イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

Dimension W:第八話『虚無に落ちた島』感想

ワケありオヤジとポンコツ美少女のバディアクションSF、今回は不思議の島の回収屋たち。
王子の過去をちょろっとやって、危険な島に集まった回収屋たちがドンドコ前に進み、協力したり衝突したりする話でした。
色んな奴がテンポよく動きまわるおかげで、動きがあって面白い話だったな。

ソッコーで飛行機は落ちましたが、回収屋はタフなので結構生き残りました。
黒幕でありクライアントであるサルバが速攻虚無落ちするというアクシデントもあったけど、そこはルアクがカバーしみんなで仲良く宝探し……とかはならず、マシンガンおじさんが独走したり、そこを黒い医者がバックスタブしたり、正しく抜きつ抜かれつのデスレースしてた。
せっかくクセのあるメンバー集めたので、仲良く呉越同舟じゃ面白く無いわな。
猫耳ギザ歯さんは良いデザインしてるんだけど、あのまま小屋で仲間の看病してんのかねぇ……どっかで見せ場が一度欲しいぜ。

サルバの回想は今後話を発展させるためのチラ見せだと思うのだけど、オヤジとのシーンは紙芝居風ストップモーションで、ルアイと会話するシーンは普通にアニメしてたのは、演出意図があってのことなのか、作画燃料が尽きたのか。
サルバは天才で野心家として描かれており、ルアイを疎んでいると受け取るよう演出されてるんだけど、『止まっていたサルバの世界が、ルアイと一緒にいると動く』という意味合いが回想に込められていると、結構弟LOVEな人なのかもしれない。
ただの過剰な読みかもしれないので、そこら辺は今後を待たないとイカンね。
暴走ロボットのセンサーにルアイが捉えられていなかったことといい、王家の養子と実子という面倒くさそうな関係といい、こいつらも色々ありそうだなぁ……。


一方の主人公チームは、島の反対側からレクサスLFAで大爆走。
おそらく実車から取った良いエンジン音を聞かせた後、アルベルトに「いい音だ……」と言わせる出だしは気持ちが良くて好きです。
昔とった杵柄で色々準備をしてきて、防衛システムの弱点を付いて勝つプロっぽさとかも素晴らしい。

モグラ兄妹と合流する辺りから久々のハードなアクションが見れたが、兄者の軽やかなアクロバットといい、キョーマさんの必殺仕事人なワイヤー戦術といい、メリハリとハッタリがよく効いた良い殺陣だった。
久野ちゃんが声をやってるモグラ妹が、愛嬌があって優秀な可愛いキャラだなと思う。
虚無を突っ切って気絶する時、デブなんだけどむっちりいやらしい肉感が作画に塗り込められてて、『アニメーターのスケベ根性はマジすげぇな! ありがとうございますッ!!』て感じだった。
やっぱデス・レースものは、面識のなかった連中が偶然出会い、否応なくチームの方に押し込められ、修羅場を共有することでだんだん分かり合っていくドラマが非常に面白いね。

いやらしさとあざとさではミラも負けていなくて、シリアスでハードなイースター島攻略をポンコツムーブで楽しいモノに変えたり、機械にとっても死は恐ろしいところを強調して人間味を増したり、さすがのヒロイン力である。
アルベルトに指摘され慌ててロボを演じるシーンとか、暴走ロボに尻尾を指すシーンとか、回収したコイルを投げ捨てるシーンとか、『目が、目があああぁああ!!』とか、ホントあらゆるシーンが可愛らしくて素敵だ。
キョーマさんが意識を保つ中、一瞬で停止し虚無を抜けた瞬間再起動する対比とかも、人間とアンドロイドの違いを巧く表現していて面白かった。
あとサラッと描写される超怪力描写な……何トンの石を片手で投げてるんだアイツ……。

過去編でキョーマさんの地金が見えたからか、今回のキョーミラ漫才はいつもよりキョーマさんのツッコミが柔らかいというか、人間らしさが強く出ていた気がする。
「心配してくれてたんですか?」「しねーよ(即答)」とか、『嘘つけ、お前絶対心配してたぞ』と突っ込みたくなる、良い漫才だった。
ここら辺の気持ち良い関係性はこれまで丁寧に作ってきた結果であり、ミラの人間性とキョーマさんの冷たさ、その裏から漏れてくる人情を丁寧にコントロールした成果だと思う。

『人間だけど人間らしくない』担当だったキョーマさんが、心を凍りつかせる理由になった事件を公開して熱さを表に出せるようになったのは、嬉しいし面白い変化だな。
過去編がなければ震える自分を奮い立たせるべく、思い切り吠えるキョーマさんとか見れなかっただろうし、ずーっと『このツンデレおじさん、ツンでもクールでカッコイイけどデレて熱くなったらまじ美味しいだろうなぁ……』と思っていた立場としては、あのシーンは嬉しかった。
まず機械なのに死に怯えるミラの人間らしさを見せて、その後過去と過去の欠落に足が竦むキョーマさんの弱さと、そこを乗り越えようとする強さを見せる繋ぎ方も、とても良かったです。


アクションとか世界設定とか、このアニメには面白いところが色々あるけども、やっぱり一番魅力的で作品を支える太い骨格になっているのは、キョーマとミラという主役の魅力、二人の関係性の魅力だと思う。
個人でも魅力的なんだが、凸凹したお互いの個性がぶつかり合い、お互いの足りない所を補い合う相棒としての信頼関係が僕はやっぱり好きで、今回のイースター島車旅は、それをたっぷり見せてくれて嬉しい限りだ。
モグラ妹もそんな二人を邪魔しすぎず、話が停滞しそうなタイミングでは良いトスをあげ、良い脇役だと思う。

そしてお話しの一番美味しい部分をたっぷり味わって、満腹感を覚えたタイミングでかっこ良く空から降ってくるルーザーさん。
いやー、いいヒキだったなぁ……やっぱデス・レースモノは、あるチームと別のチームがぶつかり合う瞬間が、一番ビッと来る。
モグラ兄妹のように協調するのか、ロシア人と黒人のように対立するのかはまだ分かりませんが、ルーザーさんもキョーマさんと同じように、何かを秘めてイースター島に来てる感じするからなぁ。
敗北者の仮面の奥に、何が隠れているのか分かりそうで、来週も楽しみです。