先週の152話『出会いに続く道』で一つの節目を迎えた三年目のアイカツ。
せっかくですので、第102話からの50話の中で自分的なベストファイブを選び、簡単なコメントなどつけようかと。
一年目・二年目のベストファイブは
にあります。
放送順で書いていきます。
・第115話『ほっこり☆和正月』
あかりジェネレーションの強みである、凡人故の地続き感が最大限に有効活用された、珠璃ちゃんがあかりちゃんの家でほっこり過ごすだけの回。
アイカツはオフタイムの描写に切れ味があり、それが『カレンダー・ガール』の歌詞(『なんてことない毎日が かけがえないの』)のように特別な瞬間を輝かせる伏線になっていると思うのですが、三年目はアイドルの仕事を離れた生活描写が活き活きしていて、生活感があるのにキュートだったように思います。
そんな中でも、あかりちゃんの家庭生活が良く見え、彼女が素敵な女の子に育ったバックボーンを感じ取れたこのお話は、特にイベントもないけど珠璃ちゃんとの距離が縮まる当たり前の日々を活写していて、とても好きです。
・第122話『ヴァンパイアミステリー』
この後何回かある(第140話『アイカツレストラン』など)劇中劇回の嚆矢。
やっすい深夜ノリの再現と、『とりあえずアイドルが写って可愛ければいいや』というアイドル映画の真実に頼りきった腰の弱い劇作があいまり、なんともトンチキなテイストになっていた怪作。
コンテにカトキハジメを起用し、新しい血を入れたのもなかなか良かった。
真顔でトンチキなことをやり続ける自分たちを、メタな視線でツッコミ入れながら見続けるという変則的日常回でもあって、TV見ながらキャイキャイ言うガーリーな空気も見どころ。
・第131話『輝きのダンシングディーヴァ』
『経国兵器』『少女レズビアン製造工場』『なんかいい匂いする系アイドル』などなど、数々の異名を持つ美人系アイドル、氷上スミレ。
登場時は後ろ向きだった彼女が自分の武器を自覚し、女達を手玉に取りながらアイドル界をのし上がっていく姿が三年目の楽しみの一つですが、そんな彼女が初めて自分の欲しいもののためにグイグイ来る回。
三年目らしい地道な成長描写であると同時に、スミレちゃんの美人描写は説得力が凄いので、『あの子が本気で何かを欲しがったら、色々やばいんじゃないの?』と戦々恐々とする回でもある。
この辺りから隠喩が隠喩として機能しなくなってきていて、疲れ果てた凛ちゃんと寝てるシーンはマジで言い訳無用。
・第147話『輝きのルミナス』
ルミナス結成はかなり早い段階で解決させ、残りの時間を凡人中の凡人、新条ひなきの闇を掘り下げることに使ったエピソード。
第132話『灼熱の情熱ハラペーニョ!』でもそうだったのですが、周囲が見えすぎる故に自分を押し殺してしまうひなきの闇は、闇色をしたあかりジェネレーションの中でも一等暗い。
そんな彼女の闇から逃げず、女児アニに許されている最大限の範囲で真正面から勝負を挑んだこの回は、ひなきちゃんが好きな僕としては有り難い回だった。
それまでただの軽いオバさんだったKAYOKOの圧倒的な大人力に、『ありがとう……ホンマありがとうKAYOKO……』となった。
四年目は珠璃と離れるけど、誰がひなきの自傷癖を受け止めてやるのか、今から心配。
・第150話『星の絆』
あまりにも巧く行き過ぎた一年目の負債を返し続けているアイカツにとって、過去キャラの扱いは非常に難しい。
第108話『思いはりんごに込めて』、第124話『クイーンの花』、第125話『あこがれの向こう側』、第148話『開幕、大スターライト学園祭☆』。
三期はかなりのエピソードを過去キャラたちが辿り着いたゴールを見せることに費やし、様々な制約のある女児アニという枠の中で、最大限誠実にキャラクターとしての彼女たちの終わりをやってくれた。
彼女たちがどんな道を辿って、何処に辿り着いたのか知りたいというのは、縁あって彼女たちの人生を覗かせてもらった立場としては当然の欲求であり、同時になかなか叶わない稀有な疑問であるとも知っている。
そんな中でこの話を選んだのは、やはり神崎美月というアイドルが自分の中で一等特別であるということと、そんな彼女に振り回された三人の女のプライドを完璧に修復する、優しいお話だったことが大きい。
三年と劇場版一つを費やして、ようやく神崎美月の王国は完全に壊れたのだ。
とんでもない手間と説得力を費やし、頑張って壊してくれたスタッフに感謝である。
こんな感じでしょうか。
こうしてみるとあかりちゃんのエピソードが入ってないなぁ。
第123話『春のブーケ』とかスクリュー効いてて良いエピソードなんだが、惜しくも選外。
二年目中盤から出ている分、くっきりとした成長話を既にやってしまっているのが大きいかな。
ともかく、思い出深いお話が多い三年目も、こうして終わりました。
四年目がアイドル食べ歩きツアーになるのか、はたまた凡人たちに変化のきっかけを与える出会いの場となるのか。
不安と期待に震えつつ、木曜日を待ちたいと思います。