スタミュを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月20日
光と影が交わる舞台の中で、一つの答えが出て、人生という劇は未だ続く。傷ついた星谷を舞台に上げるための努力を前半において、実際に幕が上がった後は絵と歌の力を信じ、観客の想像力を信じてまとめる選択が、ズバッとハマっていた。
非常にいい最終回でした。
先週『星谷と揚羽の衝突は大きい事件過ぎる。展開のための展開ではないか』と描いたが、起きた事件を実際に転がしてみると、大事件だからこそ様々な人が解決のために動き回り、主役を板に載せるため必死な姿が描かれた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月20日
何しろ双子まで動員だもんな。この舞台を作った人全てに報いる姿勢は好きだ。
星谷と鳳のラストダンスを成立させるために、様々な人が走る。細かい場面なんだが、キャラクターの思いやりが細く見えて好きなカット・アップだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月20日
揚羽が取り除いた釘に気づく天花寺くんとか、揺れるライバルを持ち場に戻す虎石とかね。
負けたやつのためにも、選ばれたものは踏ん張るしかない
OPの歌詞にある『ショウ・マスト・ゴー・オン』を体現するように、星谷が怪我をしても舞台は進む。そのために戌峰が控えている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月20日
個人の夢が砕かれても、ショウは続かなければいけない。それは魚住さんが非情というよりも、一座を率いる立場に誠実な決断だと思う。
その上で、ガラクタに惹きつけられて星谷を焼いてしまった揚羽が、別の答えをつかむべく、無茶苦茶を提案する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月20日
商業舞台だとおそらく通らない提案を、魚住さんも戌峰も受ける。それはここが卒業公演で、教育の一環だからだ。客は入れている。そこに対する責任はある。それと同時に、育てる場でもある
過去を思い返してみると、魚住さん達エンシェンツは『生徒を育てる』ことと『舞台を最高の状態で仕上げる』こと、教育と芸術のバランスを苦悩しながら取り続けてきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月20日
今回も魚住さんは鉄面皮を装いつつ、苦悩を乗り越えて決断する。星谷と揚羽、戌峰がより大きなものを掴める可能性に賭ける。
自分の出番を奪う提案を、戌峰はよく受けたな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月20日
彼のことだ、のほほんと『いいよー』と受けたのだろうし、そこには一切の裏はないのだろうけども、努力でもぎ取ったポジションを迷いなく離せるのは愚かさではなく、勇気と賢明さだ。
星谷のことを考えてやっただろうから、優しさでもあろう。
星谷の代役(シャドウのシャドウという入れ子構造)を務める揚羽もまた、その決断で己の成長を魅せる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月20日
かつて神様に拒絶されたコピー能力は、短期間での演技習得を可能とし、星谷が最後の舞台に上がるための条件を満たす。かつて影だったものが今度は光となり、あこがれへの道を作る。
揚羽が事故を引き起こした、折釘というガラクタ。それ一つで壊れるものがあるし、守れるものもある。星谷が鳳から、そして仲間たちから貰ったフェティッシュもまた、光り輝くガラクタだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月20日
その価値はおそらく常に多層的だ。光と影はライトの当り方一つで変わる。
揚羽が『自分の中の神様の影』のためではなく、『顔と名前のある具体的な誰か』のために立ち上がった姿を、メンターである楪は祝福し、それを揚羽も、チーム楪も胸を張って受ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月20日
短い尺にこういうやり取りがあるのが、とても良かった。揚羽は変わったし、楪はずっとそれを願っていたはずだ。
かくして舞台の準備は整い、大団円へと進んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月20日
『影』である舞台袖を描く最後のチャンスで、星谷と鳳は向かい合う。
この時、星谷は言葉を失い、鳳が感謝を口にするのはとても面白い。
思い返せば一期の鳳は、全てを疎み、舞台から離れていく寸前だった。弟との関係もギクシャクしていた。
慣習と因縁に挟み込まれ、自分を見失っていた鳳。そんな彼の前に現れたド素人の自由さは、実は『憧れの高校生』にとっても光だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月20日
それに導かれて、鳳が自由な翼を取り戻すまでの物語を、一期の積み重ねを、僕はあのシーンで思い出した。ああ、そうか、と納得した。
『今、この瞬間のお前と演りたい』
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月20日
鳳が星谷を引っ張り上げた言葉は、舞台から胸を張って飛び出した柊の決断と響き合う。
彼が海外に出たのは、当然星谷を舞台に上げるための劇的操作だ。しかし同時に、『今、この瞬間』でしか描けないものを求めて血を騒がせた、キャラクターの生きた決断でもある。
