イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

TNXサプリ「クロス・ザ・ライン」レビュー データ編

この記事は『「クロス・ザ・ライン」レビュー ワールド編(http://lastbreath.hatenablog.com/entry/2014/07/02/055139)』の続きになります。

 

・ データセクション
特技とアイテムがてんこ盛りであり、「おらデータ蟲ども。メシだぞ」と言わんばかりのあざとい態度ですネ(モッシャモッシャデータを齧りつつ)
データが増えるということはキャラバリエーションが増えることだと僕は思っているので、ロールプレイ面から見てもデータ補強は歓迎するべき。
あとデータの対流がやんだシステムは、じわじわ腐敗するわけで、しっかりと新データ入れて風通しを良くするのは有り難いことです。

ゲームを破壊する超データがバンバン入る感じではなく、強いデータはちゃんと高く、安くて小回りの聞くデータもチラホラ、という感じ。
また、新しい形や今まで作りにくかった形にテコが入っており、拡張性重視のデータ追加という感じです。
一度インフレが始まると止まらないのがTRPGのデータ管理なので、節度のあるデータ追加は大歓迎です。
特定ビルドを露骨に狩りに来てるデータが散見されますが、あくまで劇物と考え、取り扱いには注意したいところ。
個別メタで動きを封じられると、ストレスむっちゃ貯まるけんね。


・特技
○カブキ
カリスマに頼らずとも有名人になれる<トップスター>の演出力が光る。
実質的なデータとしては、攻撃をほぼ確定で貫通させられる<プリズムスター>のエゲツなさが光る。
装飾アイテムでしかなかったファッションに意味をもたせた<ファッションリーダー>もなかなか面白い。

○バサラ
近接バサラの夢である<元力武装>や、サポ元力である<時間>など、横幅の広がる特技が目立つ。
<粉砕>は露骨な受け殺しに見えるが、ダメージ+10程度なら他スタイルでも稼げるので、そこまで致命打でもないか。
各種神業書き換えは非常に便利なので、「あー……トループぶっ殺すか……」とおざなりにカタストロフする場面も減るはず。

○タタラ
新BSである電子妨害を与える<ハイボルテージ>が追加されたが、電制参照は凄まじくダルいので、「ツエーけどこれ使えねぇな……」系特技だと思う。
地味に万能な達成値上昇<カスタマイズ>、攻防一体な<出力向上>は非常に便利。
<メイジン>の悪さ出来そう感が凄いことになっており、同時に持ってかれる経験点も莫大。

○ミストレス
メジャーアクションサポートを大幅強化する<励ましの歌><励ましの歌Ⅱ>の性能がすごいことになっており、ARを潰しても支援に回る価値は十分ある。
相手のオートを潰す<黄金の精神>もあって、サポーターとしてのミストレスの価値は二段階上がった印象。
「この制御判定ミスったら死ぬ!」という局面は多いので、<愛の抱擁>が特技なのは有り難い。

○カブト
カブトがサポに回れる<圧力封鎖>はなかなか面白く、<剣圧>などで封鎖状態を作っていくカブトという新型が見える。
<不和の盾>はカット単位で打てるので、受け値カブトの地位が上がった印象。
<フラッシュガード>は「特定のリソースを払って相手の行動を阻害する行為を、上書きで禁じるデータ」であり、<分解消去><餓狼剣><貫通撃>などと同じく、取り扱いには注意が必要。
環境で特定ビルドのキャラが大暴れしており、そいつに脅威を感じさせたい時以外は抜かない方がいいデータだろう。

○カリスマ
用途が非常に限定される代わりに、ARを使わない支援である<徹底抗弁>は面白いデータ。
ARを使わない<パーソナルバリア>である<不滅の情熱>は、ダメージ軽減技能なので<鬼の爪>には無力なことに注意。
<ダブルバインド>はダメージ与えつつARを盗めるので、敵を一生ハメて動かしたくないタイプのPLにおすすめ。

○マネキン
手札腐りが一番身近な死因であるNOVAXに置いて、オートでカードを回せる<アディクション>は強力。
<ハートプレジャー>や神業書き換えなども見ると、コネ技能を一つのリソースとして運用する特技が今回多い。
<アクトリス>は巧く使うと劇的なシーンを演出できるので、シナリオギミックに説得力を持たせる使い方が面白い。

○カゼ
<スローダスト>は面白いんだが、タイミングがメジャーなので使いドコロがねぇ。
メコン潰しに影響されない<アトモスフィール>は<カバーリング>との組み合わせが面白いか。
<エアトリック>を使いこなしたいのであれば、<ドッジ>よりも<一心同体>使いか?
もしくは全員同乗者にして<リスリップストリーム>との同時運用?

