イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

ミリオンドール:第6話『それぞれの憂鬱』感想

四分アニメなのに実写特番が挟まる、色んな意味で前代未聞のスーパーアイドルアニメ、そろそろ折り返し。
今回はイトリオの躍進を受けて鬱屈するマリ子と、彼女たちを取り巻くそれぞれの風景。
タイトル通り『それぞれの鬱屈』をバランスよく描写していたが、どっちかといえばマリ子寄りか。
キャラ紹介を一応終えたタイミングで、均等に出番を作ることで群像劇っぽさが出る構成を見せたのは、なかなか良かったと思う。

『束もの』『地元』『素朴』という属性を持っているイトリオに対し、マリ子は『ソロ』『アーティスト系』という特徴を持っている。
そこの対比を印象付けるこのタイミングで、OPを新調しマリ子に寄せてきたのはなかなか良いと思う。
CGモデルもイトリオ初期型に比べ、木偶っぽさが抜けてきてるし。
動きのタメ方が独特で、なんとなくガンダムっぽい力強い動きになってるのは愛嬌……ってことにしておこう。


『やる気のない事務所のせいでやりたいことが出来ないマリ子を、すぅブロへの対抗心もあって奮発したリュウサンが支える』というのが今回の構図。
なんだが、そのリュウサンがやることが『買いすぎて余ったCDを配る』というのが、このアニメらしい。
実際の現場でドルを支えるってことはゼニ燃やすってことであり、リュウサンの行動は『リアル過ぎる』このアニメの文法に従ったものではあるんだろうが、それにしたってドギつい。
マリ子と一切接触せず、心の交流とかしないでゼニ撒いて支援しても、『いや……買っただけでしょ? 買ったもん配ってるんでしょ?』という感想が先に立って、そんなに特別感はない。
『このレベルの地下アイドルに本気になって、身銭切って現場行って熱心に布教するのは特別なんだよ!!』ということかもしれないが、マリ子が身を置いているアイドルの小ささが明言されていない(細かく匂わされてはいる)ので、リュウサンの行動にはやっぱり、あんま説得力がない。

鬱屈の後には開放があるものなので、今後マリ子は何らかの躍進をすると思うのだが、そのジャンプボードになるリュウサンの支えは、いまいち心に響かないもんだ。
お話の各要素の弱さが、先に続く要素に悪い影響を及ぼす流れは、別に今回描かれたリュウサン→マリ子のラインに限った話ではない。
イトリオ躍進にすぅブロが影響しているという作中の状況も、そんなに納得できる演出で飛び込んできたわけではないのだ。
『4分間という尺以前に、混乱を極める制作体制の中で何を要求しても徒労かな……』という気持ちが正直生まれてきているが、それでもやっぱり、高望みをしたくなる。

今回の話の作りを見るだに、世界観の説明をし、登場人物の紹介をする時間は終わった。
この後は地方アイドルと地下アイドル、在宅と現場がそれぞれの野望を元にぶつかり合う群像劇が回り出す時間だ。
13話として残り28分、深夜アニメ一話分+少しの尺の中で、むき出しのアイドルとアイドルファンの群像をどれだけ描けるのか。
もう一回くらい実写特番がありそうな気がしてならないが、さてはて。