イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アニメ感想日記 14/06/27

・ シドニアの騎士
一話丸々小惑星ガウナ戦ー!!
というわけで、クライマックス戦闘前編でございます。
画面の作り方、見せ方が上手くて、グイグイ引きこまれながらあっという間に時間が立ってしまいました。
奥行きとスケール感のある画面作り、迫力のある音響、メリハリの効いた戦闘描写。
クライマックス、かくあるべしだなぁ。

話のほうは戦闘メインであり、第二部隊がガンダムにぶっ潰されるリックドム並の速度で蒸発し、シドニアにおけるモブの命の値段を教えてくれた。
主人公長道&ネームドエースたちの操縦技術の高さも良かったですが、司令補佐として戦場全体を見る立場にいるユハタが、ビビりつつも必要なことをしっかりやる女であり、なかなかグッドだった。
最善を尽くしてもなおバッタバタ死ぬシビアさも垣間見れて、緊張感のある戦闘描写が生きていたと思います。

ジリジリとテンションが上がる中、未だ長道と紅天蛾は接触せず、エナ白も不気味な沈黙を守る。
丁寧にクライマックスへのヴォルテージを上げていく展開に、俺の期待度もレッドゲージです。
いやー、アニメのシドニアは面白いなぁ。

 

・ アイカツ
6月頂上決戦! WM VS ソレイユ決着!! 
つーわけで、結構尺をとってサードシーズンのトップとセカンドシーズンまでの主役の直接対決、後編。
徹底的に「なんでソレイユが負けるか」「その負けがどういう意味があるのか」を積むために、時間を使いまくった回でした。
「なんでWMが勝つのか」に染められない辺り、アイカツが背負わされている重荷のヘヴィさが見える回でもあったと思う。

サードシーズンで前線に戻って、すっかり暴君ッ面が板についた美月さんですが、今回もわりかし余裕で勝利。
活動時間三ヶ月、休止期間一年九ヶ月のポンコツユニットを引っ張りだして、まともに合わせる時間もないのに仕上げてきた、いちあお蘭を褒めるべきなのかも。
無論上の文章は皮肉で、WM一凶に説得力を上手く出せず、かと言ってWMとぶつかる以外のイベントも出せない現状が、そのままおっ被さったような展開でした。
ドリアカのメンツとか、ただの解説役だもんな……。

美月さんが余りに強まりすぎていて、彼女の孤独は誰かがへし折んないと止まらない段階まで来ているのだが、誰もへし折れない状況に来ているのが、個人的にはモヤっとポイント。
スターアニスで合宿とかしてた時、少しは人間らしい魅力を見せたと思ったんだが、またアイカツマシーンに戻っちゃった感あり。
ソレイユの負け方もわりかしヘラっとしたもんだったしなぁ……アイカツの空気を守りつつ、しっかり負けさせるのも難しいか。

とは言うものの、キャラの弱さが目立つみくるちゃんの強化月間〆としては中々良く出来ていて、”美月とその足かせ”ではなくWMとしての魅力は、程よく見せられていたと思う。
だからこそ、ただただ強いアイカツタイラントではなく、人間的魅力のあるキャラクターとして、物語に絡んできて欲しいところだ。

販促とストーリー、ゲームとアニメ、商売と創作。
色んな物に揉まれながらお話を作っていかなければいけないのが、女児アニの宿命(アニメ全体の宿命なんだろうけど、児童ターゲットはその傾向が特に強いと感じる)というものではあるが、その隙間をうまく泳いだからこそアイカツの躍進はあったと思う。
この勝利の次に、WMがどういう位置で描写されるか。
注目したいと思います。

 


・ 棺姫のチャイカ
飛行要塞編最終ー盤!! ということで、ゴミクズがなんか綺麗に死んで要塞が湖に沈み、チャイカたちの珍道中はまだまだ続く。
人殺すときにアッサリサックリ殺すのは、このアニメっぽくて好きですよ。
アニサマ、肝臓ぶっ刺してから捻ってたな……プロはやっぱちげーな。

一方ジレット隊は隊長死亡で、アサシン子ちゃんがネオチャイカに。
設定公開して即描写で回収するのは、なかなか生き生きしててグッドですよ。
まぁ隊長も多分死んでないけどさ!
チャイカチームが安定して日常に戻る感じのEDだった分、ジレット隊は激動だなぁ……二期に引っ張ることを考えると、どっかが大暴れしないとダメか。


アニメ全体としてみると、安定感のあるキャラ配置とストーリー展開、異世界観を醸し出す美術と設定、目的がはっきりしているため好感を持てる主要キャラクターたちと、非常に安定して面白かったです。
ロードムービー的な話の構造を、しっかりとしたい世界描写が支え、世界観に魅力が生まれていました。
魔法で動くチャイカカーの描写とか細かくて、すげーワクワクすんもんな。
そういうの大事、すげー大事。