弟のそんな決断があったからこそ、星谷の未来を潰すかもしれないことを承知で、鳳は自分の衝動に素直になる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月20日
『今、この瞬間のお前と演りたい』と。
ただ見る/見られるだけだった出会いから、対等の共演者としてステージに上った星谷と、取り戻した舞台を演じきりたい、と。
かつてチーム鳳の一員として、鳳に教えられ、導かれ、守られるだけだった星谷。『憧れの高校生』を見つめ、追いかけるだけだった星谷。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月20日
彼は主人公として物語を掘削し、様々な人にそのカリスマを感染させていく過程の中で、己を変えていった。柊と鳳の目線を逆に惹きつけるだけの役者になった。
重要なのは、それを生み出したのは揚羽のコピー能力と同じように、星谷が星谷であるがゆえに生まれた、大切な一側面だ、ということだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月20日
素人ゆえのひたむきさ、他人の心に入り込む率直さ、私心のなさ。その影としてのハングリー精神のなさ。色んなものがこれまで描かれてきた。
強さも弱さも引っくるめて、星谷が星谷である由来と向かい合い、その魅力を強めていくこと。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月20日
二期の歩みはまぁ、だいたいそこに集約されていると思う。その集大成として、星谷はぎりぎり、自分の夢を乗り越えるステージ…『光の中の光』に間に合ったのだろう。それは、凄く良い道程だと思う。
舞台上のラストシーンは、主役が己の影をかけがえのない存在として認め、影に思えたものが光だったことを確認し、祝福して幕を閉じる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月20日
追い、追われる一方的な関係は夢とともに終わり、役者として対等な、お互いがいなければ成立しない特別な関係が一瞬、光を放つ。
それはフィクションの中のフィクション…『嘘』であると同時に、鳳と星谷が青春の中でダンスを踊った実感の果て、これ以上ないほどの『リアル』でもあったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月20日
光と影のように、虚実もまた様々に姿を変えながら、お互いを照らし合う。色んな意味と顔が、画面に切り取られるものの中にある。
そしてそのステージは、物語に関わった全ての存在があって成り立った。主役はいる。裏方もいる。勝者がいれば敗者もいて、その区別はある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月20日
だが、星谷が怪我を押してステージに立てたのは、絶対に彼一人の力でも、今この瞬間だけが生み出すものでもない。過去と他者があって初めて、特別な舞台がある
"Gift~カーテンコール~"と名づけられた特別なEDは、星谷と鳳の対峙…出会いから始まった物語が収束する、二人だけの別れを引き継ぎ、拡散させていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月20日
様々なキャラクターがテンポよく切り取られ、これまで描いてきた関係性に基づいて衝突し、火花を散らす。
セリフのない歌と踊りに、意味を付与していくのは僕達視聴者だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月20日
ああいうことがあった、こういう物語があった。スタミュを見守ってきたからこそ、あのカーテンコールにどういう文脈が宿っていて、どういう感情が躍動しているのかを、僕達の筆で描くことができる。
それはとても、豊かな終わりだ。
拡散した"Gift"はチーム鳳の六人に集約する。現実の衣装を脱ぎ捨て、ファンタジックな空間の中でのラストダンス。学園を去っていく鳳は、もはやチームのメンターではなく、ボーイズたちもまた子供であることを終える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月20日
青春からの卒業としての、夢の中の踊り。感傷的で、とてもいいなと思う。
カーテンコールすら終わった後、様々な想いが篭った"Shadow&Lights"はファイルに纏められ、過去の一部になる。おそらくあそこに収まったファイル全てに、僕らが見てきた物語と同じうねりが宿っているのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月20日
でもそれは、あくまで過去。夢が終わってもショウは続くのだ。
思い出を閉じ込めたアイテムを、勇気と哀惜を込めて置き去りにして、少年たちは歩き出す。もう導き手はいない。彼ら自身が、今度は己のボーイズを導くのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月20日
鳳が星谷の自由さに夢を取り戻したように、星谷たちもまた、教え子から教えられるかもしれない。光が反射する無限のプリズムを夢想する。
スタミュ二期は終わった。続きはあるかもしれないし、ないかもしれない。しかしまぁ、終わりは終わりだ。(エクストラステージが来週あるけども)
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月20日
皆が同じ方向へ、寄りかからずに歩いて行くエンドカットは、凄く良かったと思う。光と影に向かい合うことで、見えるものがあると再確認していた。
