イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アクティヴレイド -機動強襲室第八係- 2nd:第12話『この素晴らしき日常』感想

正義の心を鋼に包み不屈の闘志で犯罪と戦ってきた法執行アクションアニメも、ついに最終回。
東京をぶち壊さんと迫る巨大衛星を相手に、全てのキャラクターが一丸となって立ち向かう、パワフルなラストとなりました。
『こっからは俺がオモシロイと思ったこと、全部やるぜッ……!!』って感じの、見せ場の次に見せ場が続く怒涛のクライマックスは、まさにお話が終わるに相応しい熱量が込められており、最高に小気味よかった。
最後の最後で良いアクション作画を使ったド派手なアクションぶっ込みつつ、クソ苛つかせてくれたバードにも怒りの鉄拳をきっちりねじ込んで、心残りなく終わってくれました。
振幅の大きい話の中にも全員が成長や個別の良さを見せるシーンがしっかり入っていて、このアニメらしいバランスの良さも最後まで貫かれていました。
爽快で巧妙で軽快な、非常に良い最終回でした。

『小難しいヒューマンドラマは先週まででお終い!! 最終話はとにかくみんなが本気になって、本気でやべぇピンチを本気で乗り越えていく!!!』という、カロリーの高い最終話でした。
協力体制の樹立から計画立案、事前準備に情報収集。
とにかく矢継ぎ早に事態を進行させて場をダレさせることなく、緊張感を持ってお話が進むのがとにかく気持ちよかったです。
この『とにかく事態を進行させ、空気を弛緩させることなく見せ場を繋いでいく』という作り方は一期第一話とほぼ同じでして、綺麗に最初と最後が繋がるアニメだったなぁと感心しております。

ただアクションが派手なだけではなく、そこにキャラクターの熱い感情がしっかり込められているのも最高でした。
あさみちゃんの増長やエミリアの怯懦がどう乗り越えられ、彼らの未熟がどう克服されたのか、忙しい展開の合間にしっかり描写してくれる信頼感。
特に社長として他人を信頼し信頼される関係になった瀬名くんの心の強さは、熱い展開を支える立派な背骨になっていました。
二期からはネタ力と人間力がグンっと上がったけども、瀬名くん一応黒騎さんのバディだったしな
……瀬名くんはシリーズ通して面白い転がし方したよなぁ、みんなそうだけどさ。
あと相棒関係にすら嫉妬する凡河内さん絡みのネタな……短い尺でしっかり効く、良いスパイスだった。

二期の主役として稲城の陰謀と向かい合い、かつて憧れた男の夢を背負って悪に立ち向かう黒騎さんは、あまりに完璧な主人公でした。
『警察官』としての矜持と、自分を作り上げてくれた過去への感謝をちゃんと言葉にしながら体を張り、結果も出す男はやっぱ最高にかっこいいなぁ……。
『殉職?→生還でしたー!!』の判りきった流れをあっという間にこなすテンポも含めて、ガサツでクレバーで情熱家な主役の魅力、作品の魅力をすべて引き出すシメだったと思います。
ええ主人公やった……。


こういう勢い重視、リアリティ軽視の勢い展開がズバッと刺さるのも、世知辛い未来の現実や細かい社会的制約、人間としての感情的ジレンマもしっかり描いてくればこそ。
そういう地道な部分を時にメインに、時に脇に入れ替えつつ、忘れずしっかり積み上げてきたからこそ、若者は成長を見せ大人は頼りがいを見せる最終決戦がジンと迫ってくるわけです。
二期は第11話めまで比較的地味目というか、現実的な展開が多かったことも、ラストの大立ち回りのカタルシスをしっかり上げているポイントだと思います。

