ネジの外れた世界で楽しく仲良く暮らしてるアニメ、今回はスーパーサイコレズ大戦。
麒麟×ライカが比較的リアル寄りなのに対し、パワーと性欲で押し切る二人のクソレズが大暴走する、スーパー系のお話でした。
とにかく高千穂さんの吹き上がりっぷりが凄くて、それを受ける志乃のキチっぷりも凄い。
パワーと勢いで押し切るアリアAAらしさが全面に出た、いいお話だったと思います。
高千穂さんは中盤の壁として、いかにも嫌味な金持ちキャラで登場した子。
そういう子が敗北を経てあかりに素直になるってのはまぁ王道展開なわけですが、素直になるのが自分の性欲ってところがこう、緋弾のアリアAAだなと。
友達少なかったおかげで間合いが一切分からず、一発退場クラスの暴投を繰り返すところとかホント志乃そっくりだなアンタ。
"アイカツ！"にしても"ゆるゆり"にしても、あかりちゃんという名前の女の子はコミュ障気味のレズを引き寄せる磁場でも出してんのかしら。
『相手の心情を慮り一歩ずつの歩み寄りを図る』などという地道な展開は、ゆるゆりでやってりゃいいわけで、高千穂さんはとにかく突っ走ります。
欲望剥き出しの割りに稚拙で、全てが都合よく進む辺り『妄想ってこんな感じだよね……』というイヤーな頷きをせざるを得ない。
何もかもゼニで解決しようとするところ、従者の双子に対する扱いが雑なところひっくるめて、とにかく間合いがわからない暴走キャラとして完成度が高いです。
気持ちが暴走しつつも『とにかくあかりちゃん好きッ！！』という気持ちの強さは痛いほど伝わってくるので、なんとなく許せてしまうのが良い。
あかりちゃんの何が高千穂さんにそこまで刺さったのかは正直不明ですが、恋ってそういうものなのかもしれないですね。（キレイめな結論に見えて投げっぱなし）
『荒野に二匹の狼はいらん』とばかりに、クレイジーサイコレズ枠を既に埋めている志乃もこれに対抗。
第2話で見せた溢れる情熱（ソフトな表現）は白雪の指導を受けて更に加速し、同タイプのスタンド使いである高千穂さんとぶつかり合うのはまぁ必然というやつだ。
鍔迫りになった時に変態同士生臭い商談してたところを見ても、案外相性いいんじゃないかなこの二人……。
チャンバラの作画、設備を利用した駆け引き、ラストの人命救助コンビネーション。
どれを取っても山場だったはずのカルテットより切れ味いいが、それは言わない約束だ。
とにかく過激な方向に暴走し続けるクソレズどもの愛情を、真っ向から受け取っていては話が座礁します。
なので、あかりちゃんはずっと無垢で無知なまま、寄せては返す女達の欲望を受け流し、ギャグがギャグのままスルーされる時空を維持する。
ここら辺の笑いの間合いは手際が良くて、脂っこい味付けを笑って流せる理由は、こういう細かいテクニックなんでしょうね。
流石に脂っこすぎてちょっと胸焼けするけどな……「お金なら払うから！」あたりの生臭ささは、軽くリミットオーバーしてた。
麒麟×ライカの方が『ネタを混ぜつつマジ気味の味付け』、高千穂さんと志乃は『とにかく勢い重視の、分かりやすい変態クソレズコメディ』という区分は、レズビアンをネタに一般的な読者をフックしつつ、色んな事をやる方法論として巧いと思います。
2つのカップルの色分けを明確にし、2つの別個の物語を展開させることで、色んな客層に喜んでもらう（もしかしたら、作者的にも色んな物語を書ける。そこら辺は赤松先生と橘先生の欲望の話なので、読者としては推測するしか無い部分）というか。
麒麟×ライカサイドの丁寧な足運びは同時に勢いのなさにも繋がるわけで、高千穂さんと志乃が暴走することで作品全体の温度が保たれているし、クソレズサイドの雑さを純愛サイドの細かさが補っている部分もある。
リアルサイドが結構大真面目に『女が女を好きになる』ことを取り扱っているのに対し、スーパーサイドは『友情』という言葉で誤魔化すギャグにすり替えているところにも、それぞれの極がゲイ・セクシャリティをどう扱うか、どう『ネタ』にして創作物としてウケを取るかのスタンスが見えると思います。
両極に見える二つの要素をうまくコントロールし、相補的に一つの作品に織り込んでいるバランス感覚（もしくは計算高さ）というのは、この話の長所だと思うな。
というわけで、どす黒い女達の性欲がネタ混じりにぶつかり合う、友情エピソードでした。
あかりちゃんの浄化力があまりにも高いので、こんだけハチャメチャでテンション高い話をやってもクールダウンできるのは巧い。
やっぱ突き抜けたネタ方向の思い切りは、アリアAAの強力な武器だよなぁ……と再確認した、オバカで楽しいお話でした。
……来週原作者脚本のアニオリ水着回？
こりゃまたIQ下がりそうで楽しみだな、マジ！
