのもアイカツらしいけどね。
いちごとの鍔迫りシーン、作画良かったなぁ……。

つーか、そらちゃんは自分の好みで映画を改変しすぎ。
露骨に蘭ちゃんとリ・マージョン、もしくはエンゲージしたいだけじゃんあの展開……序盤のアラジン解説と根っこから変わってんじゃん……。
ああ……おとめが言ってた「ネコと思って油断しましたね~」ってそういう……。
欲しいものは貪欲に奪いに行く美月さんとはまた別の、姫ッ面しつつも気付くとがっちり握りこんでいる実力派の気配を、そらちゃんには感じますネ。

後アレだ、ジョニーの出番が無茶苦茶あって驚くと同時に嬉しい。
振付師・ダンサー・教師に加えて、オーディション用の当て役とは言え俳優まで出来る辺りジョニーはすげぇぜやっぱ。
浮遊したり分身したり、常識を超えた演出をリアルタイム・事前準備なしで出来るアイカツシステムもすげぇけどな。
さすが近未来。

堅牢な土台からぶっ飛んだ飛躍を経て、最終的には師範の教えを真面目にこなし、熱意を持って前向きに頑張った二人が報われるという、丁寧な教訓を見せる女児アニらしい展開。
王子様(女子)とお姫様(女子)が手に手を取って、魔法の絨毯(意味深)で世界の果て(意味深)を突破していく意味深なエンディングは、まぁ何だアイカツだ。
クソ真面目さを武器に変えた蘭ちゃんも、発想力で世界を変えたそらちゃんも、みんなの株があがるいい回だったと思います。

あ、アイカツ8に関してはスンゴイことになっているので、ゲーム本家を要チェキです。
http://www.aikatsu.com/ranking/vote01.html
現状、主役的立場であるソレイユのメンバーが各属性トップをとれていないという異常事態。
アニメブーストのかかったニューカマーと、このイベント限定のレアキャラがグイグイ押しこむ中、主人公のベスト8入りすら危ぶまれる大混戦です。
いやー、ついにアニメでヒカリさんのCGモデリング来ちゃうかー。