THE IDOLM@STER Prolog SideM -Episode of Jupiter-を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月30日
サイドMのプロローグとして放送された『Jupiter』空白の時間を追う物語。
アニマスの後奏、サイドMの前奏、なによりJupiterの物語として素晴らしい仕上がりだった。
というわけで、世界観的にも話数的にも、『THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ』と『SideM』を繋ぐ立場にいるこのアニメ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月30日
アイマス既存ファンをサイドMに導入しつつ、サイドM自体のファン、Jupiter自身のファンにも報いなければいけない難しい立ち位置だ。
しかしその高いハードルをこのアニメ、細やかな目配せ、文脈全体へのクリアな理解、なによりも物語への熱い情熱で、見事に飛び越えてみせた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月30日
複雑に積み上げられた歴史をしっかり整理し、今のJupiterがどこにいて、サイドMがどういう場所にあるかの地図を視聴者に手渡す、見事なゼロ話だった
劇場版の1シーンをJupiter側から写すことで、不思議な奥行きを出すシーンが良かったし、765が既に成し遂げたサクセス・ストーリーを地べたから見上げることで、新しく物語をスタートするJupiterが際立ったのも素晴らしい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月30日
ノスタルジーではなく、今の物語の中で過去が生きている
自分的に『天海春香』というのは一少女を飛び越えた、『アイドルマスター』の巨大なアイコンになっているキャラだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月30日
そんな彼女が顔を出して、765がたどり着いた高み(Jupiterが目指す天)を匂わせる。久々に『天海春香』に会えた喜びもあって、なかなかニクい演出だった。
同時に目配せは未来にも行き届いていて、Jupiterが315プロという『場所』に価値を見出すまでをどっしり取り回すことで、そこに集まる他のアイドルたちにとって、彼らを見守る僕ら視聴者にとって、315プロは『良い場所』になる
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月30日
アイツラが信頼したんだから、俺たちも、という気持ちになる
僕はゲームに触っていないユーザーなので、サイドMには馴染みがない。しかしアニマスで『天海春香』のライバルとして、また自分のアイドル活動に真摯に思い悩む一人のアイドルとして、天ヶ瀬冬馬と伊集院北斗と御手洗翔太のことなら、少しは知っている。愛着もある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月30日
そんなJupiterの物語をどっしり取り回し、315プロに接続することで、Jupiterの背中に乗っかって僕達も315プロに入っていける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月30日
『俺達の好きなアイツラを、良いところに連れて行ってくれるかもしれない場所』として、期待と信頼を載せて見ることが出来る。素晴らしい導入だ。
そんなふうに過去と未来がガッチリつながれているのは、Jupiterの現在をきめ細かく、真剣に切り取ったからだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月30日
961プロから離れ、手弁当の身の丈で必死にアイドルをやるJupiter。アニマスで一応肯定された再出発が持つ影を、思いもしなかった角度から掘り下げる視座の鋭さ。
961プロの後押しがあったとは言え、Jupiterは空疎な偶像ではない。人を引きつける華を持ち、ファンがひと目でも会いたい、見たいと焦がれるスタァだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月30日
そんな存在が、小さな箱の中でくすぶっている。器量に相応しい器が用意されていない、用意できない。今回問題になるのはそこだ。
ここまでシリアスなドラマだけでもTVシリーズ4期、劇場版一つを取り回してきた『アイドルマスター』だが、『器量に相応しい箱を用意できない苦しみ』は、自分の考える限り新しい切り口だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月30日
それはジャンル内で新しいだけでなく、Jupiterが辿った歴史を考えれば必然的な問題でもある。
冬馬は持ち前の真っ直ぐさで、961に代表される巨大資本に踊らされ、自分の力で未来を切り開けない状況を拒絶する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月30日
しかしそれは、自分たちが秘めているポテンシャルを押さえつけ、接触を求めるファンを飢餓状態に追い込むことにもつながっている。ジレンマだ。
清濁併せ呑めない、不器用な一本気、溢れるパッションが冬馬の魅力であり、強さであり、弱さなのだということを、このアニメはずっと言い続ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月30日
ただただ真っ直ぐに、己と己の愛する人の理想を追いかけ続ける、熱い男。しかしその一本気さは、Jupiterの問題を無条件に解決はしない。
エンジンの強さをしっかり描写しているから、それを制御してくれるハンドル、空気を抜いてくれるブレーキ、周囲の安全を確認してくれるサイドミラーのありがたさも、ちゃんと伝わる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月30日
Jupiter内部の個性がお互いを補い、あるいはプロダクションが存在することに意味にしっかり取り組んだ。良い
特に北斗の存在感が凄いことになっていて、アニマスでファン向けに見せていたお軽い感じを後ろに隠し、20歳の長兄として事務仕事、対外交渉、スケジュール管理と獅子奮迅。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月30日
クールで落ち着いた彼の助けがあってこそ、冬馬の情熱は道を切り開くパワーに変わる。頼れる男だ。
冬馬は生来敬語が使えない男で、裏も表もなくざっくばらんな言葉で喋る。そこら辺を北斗が補って、頭下げたり言葉を補ったりする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月30日
最年少の翔太は自由奔放なようでいて、案外周囲が見えていて、『甘える末っ子』を演じることで空気を変えたり、新しい風を呼んだりもする。