一期で物語のかなりの部分を使い切り、さてどうするのかと訝しんだ二期。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月20日
ファンサービスに徹して、人間の魂が、青春の熱量が駆動する(僕のエゴが期待する)スタミュらしさを失ってしまうのではないかと、正直怯えていた。身勝手な話だ。みな、見たいものを期待しつつ人の物語を覗き込むしかないのだ
話が駆動してみると、一期で光を当てなかった部分、残酷な真実過ぎて触らなかった部分を掘り返しつつ、巧く進んだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月20日
『みんな』を大事にしすぎる星谷のエゴのなさ。勝つものと負けるもの。憧れが持っている影の深さ。『今、ここにいる私』にしがみつく身勝手さと、それだけが突破できる新境地。
星谷と揚羽を物語の軸として使いつつ、色んなキャラを細やかに切り取り、その陰影を描く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月20日
勝つもの、負けるもの。両方の表情と立ち位置を尊重しなが進んだ物語は、僕はとても公平だったように思った。那雪の敗北を大事に描いた第9話があるのが、とても大きい。
いい人で、優しくて、みんなのために頑張ってくれる人。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月20日
スタミュの特長である毛並みの良さを支えた『星谷らしさ』には、当然影がある。過剰にシリアスにならないように慎重に、しかしその陰りにしっかり踏み込んだからこそ、敗者を踏みつけて舞台に立つ残酷さと、そこに飛び込むエゴの強さが際立つ。
これまで誰かのために、自分すら気づいていない自分を見つけてあげてきた星谷が、最後の最後で『それでもやりたい。俺のエゴは青春を吠えている!』と食らいつくためには、大きい事件で彼を、舞台を危機に晒す必要があったのだと、最終話を見た今は思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月20日
追い込まれて本音が見えるのは、みんな同じだ
星谷が発する光は、チームの仲間を照らし、鳳を照らし、柊先輩を照らし、みんなを照らした。影になっていて気付かない自分と出会い、より良い選択へと導いた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月20日
そして最後に、その光が自分自身へとたどり着く。それでも、舞台に経ちたいと。ハングリーに吠える、自分の知らない自分と出会う。
そういう終わり方になったこと。そしてその発見もまたひとつの、かけがえのない過去としてファイルに収めて、人生というショウが続いていくこと。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月20日
それは、凄く良いなと僕は思った。一期含めて、ここまでの物語がないと描けない道程だなと思った。そしてそれが『先』につづいているのが、とても良い。
過去と現在と未来。光と影。虚構と現実。自我と他者。勝者と敗者。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月20日
対立物に思われているものを融和させ、新たな表情を掘り下げること。そしてその明滅が、巡り巡って発生源に帰還すること。
そういう広い因果をちゃんと描けていたのは、本当に良いと思う。
僕はこのアニメ、すごく好きだ。
『夢に憧れるド素人』としての星谷の物語は、周囲の人々を誠実に照らしつつ、非常に良く終わったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月20日
『一つのことを成し遂げた役者』としての星谷の物語が、未だ続くのか、否か。それはわからない。可能ならば見たいなぁ。
でも、ここでカメラが止まっても、彼らは彼らの人生を歩くのだろう。
そういう『コマの外の物語』に想像力が及ぶお話は、やっぱり良いな、と思う。それを描くためにはキャラ個人を掘る深い視線と、それを特別にしすぎない誠実さが同時に必要だからだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月20日
とても難しいそのバランス取りに、このアニメは成功し、このアニメにしか描けない絵を見せてくれた。本当にありがとう
追記。暁先輩のこと
スタミュ追記。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月20日
暁先輩が後輩たちのために、アドリブで場をつなごうとするシーンが有った。アレは最高にいい。
一期では伝統と柊への愛情に過度に縛られ、自分の思いをどこにやって良いのかわからなかった暁先輩が、ルールをぶっ壊してでも自分にできることを即座にやる。その変化があまりにも尊い。
チームに顔有りは一人もおらず主軸には絡みにくかった二期の暁先輩。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月20日
出番の多少は当然ある。物語を成立させるためにシェイプする残酷さは絶対に必要だ。
しかしその上でコンパクトな出番を用意し、そこに最大の圧縮率で変化のドラマをぶっ込んでくれたことに、彼のファンとしては感謝したい。
『柊クン、柊クン』とつきまとって、鳳に突っかかってばかりいた暁先輩も、幼年期に別れを告げ、広い視野と為すべきことを見つける明晰さを手に入れた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月20日
それを『大人になった』で片付けるのは簡単だが、それで終わらない豊かさもある気がする。やっぱこれも、影の中の光の描写の一つだと思います。