○フェイト
能代用技能である<イレギュラーズ>の汎用性が非常に高く、FSの時はフェイトに頼りきりでいいレベル。
演出面では<ホームストリート>の泥臭さが堪らなくナイスだ。
<勇気ある者>はプレアクトコネだけだと動きの幅が狭いので、他スタイルの特技をうまく使い、PC間コネの横幅を広げたいところ。

○クロマク
情報収集の手数をぶっ壊せる<陰謀術数>は、乱用するとアクトが面白くなくなるので要注意。
<処刑リスト>や<代理人>といった、プラチナムをコストにする特技が増えたので、<ブラックマーケット>などを巧く使ってお金を稼いでおきたい。
中々強力な効果を誇るが限定的な<一国一城>はゲストに使わせるか、<フォルム:ストラクチャー>で強引に条件を満たすか(通称、固有結界コンボ)。

○エグゼク
永続強化である<グループサポート><グループサポートⅡ>の強さは言うまでもねぇ強すぎる。
<非合法セクション>の強力さもあって、達成値を積み上げる系サポートとしては現在エグゼクはトップランナーにある。
敵の神業で壊滅しちゃったトループも<再招集>で再生できるようになったので、<専門部隊>の効果もあってトループ使いに風が吹いている感じ。

○カタナ
<壱の太刀>+<納刀術>、<剣圧>+<鬼神剣>など、セット運用前提の特技が多数追加。
ついに<居合>でもリアクション達成値が伸びるようになったので、<デスペレード>と合わせて居合文明の勃興か。
<瞬きの剣>を始めとするエース書き換え系特技は、戦闘の多いシナリオほど輝くんじゃなかろうか。

○クグツ
<マルチワーク>+<過剰励起>+<バルクフィスト>のコンボは綺麗ではあるが、効率的にはそこまで良くない。
特に条件なしで復活系神業を入手できる<忠義者>は、ストレートに強い。
防御型クグツは<上級特権:運命の輪>が福音となるだろう。

○カゲ
<霧隠れ>の効率が非常に良いので、最大活用するためにはカブトを噛んで<一心同体>の達成値を伸ばす感じか。
<戒めの鎖><必殺の絶技>とBSを条件に発動する特技が増えたので、セットアップかオートでねじ込めるスタイルと組み合わせたいところ……アヤカシか。
<忍術>といい、人外系カゲの時代キテル……のかなぁ。

○チャクラ
二ページぶち抜きの優遇で、ウェットチャクラの超強化が始まった。
BS割<生命の泉>、自我達成値上昇<鋼の心>、生身データ強化<鋼の肉体>、移動強化<爆速>、無条件ダメージ軽減<牙の門>、エース差し替え<心技一体>がウェット専用特技だが、<鬼の爪>で潰されない<牙の門>は耐える系なら欲しい。
<練気Ⅱ>はスリーアクションの恩恵を受けられないので、<マルチワーク><手妻使い>辺りとのシナジーで真価を発揮するか。

非ウェットでも使える特技も大量にあって、とりあえず<震山衝>の面制圧力が魅力。
<絶一門>はかなり面白いのだが、どうやって自分に重圧引っ張ってくるかを考えてビルドしないといけない。
<決闘者>の発動条件は、大体のアクトでは満たすはずなので見た目より使いやすい。

○レッガー
<度胸試し>がさすが秘技という性能のダメージ軽減系であり、カバーリング型カブトとの相性がすごく良い。
低経験環境では優秀だろう。
メインプロセス中の手札が増える<ファイブカード>は、メジャー以降のタイミングでワチャワチャするキャラが使うと便利。
逆に言うと、素直にメジャーするだけのキャラにはあまり刺さらないかも。

