イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アイカツ!:第168話『ひとつの道と、別れ道』感想

運命の3月を前に加速していくアイドル活動、今週は札幌からやってきたソウルシスターズ、ののリサメインのお話。
幼馴染として、アイドル同期として、四年目のテコ入れキャラとしてコンビで描写され続けてきた二人を切り離して、リサっぺ単独の寂しさと強さを掘り下げる回……って言いたいところなんだけど、話を後に引き過ぎないために引き分けで処理した結果、あんま踏み込めなかった印象。
色々あった上でのイーブンだとは思うんだけど、単純にキャラの掘り下げ、話の完成度だけ見るのであれば、リサに勝たせていい流れだったんじゃないかなぁ。

第153話で登場して以来、ののリサは常にコンビで描写され続けてきました。
これは二人の関係性を描写すると同時に、ニコイチで画面に映し続けることで尺を端折る狙いもあったと思います。
同じことを考え、同じことを望み、同じことで喜ぶ同一存在としての描き方は、アイカツらしい友愛の空気を濃厚に醸し出していて、ぶっちゃけ四年目のテコ入れとして登場した二人に、良い存在感を与えていたと思います。

とは言うものの、ずーっとくっつけっぱなしだと不健全な感じも出てくるし、離れる利点もちゃんと描くのがアイカツらしさ。
ある程度アイドル活動が軌道に乗ってきた今こそ、ののリサの同じ部分ではなく、違う部分を強調する話をするタイミングだというのは分かります。
そういう意味では、野生児であーぱーな野生児ののではなく、いろいろ考えこみがちな参謀役リサが今回主役を張るのは、納得できるチョイスです。


今回の話はアイカツのテンプレートに則った話といいますか、子供の抱えた疑問点を大人がアシストすることで、より良い方向に向かわせるという類型を踏まえたものです。
メークイーンカップ(の先にあるクイーンカップ)を競い合うことで、ずっと一緒だったののと分離され、比べられる立場になるリサの不安も、それを肯定しつつその先を示すルーシーのメンターっぷりも、安定感のある話運びでした。
リサっぺの重たいメンタリティを丁寧に描写し、過去の絆もしっかり描いたことで、白樺リサ個人の不安と、それを受け止めてくれるのののありがたさはちゃんと強調されていました。

そこに説得力があるからこそ、引き分けという形で終わらせたのは正直惜しかった。
話の流れとして離別や勝敗を肯定的に描いたのだから、お話全体に華を添える意味でも、主役として物語的説得力を積んでいたリサをあえて勝たせ、ルーシーさんが言っていた『別れることの豊かさ』を題目ではなく、ドラマのうねりとして描写できた気がするわけです。
引き分けで手を繋いで一緒にゴールすることで、この話の結論である『別れることの豊かさ』は『一緒にいることの安心感』の塗りつぶされてしまった感じもあるし、そもそも二人が離別しなければいけない理由たる『アイドル活動の厳しさ』にもぬるま湯をぶっかける形になってしまった気がします。

とは言うものの、ここでののリサを本格的に分断すれば『別れることの豊かさ』の対比である『一緒にいることの安心感』をメインに据えたエピソードを展開せざるを得ず、今のアイカツにその余裕があるかを考えると、致し方ない引き分けなのかもなぁ……とも思います。
3月まではSLQCをゴールに据えたお話=あかりジェネレーションの総決算が展開され続けるわけで、その中でののリサがメインになる余裕がどれだけあるのか。
更に言えば、4月以降今の形のアイカツが継続されるか否か、ののリサがキャラクターとして展開できる物語的余白が残っているかは、いまいち確言しかねる状況です。
枠がなくならないとしても、世界観を白紙に戻してリブートをかける可能性はあるし、そうなった場合、もうののリサの物語を展開させている余裕はない。
そこら辺ひっくるめてあえて踏み込まない選択肢だったのかもしれませんが……やっぱ惜しいな、正直言えば。

今週の先輩アイドルたちは賑やかしに徹し、ストーリーの主要部分はほぼリサに捧げられていました。
とにかくたくさん出てきてワイワイ騒ぐだけで、なんとなく面白いってのはアイカツの強みだわな……特に天羽と珠璃な。
なんだいも飴ってお前。
スペイン人や瀬名さんのところではマトモに料理もできなかったルミナスが、手際よく料理している姿は地味な成長描写だった……あそこで道化役買って出るひなきが好きよ、僕は。


そんなわけで、コンビ打ち一本槍で来たののリサに別の可能性を見せるお話でした。
そのテーマでぶっこむのであれば、もう一歩の踏み込みがほしいところでしたが……なかなか難しいか。
来週はルミナス最後の核弾頭、新条ひなきのエピソード。
ビビキスつながりでみくるさんが顔を出すようですが、ド素人から一気にトップに上がった天才と、自分を信じ切れない凡人がどういう化学反応を起こすのか、結構楽しみです。
ぶっちゃけあかりジェネレーションで一番物語を積み上げてきたのはひなきだと思っているので、その最後のピースになるかもしれない次回は、凄く期待しています。