作画に関しても、時々怪しくはなりましたが、キメるポイントではバッチリキメており、BONESの面目躍如といったところ。
サバターという主人公の設定を、しっかり組み立てられた殺陣の説得力で魅せていたのは、凄く良かったです。
こういう感じで作画力を使うと、タダウマにならず活きた演出として仕事をしてくれてる感じがしますネ。

健気で可愛い片言眉毛・チャイカに、うらぶれた純情アウトサイダー・トールと、キチガイ純愛主義・アカリ、そしてお話の都合を一心に背負う都合の悪いチート・フレドリカ。
キャラの個性や相性が良く、「こいつらの旅は楽しそうだな」と思わせることに成功していたのは、ロードムービーとして強いところだったと思います。
細かいコメディー描写も毛並みの良いもので、見ていてけして嫌な気分にならず、楽しく見れました。
異世界描写をしっかりしていたので、お約束にあまり逃げなかったのが強いところかな。

群像劇的な側面もあって、ジレット隊にしても赤チャイカにしても、ただの頭弱い敵役ではなく一個の人物として、しっかり描写されていました。
継続してお話に参加するキャラが、好感の持てるキャラだってのはすげー大事だと思う。
イライラするガイのお話を長々続けられてても、視聴者的には面白くねーからな。

とにかく堅牢なアニメで、やっぱ登場人物の目的をはっきりと描写し、心情に共感させ、世界観に没入させるという基本のキは大事だなぁ、と再確認させてもらいました。
無論、ふつうのコトを普通にやるのはとても大変で、様々な努力の結果この堅牢さが生まれているわけで、新奇さに逃げず、オーソドックスな話をしっかりやりきったスタッフの努力に感謝であります。
土台は一期でしっかり作ったので、二期でのさらなる飛躍を期待したいところですね。
良いアニメでした。

 

・ ラブライブ!
いいクライマックスでした、掛け値なしに。
そういう感じのラブライブ! 十二話感想。
言うなれば介錯、文句なしの太刀筋でバッサリと未練を切り落とすために。

今回のエンドシーン、アンコールからの『僕らは今のなかで』は26話続けてきたアニメ版(京極版?)ラブライブ!のクライマックスであり、彼女たちの青春の物語、その最高潮であります。
自然そこは視聴者の高まりにおいても最高のピークであるべきで、今回の話はその頂きをどう作るのか、という構成の妙が光りました。
到達点をラスト一話前に持ってきて、クールダウンと広がりの確保に丸々一話持ってくる構成は、モロにプリリズっぽいすね。
コンテも菱田さんだし。

前半パートは花陽を悩み役、矢澤をグイグイ行く役に設定して、未だくすぶる「うおー、ラブライブ終わんないでマジ!!」というキャラクター(そして視聴者)の気持を、丁寧に描写していくフェイズでした。
「出すためには閉じなければならない」とばかりに、Bパート怒涛のテンション三段天井を成功させるため、シットリとして落ち着いたAパートを持ってくる構成の妙を感じます。
一番描写されていたロケーションである音ノ木坂学院を、最後の日常パート(13話でも日常描写はあるのでしょうが、それはいわば余生で、ラブライブ!本戦トリ&アンコールという最高の非日常をくぐり抜けた後では、仕事の内容が大きく変わるので”最後”)に指定したのは、彼女たちの青春を見守り、追体験してきた視聴者へのクスグリとしてベストでした。
「あー、あったわー」と思わせるカットを多用することで、画面に写っている以上の情報を視聴者の脳味噌から引き出し、劇作に奥行きが出ていました。
これ自身は前回もこれでもか! とばかりに使われた演出手法であり、ノスタルジーを兵器に転用できるだけの蓄積があるアニメは、やっぱ強いと思います。

無論過去を振り返るだけのアニメではないので、懐かしさは未来に飛翔するための滑走路。
そこら辺の「シンドいが前に出る」仕事は、やっぱりμ's一の意地っ張り、宇宙ナンバーワンアイドル矢澤にこが担当することになるわけです。
「憧れのラブライブ!抽選に出ただけで、感極まる矢澤」「一期のリベンジとばかり、神の引きを見せる矢澤」「後輩を突き放しつつも、即フォローに入る矢澤」などなど、クライマックスでも矢澤はしぬほど美味しかった……。
やっぱ、矢澤にこという存在がいなければ、アニメ版ラブライブ! は成り立ってねぇなと再確認。

「エピソード全体が終わりに近づいているので、出し惜しみなし!」とばかりに、穂乃果が正解を言う→絵里が追認して残りの七人に広げるという”型”を出していました。
これをやるとテーマはまとまっちゃうし、キャラクター全員が問題を解決しちゃうしでまさにμ's伝家の宝刀ともいうべきパターン。
静かに進めつつ、もう一度「スクールアイドルとは」「μ'sとは」「ラブライブ! とは」といった諸テーマに答えを出し、「ああ、こりゃ勝つ/終わるわ」という心境に視聴者を導くのが、ステージが始まるまでの映像の仕事です。
尺を上手く使う必要のあった二期前半では、あえて抜かなかったパターン(例えば5話)でもあるんですが、話のまとまりを出さなきゃいけない局面でバンバン使うのは、正しい演出だと思います。
『話のテーマに答えを出す』仕事を、個別回以外はほぼすべて穂乃果がやっている事を鑑みると、やはり高坂穂乃果は素晴らしい主人公であったな、と再確認します。