○カブトワリ
射撃スタイルをとがらせる特技が多く、間合いを指定する<キルゾーン>、単発限定の<セキュアショット>、フル射撃限定の<ゾーンファイア>と、カッコつけたいキャラにグッドな特技が追加。
<フラッシュリロード>はフルオート屋よりも、単発銃で<パリングショット>したいカブトに福音。
<致命の魔弾>はカブトワリ単独で取れる見切り殺しなので、見た目以上に強いと思う。

ハイランダー
<トランス>を条件に強化される特技が多く、<トランス>自体の性能も良い。
レアなX攻撃特技<軌道兵器>がアクト1回であることを考えると、ミドル戦闘は支援、クライマックスに<トランス>で全開放というビルドが実戦向けか。
<汚れなき者>をゲストに持たせる場合、完全シャットアウトにはならないので致命的なものを指定するようにしよう。
オススメは酩酊(小)(<妖魔の庭>対策)。

○マヤカシ
ARを使わず判定を強化できる<未来予知>は非常に強力であり、足の早いアタッカーなどに使うと決定力が高まる。
殴り系マヤカシにとっては<思惟剣>は便利に使える特技。
BSが強いゲームなので、<静音>は見た目より強いと思う。

○トーキー
メジャー支援に<ワイドステージ>、リサーチに<アドバタイズ>と、ベーシックな部分の強化が目立つ。
これ一本でどうにでもなってしまうという意味では<キューサイン>に強力。
<偏向報道>は自分以外にもタゲをとれるので、ドッジ使い辺りにタゲを回してあげるとシナジーが生まれそう。

○イヌ
登場判定にペナがない武器(合法武器)を条件とする特技が増えたので、<携帯許可>の地位が大きく増した。
<制圧の一撃>は貴重な見切り殺しなので、カタナ・カゲを噛ませないイヌは合法武器を使いこなしたい。
<プロテクター>はディフェンダーと他の仕事を兼任したいイヌにとって、大きな福音。

○ニューロ
<バーチャルシューター><カット&ライン>は、ドローンユーザーを強化してくれる強特技。
<ブラックアイス>をフルで回したい場合、<魔改造><スピードエンハンス>などを視野に入れたい。
<サルベージ>は攻撃が通った後にコントロール可能な奥義だが、単独なのでそこまで達成値が出ないことに注意。

○ヒルコ
<外皮の盾>は2レベルまでなら<金剛>よりも経験点効率が良く、<守護本能>も追加されたので受けヒルコに光明が刺したか。
<ニューロダイバー>により電脳ヒルコにも道が見えたし、キャラ表現の幅が広がる調整。
<群長の雄叫び>はとっさの支援として便利だが、AR確保に難ありか?

○クロガネ
チャクラと同じく、強力にフィーチャーされているスタイル。
<フォルム:オブジェクト>の自動取得がすげー強く、<マインドアップ>も便利。
<火器管制>はダメージ効率的にはそこまで良くないが、バリッバリのセキュリティで固めたウールリッチなキャラを表現するのには最適。
<ジェノサイドモード>のペナを<騎士の備え>で割るカブトは、個人的には面白い動き。

○アラシ
ヴィークル操縦時限定の<獅子心>である<マシンコントロール>は、<獅子心>が強いように強い。
<ハンターズクオリ>が非常に強いので、手札回し感覚で<マーキング>まで取るのは全然オッケーなビルド。
<キャッチザウィンド>はわかりやすく<ジャックナイフ>とシナジーか。

○カゲムシャ
4つ目のX系特技<首つり仕掛け>、オートアクション支援<レッグアレスと>を活かすべく<潜伏>したいが、通常のままだとうっとりするほど悠長なコンボなので、<灰色の脳細胞>で手を早くしたい。
<スキルシーフ>型は秘技スロットとスキル上限の関係上、カゲムシャ二枚以上にオススメ。
その場合は<潜伏者>で神業を書き換えておこう。