飯を食ったり、汗だくで準備したり、一緒に練習したり。年も身長もイメージカラーもバラバラなJupiterは、バラバラだからこそ強く、楽しくつながることが出来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月30日
961から離れ、泥にまみれてみんなでやるうちに、絆はより強くなったんじゃないかと想像できる、良いキャイキャイ描写だった。
個性と役割分担、それぞれの尊さを切り取るカメラはJupiterの外にしっかり伸びていて、まず冒頭、汗を流してステージを作り上げてくれるスタッフの描写が良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月30日
優しいおじさんにちゃんと感謝できる冬馬、ゴミを見逃さず拾える翔太の描写が、彼らの人格を絵で伝えもする。
ファンに聞かせるものじゃないけど、今のJupiterの根源にある961との別離。商売道具のスイッチを止め、一私人としてそこに切り込んでいく記者さんの姿勢も、誠実でいい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月30日
あの人これで、アイマスコンテンツのアニメ全制覇か。界渡りのエトランゼとかじゃないのか。
エピソードの主役であるJupiterをどっしり掘り下げつつも、顔のないファン(あるいは一個人個人として尊厳を持った、声と顔のあるファン)をちゃんと描いていたのは、Jupiterの価値観を示す上で良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月30日
彼女達がいればこそ、Jupiterはアイドルを続け、高みに登ろうとする。
そんな彼女達が、冬馬が選んだ身の丈にはじき出され、チケットを取ることが出来ない現状。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月30日
ただまっすぐに進んできた冬馬はそれを認識できないわけど、315社長とプロデュサーは、当事者でないからこそちゃんと把握できる。外側があることのありがたさ。
Jupiterもまた、765プロのアリーナライブには『ファン』として参加する。それは目指すべき高みの遠さ、胸に高鳴る憧れの鼓動を教えると同時に、見落としていたファンの目線で『ステージ』を見る意味を、しっかり教えたのではないかと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月30日
これもまた、外部が存在することのありがたさだ。
『デカイ箱で、凄く沢山の人が一つの場所を見て、注目を集めるのって良いな』『その中心で、汗だくになって自分らしく跳ね回るのって良いな』と、劇場版のステージを見ながら、Jupiterは思ったんじゃないか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月30日
それが大きな舞台を用意できる仲間に、体重を預けることにつながるのではないか。
そういう心の流れを想像できる運びが、自然と315プロに、これから始まるサイドMにつながっているのが、とても良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月30日
Jupiterをよりしろにして、サイドMアニメを信頼しようって気持ちに自然になれる所が、凄く巧妙だ。エグい導線引いてるなぁ。
無論それが可能なのは、細やかな演出が心象を画面に映し出し、キャラクターの気持ちが伝わるアニメに仕上がっているからだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月30日
冒頭、黒い壁が強調されたライブハウスの『狭さ』、あるいは思わず315社長のお茶を冬馬が飲んでしまう『展開の予言』。
言葉にしない部分の品格と表現力が高い。
自分が選んだ小さな世界で満足している冬馬の、狭さと確かにそこにある暖かさを、両方切り取ってくる序盤。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月30日
そこからはみ出したものが、文字通り道を埋め尽くしている出待ちのシーン。ファンのイノセントな涙と訴え。それを見た冬馬の苛立ち。
テーマとプロットが明瞭に映像に埋め込まれ、押し寄せる
アニマスとサイドMを繋げる、ブリッジとしての仕事に目配せしつつも、あくまでJupiterがどんな世界に生きて、何を感じ、誰と触れ合ってどんな影響を受けるか、Jupiterがどんな物語を展開するかを、第一にこのアニメは駆動している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月30日
その必死さが、妙に冬馬と重なって胸に刺さる。
そしてそういう一本気は、ちゃんとどこかにたどり着く。自分の長所を変えないまま、信頼できる『誰か』に身を預けることの出来る度量を、冬馬は手に入れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月30日
元々身内には篤い男であるが、身内の定義を広げる余裕、見定める眼を手に入れたということなのだろう。ああ……お前の背中が広く見える。
結局Jupiterを引っ張っていくのは冬馬の決断であり、センターは常に彼が務める。北斗も翔太も、冬馬の無鉄砲なエネルギーを手を焼きつつ、そこまでの熱量を放出できない自分のサガに納得している感じもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月30日
お互いの凸凹が巧く噛み合ってユニットが機能している感じが、見てて心地よい。
かくしてJupiterは新たな約束の地、ちいさな315プロへと流れ着く。やっぱ飲食店が下に入ってる辺り、346というよりは765の系譜だなぁ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月1日
そこからどんな物語が生まれるか。最初の物語であるこのアニメを見終わると、期待と信頼しかない。きっと良いものが飛び出してくる。
そういう気持ちで来週の第1話を待てる、素晴らしい前奏曲だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月1日
それと同時(それ以上)に、止まっていたJupiterの物語がいかに再動するか、彼らの現在がどんな鼓動で動いているかを、真摯に描ききってくれた。
グッと引き込まれる豪腕と、繊細な気遣いが同居するいいアニメだった。
一つ問題があるとすれば、この仕上がりで天井まで登った期待に本編が応えられるかという話だが……一切問題ないだろう!!(無責任な断言)
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月1日
自分たちの前奏をしっかり奏でたJupiterが、本編でどういう動きをするかも期待しつつ、サイドM、最高のスタートを切ったと思います。来週楽しみです。