イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

NORN9 ノルン+ノネット:第4話『彼誰のセレナーデ』感想

閉鎖された楽園の中で謎が加速していくアニメ、四回目は初めて方舟の外側に出ていくお話。
上海の風俗は変わらないのにロボットが流通してたり、『世界』が公開情報としてモブに避難されていたり、お外の世界はやっぱり僕らの知っている1919と少し違っていました。
そしてそこら辺の違和感はさておき、主人公とメイン攻略対象はラブコメイベントを着実にこなすのであった。
……看病イベント起こすための素材として、1919年猛威を振るってたスペインかぜを被せてくる目配せとか、結構好きよ。


急に不思議な船に攫われてはじまったこの話、ずーっと船の中の価値観で進んできましたが、今回初めて補給という名目で、カメラが外に出ました。
技術レベル的にも物理的にも明らかに浮いているノルンが、一般的にどういう立ち位置なのかは明言されていませんでしたが、そこに能力者の子供が集められていることは周知の事実で、『世界』由来の技術もどうやら流出している感じ。
『世界』が堂々とゲバられてる状況も鑑みると、正体不明なれど超技術で世界に影響力を及ぼす組織って感じなのかな、『世界』は。

ノルンの子供たちが、僕らの歴史では洒落ですまない被害を出したスペインかぜを『非現実的なネタ』として流しているところを見ると、やっぱ歴史改変が起こっているようです。
気になるのは歴史改変があることそれ自体ではなく、その改変に集められた子供たちがどう関係するのか、今伏せられている札はどういう意味があるのかという、歴史改変ネタの使い方のほうです。
ここら辺はノルンの外側に配置されている夏彦さんが暴れるときに、色々判るんだろうなぁ。
恋愛の輪っかの外側にいることで、世界観に切り込むことを許された空汰くんが今回ロボットを目撃したことも考えると、彼も重要人物でしょう。

まぁ乙女ゲーであることを考えると、ここら辺の道具立てはあくまで恋を燃え立たせるための添え物かもしれないし、がっちり使いこなして分厚い歯ごたえを出してくれるかもしれないし、この段階では判別しかねるネタでもあります。
ここら辺の『添え物なのか、第二第三の主菜なのか、見切りきれない』というのは、内通者に代表されるミステリ要素もそうかなぁ。
謎とヒントの出し方は結構整理されていてフェアなのだが、掘り下げて意味のある要素なのか確信が持てない。
気になる要素なので、こうやって色々考えてはいるわけですが。

内通者に関しては怪しい人物が多すぎる(特に年長者)なんですが、下界組と船組に分断された上に夏彦さんが上海にいるので、夏彦さんと内通者が接触する/しないで絞り込める気がする。
現状遠矢さんが露骨に怪しい動きしてんだけど、年長者みんな腹見せないからなぁ……ロンさんとか加賀美さんとか。
まぁこのアニメの男の子、みんな性格捻じくれ曲がってて、性根の曲がり方で立ち位置推測するの難しいけどな。


そんな感じで今週も謎が回転していたノルノネですが、キャラは元気にラブコメ街道血反吐はくまで! って具合で恋愛してました。
各主人公のメイン攻略対象がはっきりしてきて、エピソードと感情積み重ねる段階だなぁという話運びですね。
深琴ちゃんだけ夏彦さんの都合で合流できないため、『優しい幼馴染』という恋愛フィクションだと絶対に負ける属性を背負わされた朔也くんとキャイキャイしてた。
朔也くん、能力の未来予知でおそらく自分の死を見ているわ、深琴からは恋愛感情薄いっぽいわ、ラブコメサンドバックにされる不憫な要素しかないのに、シーンはもらっている方なのが哀れだ……。

こはるちゃんは駆くん一本で押し込んでガンガン攻めてきてますが、今回は駆くんが青ノルンチームにちょっかいを出したので、攻略チームの枠を超えた交流とかもしてました。
僕は乙女ゲーの文法にはあんま詳しくないですが、看病イベントはギャルゲーと同じく、好感度アップの基礎エクササイズなんでしょうかね。
こはる相手にしてる時は当たりの柔らかい好青年なのに、それ以外にはかなりドライでサディズムを感じるところが、色々面倒くさいなぁと思います。
裏表ないの、千里と平士くらいじゃないのかな、このお船の住人……。

そんな駆くんの面白ギミックで、半強制的に距離を(物理的に)縮められた七海ちゃんと暁人くん。
七海ちゃんは感情表現が派手ではないだけで、結構優しい子だし暁人くんのこと好きなんだなというのは、今回よく伝わってきた。
無勘定系寒色女子と悪態つきまくり面倒見男子の組み合わせ……そうそう、こう言うのがいいんだよ(カップリングのグルメッ面で作画が谷川ジローに)
何しろドス黒い腸を隠したまんまのボーイズばっかりなので、『過去になんかあってシコリがある』と既に明言され、感情の根っこにはお互いに好意があるとよく分かる青ノネットチームは見ていて癒やしやね。

深琴ちゃんは恋愛サンドバックを思う存分叩いただけで、本命の夏彦さんとは接触なし。
深琴と夏彦さんがギャーギャー争うことで、夏彦さんが持っている外側の視線が表面化し、『世界』だの『リセット』だのの意味深なアレソレが判るってのが深琴チームの大きな仕事……だと思います。
此処のエンジンがまだ起動していないので、話がどっちの方向に走るか判別しきれないのよね。
このまま朔也が深琴と因縁を乗り越えて幼馴染大勝利! 希望の未来にレディーゴーでも、僕的には全然OKなんだけど……まぁ当て馬だよなぁ、メインビジュアルでの扱いとか見ると。


やっぱこのアニメ『なんか謎』『なんか能力』『なんか不思議』という『なんかの空気』の出し方が心地よくて、、謎が謎として伏せられたままでもゴクゴクイケちゃう感じがあります。
恋愛方面は結構手堅く描写とフラグと感情を積んでいると思うし、メイン攻略対象をはっきり決めているので大人数でも迷うことがない。
そういう手堅さと雰囲気があるので、伏せられた謎を開けた時、思わず納得できていしまうような絵が完成することも臨んじゃうのよね。
でも恋愛劇しつつ能力ミステリーとして大きい絵を描くのってとても大変だと思うし、製作者サイドが恋愛だけではなくミステリーも二枚取りする意図でお話を仕上げているのか、確信はまだ持てない。

こはるの記憶が戻るか、深琴が夏彦さんと接触するか、七海と暁人の過去が判明するかすると、一気に伏せ札が開いて話の全容が見えてくるとは思うのですが、それを気持ちよく見せるためにも感情の蓄積は大事。
そういう意味で、謎と伏線を巻きつつラブコメイベントをテキパキこなしていく展開は、良い助走になる気がします。
恋に関係ないところでどんどん先に進めてくれる空汰くんもいるし、『なんかの空気』だけではなく、土台の部分も結構ちゃんと作ってあんだなやっぱ。(プロフェッショナルによる創作再構築物をナメきった発言)
……こうして見てみると、絡むことでお話が先に進むからメイン攻略対象なんだな……頑張れ朔也。(少女漫画に出てくる『ただ優しいだけの幼馴染』が負ける、世界の残酷な摂理にいつも納得できていないマン)