イマワノキワ

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Go! プリンセスプリキュア:第24話『笑顔がカタイ?ルームメイトはプリンセス!』感想

ニューカマートワ子強化月間はまだまだ続く、今回はきららちゃんとの交流回。

内罰的で世間知らずなトワ子に振り回されつつ、八つ当たりせず友達を助けてモデルの仕事もしっかりやるという、相変わらずの超人っぷりを披露していました。
無論ただの完璧人間ではなく、振り回されれば疲れるし失敗も増える描写がちゃんとあって、プリプリらしい適度なバランスの気持ちよさ。
個別回でこういう話があると、シリーズアニメはグッと地力を増す感じがありますね。

ディスピアに育てられた10年間を失っているトワにとって、兄という縁を共有するはるかはとても大きな存在。
ただでさえ存在感のある主人公とクラスまで同じにすると、トワというリソースがはるかに独占される可能性があります。
そこら辺をどう分散させ発展させていくのか見せるのが今回だったと思いますが、人間的な完成度が高いきららがトワを受け止める形で進み、導くことで自分にとって大事なことにも気付いていく、なかなか徳の高い流れ。

今回基本的にきららがトワのミスを全面的にフォローしながら進むわけですが、派手な正面衝突には至らず、巧く軌道修正しながらお話が展開します。
モデルの仕事で忙しい設定を活かして、プリキュア・学生・モデル・トワのお世話係という四十生活にストレスを受け、人間らしい弱みをちゃんと見せているのが良かったですね。
その上で、かなり献身的にトワに尽くし、母ゆずりに気さくなやり方で笑顔を与えてあげる所は、きらららしい強さと美しさ。
一生きららのこと考えている編集さんを受け止めた時の表情といい、今週のきららは包容力が強調されてる印象を受けました。
グイグイ行く力強さと、困っている人を放っておけない優しさが同居してるのは、やっぱ完成度高いキャラよね。

忙しい日々の中で失っていた笑顔を、トワに与えることで自分でも気づいて取り戻してしまう所は、彼女らしい人間力の高さ。
みなみにも共通するところですが、凡人はるかを導く役割を物語的に背負っているきららは、細かく弱みを見せつつも大きなコースアウトはしない、かなり物分りの良いキャラクターです。
もしきららが誰かと対話することで答えに気付く構成だったら、今回の話にあった豊かな詩情やトワの掘り下げが成立していたかというと、怪しいところだと思います。
物語の中で克服するべき問題点を豊かに描写できるのは、愛するべき欠点を持った主役だけではなく、手際よく道を整えるメンターの腕にもかかっているわけです。
その上で味気ない進行役に堕ちかねないキャラが人間味をちゃんと持って、好きになれる人物に仕上がっているのは、製作者が持つバランスを見極める目の良さの証明でしょうね。


そんなきららに導かれる立場のトワも、けして劣った存在ではなく、むしろ基本スペックは高く、きららを気遣う気持ちもある。
モデルの仕事で遅くなったきららを、髪を弄りながら待っているところなど、不器用な優しさがにじみ出ていて良いシーンでした。
トワの失敗が燃料になって進む今回、ともすれば失敗担当のトワを全部がダメダメな子として描いてしまいがちだと思いますが、良い所は良いものとして描写し、細かくストレスを抜く絵作りを徹底していたのは、見ていて穏やかな気持になれました。
優しいからこそ、自分のしでかしたことを過度に悔やむんだろうしね。

庶民から貴種を目指すはるかとは正反対に、貴種が零落して庶民をやっているトワは、どうしても生来のプライドが抜けません。
出来ない自分を認められず、現在の生活に適応できない段階から、きららに心を許し自分の欠損を見せて成長していく姿は、今回丁寧に描かれていました。
お話の出だしと終わりが、『朝の支度を終えて、二人で出発する』という共通のものなのは、お話を通じて手に入れた成長と関係の変化を強く印象づけていて、オーソドックスながら素晴らしい演出でした。
早くも出現した親衛隊を見せることで、高いプライドは悪いことばかりではなく、人を惹きつけるトワの魅力につながっていると多角的に見せていたのは、とても良かったです。

お互いを思いやりつつも、上手く気持ちが重なり合わない二人が距離を縮める湖は、このアニメらしい幻想的なムードに溢れていて、凄く好き。
シーツを洗濯するシーンでもそうなんですが、プリプリは開放感の在るセッティングを上手く使っていて、なんか突き抜けた爽やかさを感じるんですよね。
くすぐり合った後見つめ合う所の絶妙な間のとり方といい、気のおけない少女たちの弾けるような若さの描写といい、二人の距離が縮まる説得力がたっぷりあって、キメ所がキッチリしてるお話は見てて気持ちいいなぁと思うことしきり。
それにしたって、隙あれば二匹の蝶だの比翼の鳥だの分かりやすすぎるメタファーを入れてくるのは、ほんま素晴らしいと思います。

きららの良さもトワの良さも、すべてがよく引き出された素晴らしい個別回でした。
やっぱ距離のある二人が個人的な出来事を経て、なにか特別な関係にステップアップしていくお話は、最強にストロングスタイルの百合だな……。
この仕上がりを見ると、来週トワお世話係を担当するみなみさんがどういう爆弾を持ってくるのか、今から楽しみですね。