今回のお話が小気味よく感じるのは、やはり最大の見せ場ふたつをとにかく気持ち良く仕上げてくれたおかげです。
全ウィルウェアの昇華機構を繋げて黒騎を宇宙まで上げる連携プレーは、落ち着いて考えれば無茶苦茶以外の何物でもないんだけど、お話の積み重ねを考えると必然以外の何物でもないという、最高のケレンでした。
『最ッ高にバカバカしいが、最ッ高にアツくて納得できる』見せ場を作るには、これまでの蓄積と映像の説得力、両方必要なんだなぁと、深々頷いてしまった。

そして背動グッルングルン回りまくりの軌道戦闘は、圧倒的クオリティで殴りつける文句なしの仕上がり。
一対三の数的不利、限られた起動時間と不慣れな宇宙活動と、これでもかとピンチを積み上げた後に、逆転の秘策と魂の決意を駆使して逆転していくアクションの組み立て。
最高に『わかってる』作り方で、最終決戦に相応しい興奮を与えてくれました。
最後の最後で決裁が上流から流れてくる一連のお約束をしっかり入れて、このアニメで何が印象に残ったのか思い出させてくれる所とか、ホント『エンタテーメントはサービス』だね。

上がった体温が下がる余裕のない怒涛の展開を推し進めつつ、お話の決着を余すところなく拾いきってる手腕も見事でした。
バードに一番因縁のある次郎&妹ちゃんコンビがしっかり協力して黒幕を追い詰め、溜まったフラストレーションを鉄拳に乗せて解消してくれてたエンディングは、まさに至れり尽くせりという感じ。
散々逃げられスカされしてきたので、かつてないほどに調子に乗った挙句、最高の顔パンされて退場する無様な姿を見れたのは、非常にスッキリしました。
ここら辺の快楽を作るべく、中盤辺りから次郎と妹ちゃんのバディ感をじっくり作って来たのとか、スゲー巧いなやっぱ。

ミュトスも二期で良い育ち方したキャラで、黒騎さんとの疑似兄弟関係だけではなく、林田さんとの秘めたイチャイチャも最高でした。
やつが法を離れた立場からインチキな情報収集能力を発揮してくれたおかげで、ダイハチと黒騎さんがままならない状況に悩めたわけだしね。
悪人を殴り飛ばして逮捕するだけではなく、更生させ人生を取り戻させる『警察官』の仕事を描く意味でも、非常に大事なキャラを的確に描ききったと思います。

忙しい展開の中、チョイ役モブに至るまで、全員に何かの見せ場を用意してくれたのも素晴らしい。
時間がないので個別の見せ場は短かったことが逆にシャープさを与え、お話の緊張感を維持する役目を果たしていました。
アビゲイル専務はあまりにもキャラが立ちすぎてたんで、全部食っちゃうからこういう場所でしか使えなかったんだな……。
後最終回だからって『こんな事もあろうかと』というテッキーの最終兵器を乱発する協会勢、最高でした。
境界様が『アクティヴレイドの諸君!!』とか言い出しそうな貫禄出してたなぁ……AIプログラムにキモい調教施すマッチョの変態なのに……。


というわけで、感情が最高潮に昂るドラマと、ケレンと切れ味に満ちたアクションを休み無く叩き込んでくれる、最高の最終回でした。
技量と感情、笑いと感動、日常と騒乱、緊張と弛緩。
様々な対比項のバランスを的確に取りつつ、様々な角度から僕達を楽しませてくれたこの作品らしい、優れた最終回でした。

徹底的に考え抜かれたSF考証を、あえて表に出さないことで『少し先の日常』の空気に辿り着く設定の使い方。
クセの強いメンバーで油っぽく進めつつ、彼らが秘めた人間味をメロウに味合わせる緩急の妙技。
お色気からアクションサスペンス、人情ドラマから苦い現実路線まで、多様なジャンルを贅沢に味わせてくれるシリーズ構成。
良い所が沢山ある、素晴らしいアニメでした。

みんなが楽しいものを楽しみながらしっかり作って、みんなに楽しんでもらう。
エンターテインメントに必要なサービス精神が作品の随所から感じられる、立派なアニメでした。
いやー、いいアニメだった、アクティヴレイド
お疲れ様でした、最高に楽しかったです!