○アヤカシ
<悪魔のノート>の各種支援下位互換っぷりに泣けるが、アヤカシで支援してーなら血脈使えということだろう。
<血盟の主>は強いが適応条件が狭いので、使い方を考えたくなる良特技。
<黄昏の君>はあれだ、強キャラぶりたいときにおもいっきりパナせ。

・アウトフィット
全体的に雰囲気重視というか、タダ強いだけのアイテムは極力出さない感じ。
その上で安くて便利なアイテムはちゃんとあるし、高くて強いアイテムもチラホラ。
アイテムに求められるところしっかりやってる感じで、非常に良い。

強すぎ感満載だったレーザー文明に対してカウンターステアが当たり、対策されると厳しくなった。
特定文明の勃興はデータの幅=キャラ表現の幅を狭めるので、エラッタで滅ぼされた飛龍文明と同様、今後もバンバン滅ぼしていただきたい。
……俺のドラゴンライダー……(個人的未練)

○武器
バリエーションが増え、キャラ表現の幅が広がった感じ。
間合いに融通の効く「豪神刀」、腐ってもX白兵「紫電」、ガンフーマスターのお供「「MP21St」、白兵達成値のばし「ジョインコード」あたりが強武器。
頼政」に爆裂弾使えるのはアレか、ランボー的な爆弾鏃を再現ということか。

○防具
アンチレーザー文明の産物がこれでもかと盛り込まれていて、しかも安い。
ブルーゲイル」は安くて強すぎず、スタイルの独自性を出せる良デザイン。
半信半疑あっちこっちしながらオリオンをなぞりたい人は、「スポンサード」着て公認ヒーローするといいんじゃなかろうか。

○サイバーウェア
既存のウェアをアップデートするアイテムは軒並み強いので、現役ユーザーは確保すると良いだろう。
全身義体は旧データのように複雑化せず、あくまで一サイバーウェアとしての扱い。
戦型が崩れると受けカブトは脆いので、「ルートA」採用は考えてから行ったほうが良い。

○トロン
トロンカスタマイズルールが追加されたが、大きく変更はない。
全体的に詰めるソフト量が減っているので、ハードウェアスロットを「アウターメモリ」に回し、拡張性を確保しておくことが基本ムーブになるだろう。
ソフト、ハード共に無条件で強いアイテムはそこまでなく、色んなタイプのニューロを強化、という感じ。
ニューロ限定のソフトウェアは軒並み性能が高いので、此処らへんの地味な唯一性の表現は良いと思う。

○生体装備
これもバリエーションが豊富になり、より凝ったキャラ表現が可能に。
「ビーネアイ」「セリアンレッグ」は超強いが、キャラ記号として強烈なので導入は考えてからやった方がいい。
「トアドストール」「エクスプロード」といい、使いやすい人造変異が増えており、ジェネンテックの時代が送らばせながらニューロエイジにやって来たのだろうか。

○ヴィークル
全体的な傾向に従い、キャラ表現的なニッチを埋める感じの調整。
「サーペント」から艦載機トループを発進させる提督キャラは、すげーやりたい(そして経験点の壁の前でうなだれる)
「インジュアリ」が地味かつ超強いので、車乗りはみんなシートを高級にする時代がキテると思う。

○カルチャーウェア
<ファッションリーダー>により装飾以上の価値を与えられたファッションであるが、サイバーウェアや防具の部位をバンバン潰すので、ご利用は計画的に。

○その他
コネ版コッペリアである「メイシカード」が単純に便利なので、プロなら名刺を携帯しているといい時代。
マジックアイテムはピンポイントな効果が多く、ちまちま小道具に凝りたい怪しいスタイルと噛み合っていると思う。
……「封印具」かっこいいんだけど、効率は悪いなぁ……。

○サービス
とりあえずオマモリから、と言いたくなるくらい「符牒」が強いので、レッガーなら即取得。
「情報収集に詰まったらこれを使え」と書いてある「通信教育」、同じくとりあえず強い「黒革手帳」と、ソーシャルは基本強い。
バックグラウンドはいつでもキャラ表現の味方なので、カッコつけれると感じたなら即取れ!

 

こんな感じでしょうか。
ワールド面、データ面ともに、過剰なインフレを避け、丁寧に実プレイの方をむいた良サプリだと思います。
はー、セッションしてぇなぁ。