イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

ブブキ・ブランキ:第7話『首なし巨人』感想

思春期に振り回されて世界を守るどころじゃない子どもたちと、お巫山戯しつつも覚悟完了な大人たちのロボットアニメ、今週はVSデラシネ
久々のブランキ戦は大迫力であり、炎帝&礼央子チームの体を張った活躍は気持ちよくもあったが、一応主人公であるはずの子供チームはマジでいいとこなし。
やりたいことは分かるけど、見せ場のバランス相変わらず悪くねぇかな……っていうエピソードでした。

ダルいブブキバトルが一応終わり、『さぁ主役さんの! ちょっと良いトコ見てみたい!!』ってワクワクしてたら、あっという間にぶっ転がされてモブに落ち、以降評価が逆転するようなイベントはなかった。
手足を譲渡するという選択が多分東の器量の見せ所なんだろうけど、ボーッとデラシネ見上げてピンチになったり、どう考えても事情がある礼央子サイドの裏を考えなかったり、器量があるというよりは阿呆に見えてしまうのは痛いところだ。
東の何も考えない即決即断っぷりを際だたせるために、子供チームでガチャガチャ口喧嘩させたり、柊が唐突に折れてみたり、周りを下げる方向で演出つけているのも寂しい。
おそらく今は子供に現実と試練を与えるフェイズで、『ここから奮起して、だんだん大人になっていく姿を楽しんでね!』ってことなんだろうが、なまじっか大人チームが面白く納得の行く姿を見せているので、期待よりストレスが上回る……もう七話だし。

親から譲り受けたブブキの可愛げと、彼らとの絆ってのは子供チームが持ってる数少ない美点だと思うんだけど、それと別れる契約解除シーンが省略されたのは正直、意図が読めない。
デラシネとの決戦のテンポを崩したくなくて省略したのかもしれないが、ここ削ると子供チーム今回(に限んないけど)ホント良いところなくて、ただただ大人の引き立て役でしかない。
ストレスとカタルシスを誰が、どこで、どう開放するのかっていう計算自体はやってるんだろうけど、ストレスの中にカタルシスを埋め込む小器用さがない結果、現状『負け役』である子供チームを見ていてもあまり面白くないという結果になっていて、困ったものだ。

ここら辺の小器用さの欠如ってのは例えば礼央子の設定周りにも見えて、前回接触した時に軽く心臓の痛みを描写しておくとかすれば、今回こんなにも礼央子が主役に並んですんだんじゃ……と思ってしまう。
シーン毎の大目的はちゃんと立ってるし、シリーズ全体の構成に繋がってもいるけど、その隙間に細かい目配せ効いた描写を埋め込むのが苦手なのかなぁ。
この猪突猛進で単一的なお話作りが、ブブキオーラを醸しだす理由なのかもしれない。
東のつまんねー正論マシンっぷりも、未完の大器という役割をはみ出した、クスグリの薄さが大きな理由だろうしなぁ……。


しかしこの真っ直ぐさが勢いになっているのも事実で、礼央子と愉快な仲間たちが大流血しながら頑張る姿は、決意を感じて良かった。
やっぱ当事者が安全圏にいるのではなく、血を流し身を削り本気になって危機に対処する姿は、キャラクターに感情移入する上で非常に大事だ。
子どもたち相手にはフザケまくっていた四天王も、前線で時間稼ぎはする、必要な行動を真面目に諭す、主君のピンチを本気で心配すると、オフザケが面白かった分マジ顔が魅力的だった。
この落差が子供サイドにあれば、もっと良いんだがなぁ……『子供は子供』だから単機能な描写に押さえてんのかしら……だとしたら勿体無い。

久々のブランキ同士の戦いは、巨大な建造物が殴りあっているような重量感が迫力を生んでいて、非常に良かったです。
常にハイテンションな礼央子様の捨て身バトルも、骨骨アームを装備してからのパーフェクト炎帝も、戦いに必要な興奮をガンガン加速していて、非常に盛り上がった。
礼央子の粗暴な振る舞いを反映して、炎帝のファイトスタイルが頭突きと引き裂きという野蛮なところが、非常に良い。
このド迫力があったので、柊が凹む心の動きに結構説得力があったのは、美味しい副産物だった。
……東の受け取り方が良くないので、あんま美味しい使い方にはなってなかったと思うけどね。

長いブブキ戦で匂わせていた大人たちの期待はどうやら本物のようで、有り難いセッキョーはしてくれるわ、一度奪ったブブキは返してくれるわ、悪役の演技をそろそろ外して良いんじゃないかと思うほどだった。
滅私の覚悟で死んでいくブブキ警察含めて、礼央子サイドはやはり魅力的だ。
なので、やっぱりそれに気づかない(というか、裏に何かあると考えもしない)子供たちが主役なのは、不要なストレスじゃないかなぁと思う。
『現実を知っていて、覚悟を決めて戦う大人』と『それを受け取り、時に迷いながら成長していく子供』を対比させたいのは判るのだが、子供の良いところが伝わる形で出ていないので、大人しか魅力的に見えないという。
メタ視点での構成の意図と、実際に展開されている物語への感想が一分乖離しちゃってる感じだ……大人チームは狙い通りのところに落ちていると思う。


そんな感じで、自分の覚悟に準じて血を流す大人と、無力な子供の回でした。
軽く凹んだ子供たちは宝島を目指すようですが、痴女魔法つかいにジョブチェンジした妹がそこにどう絡んでくるかは、少し気になる。
今回無力さを思い知らされた分、子供たちは覚悟を決め立ち上がるフェイズに入ると思う(思いたい)んだが、劇作のパワーを持っている大人チームは宝島には来ないだろうしなぁ……。
今回見せた勢いの良さを子供たちでも発揮して、気持ちの良い話にしてくれると助かります。