Aパートが学校を舞台に「スクールアイドル」についてもう一度答えを確認するパートだとしたら、Bパートは「ステージ」についての描写をするパートでした。
大舞台に上る前の緊張感、高揚感、そして表現だけが持っている『全てが渾然一体になってしまう、圧倒的な瞬間』の丁寧な描写は、ただμ'sの心境をリアルに追体験させるためだけではなく、ラブライブ!が扱ってきたテーマ、その最後のピースを埋めるための補強だと言えます。
それはつまり、「歌うのは楽しい」ということです。

μ's(というか、その中心核たる高坂穂乃果)には、μ'sであるべき理由がたくさんあります。
アイドルに憧れているから。
自己を実現したいから。
友達を助けたいから。
廃校を阻止したいから。
時々理由を見失いそれを再獲得したりしつつ、彼女らは全力で青春を駆け抜けていったわけですが、μ'sのステージが身体表現である以上、そこには大きな理由があります。

それは「楽しいから」というものです。
歌って、踊って、表現して、それが人に伝わっていく楽しさ。
UTXのオーロラヴィジョンでA-RISEのパフォーマンスを見た時(つまり物語の開始時)から、高坂穂乃果はステージの楽しさに取り憑かれたのであり、それは何度も表明されたテーマでもありました。(例えば一期三話の絵里との対話)

ラブライブ!の成功の大きな要因は、『登場人物が何故、それをしなければならないのか」という理由付けをテーマとシンクロさせ、その全てをなおざりにしなかったことにあると思います。
友達との関係も、アイドルへのあこがれも、学校という場所への義務感も、真の自己表現も、しっかりと話数を与えられ、はっきりとした感情の起伏と一緒に描写され、共感されてきました。
しかし、この話は「スクールアイドル」の話しであり、ステージングという表現手段をわざわざ選びとった少女たちの話であります。
ならば、「なぜ、ステージなのか」と問いと「それは、楽しいから」という答えは非常に重要で、それは最高のクライマックスとともに描かれなければならない。
そんなスタッフの意思が、長い時間を使って丁寧に描かれた、観客席とバックステージの描写から感じられました。
そこには、奇っ怪な魔力のようなものが、確かにあるのです。


入念に準備されたμ'sラストステージで、視聴者(というか僕)のテンションは天井まで行くわけですが、此処でアンコールを挟み、必要な情報をテロップまで動員して驚異的な手際の良さで見せていく手腕で、クライマックスはついに爆発します。
爆発的なアンコールの声と、揺れるサイリウムの海を見てついに穂乃果が決壊するシーンのヤバさは、筆舌に尽くしがたい。
此処で水際に達したテンションを、カーテンが開くと同時にぶち抜きで出る『挿入歌 「僕らは今のなかで」』で更にもう上げる手腕には、もう白旗上げるしかない。
25話見てきた(もしくは、企画立ち上げから付き合ってきた。もしくは、3rdからシングル買った)視聴者であれば、アレはどうしようもなく持っていかれるように、入念に組み立てられているシーンです。
そういうシーンが、最後に来る。
アニメとして、とても幸せなことです。

あのアンコールシーンは、とても優しいなと感じました。
それは客席にいる『今までμ'sが出会った人々』の声援でも、この期に及んで株を上げるヒフミチームでもなく、視聴者にとって優しいという意味です。
ラブライブは終わる。
とても楽しくて素晴らしいアニメだけど、これ以上彼女たちの物語を現在の状況で続けることは出来ないし、終わらなければならない。
その苦しさを、全て燃やし尽くすように物語のテンションは極限まで上がり、「僕らは今のなかで」で極限を超える。

それはファン感情の一種の介錯であって、「物語は終わるべき」「物語は続いて欲しい」という矛盾を、「物語は完全に終わることで、永遠に続く」という理想型で昇華した偉業でもあります。
「アレはして欲しかった」「このシーンは欲しかった」
好きであればあるほど、未練は名残り胸を苛むわけですが、『μ'sの物語』を限界まで『僕らの物語』として受け止め、彼女たちの終焉を僕達の終焉として認められるよう、スタッフはラブライブ! を燃やし尽くしたのです。
無論、様々な困難を乗り越え、製作者たちの才能と努力の限りを尽くして作り上げた作品が、そのような終わり方を要求し、達成させたのであり、ならばラブライブ! は「製作者」と「視聴者」の矛盾もまた(それこそ穂乃果がバックステージで言ったように)昇華させてしまったのではないでしょうか。
綿密な計算と圧倒的な技量、それを実現させる熱意。
全ての詰まった、素晴らしい回だったと思います。

かくして、ラブライブは終わり、μ'sはラストステージを達成しました。
まさに完全燃焼と言っていいでしょう。
燃え尽きた灰から、如何なる人生が再誕するのか。
とても楽しみです。