URAHARAを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月2日
原宿に狂ったサファリパーク開園! 色彩を盗む単眼の獣達を相手に、少女たちのクリエイティビティが唸る!! その裏側で、キラキラに憧れる少女の想いが鳴動していた…。
そんな感じの回。良い意味で『アニメっぽい』レイアウトや動画が活力を与え、ポップな仕上がり。
ことこの人格に深く切り込んだ前回に比べ、横幅広くバブル原宿と女の子たちを描く今回。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月2日
色々見どころはあったが、実はスクーパーズが一番の主役だった気がする。
色だけを盗み、人を傷つけない奇妙な動物。りと達は彼らと対話できず(せず)、お菓子色の殺戮を通じて色を奪い返すしかない。
グロい動物たちは見慣れると妙に愛嬌があって、バッタバッタ死んでいく姿に憐れみも感じる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月2日
太陽を求め色を盗む無言の行いに、哀愁を感じるのは視聴者の身勝手か。血の代わりにお菓子が吹き出すフィルタリングが、逆にりと達の暴力のエグさを強調しているように見えないか。
スクーパーズの目的も起源も、現状エビフリャーから与えられた情報しかない。彼らが本当のところ、何を求め考えているかは分からないし、『この揚げ物、マジ怪しいんで』というサインは画面からバスバス漂っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月2日
彼らは本当に、ただ退治するべきモンスターなのか?
そんなことを考えた。
エピソードヒロインとして、PARK三人娘のクリエイティビティに憧れるみさちゃんも、要所要所でスクーパーズに寄せた演出が乗っかる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月2日
色彩に満ちた本来の原宿と一線を画し、モノクロームの文化なき世界に身をおいているカットが、三回ばかしリフレインされる。明確な意図のある繰り返しだ。
彼女が持っていないのは、魔法少女(色彩を奪われたお菓子は”プリキュアアラモード”を彷彿とさせる)としての戦闘能力だけではなく、『作る』能力も同じだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月2日
ビーズを繋げてアクセサリを作る。比較的シンプルな創造も、みさは『お姉ちゃんたち』にやってもらう。創造の御手は、童女には遠い。
みさが『対話可能なスクーパーズ』として三人の脇に配置されているなら、あのキモい集団も人に寄り添い、創造に憧れる心を制御出来ることになる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月2日
いつかみさが見ているだけの灰色の存在から、PARK四人目の仲間になったとき、暴力言語しか持たない交流も、相転移を起こすかもしれない。
お菓子と優しさとガーリィに満ちた世界の中で、暴力は浮いている。『殺すんじゃなくて、お菓子一緒に食べて解決でいいだろのんきな世界なんだから!』と思ってしまう
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月2日
NARUTO”で名を馳せた濁川敦が持ち込んだ、『アニメっぽいいい動き』はシンプルに視聴者の体温を上げつつ、違和感もある。
それが狙って導入された違和感だとすれば、それは未来への布石だ。ポップに装飾された虐殺は、解決策としては正着ではない、と。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月2日
この可愛い世界で、暴力だけが解決手段になっている僕個人の違和感を解消するために、隠された意図を捏造している感じもあるが。どーなのかなぁマジでな~。
そこら辺は未来に任せるとして、メインテーマたる『創造性』の描き方はシンプルかつ骨太で、とても良かったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月2日
押し付けられた灰色の空。気が滅入るなら、自分で筆を執って太陽を捏造する。心の赴くままに造り、見せ、色彩を取り戻していくりとのタフさは、無言実行の逞しさに満ちている。
創造性の迸りに、それこそ動物のように無条件で誘導されてしまうスクーパーズの習性。笑顔で地雷起動することこのエグさ含めて、りとのクリエイティビティは狡猾で残忍でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月2日
仲間に向ける優しい顔と、敵に向ける冷酷な表情。その二面性が、不思議な実在感をキャラとアニメに与えている気がする。
一瞬で原宿中の監視カメラをハックすることこのヤバキチナード力とか、今週も洋画節全開なまりちゃんの八重歯とか、『冗談』を介してキャッキャしまくる二人とか、キャラいじりの面でもいい感じだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月2日
まりちゃんの大仰な台詞回し、マジ癖になるんで毎週忘れずやって欲しい。あと八重歯な。
ジーニアスことこが顕著なんだが、このアニメ話の本筋でハードな非日常が展開してるのに、すごく日常的などーでもいいキャイキャイにワープする事がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月2日
展開を追うにはノイズなんだが、『どんな状況でも日常ってのはあって、そこにヒョイと飛び込んでしまうのが人間だよね』という納得も感じる。
今後スクーパーズとの戦いが激化したり、衝撃の真実が明らかになったとしても、三人娘+みさの呑気な脱線は頑張って残して欲しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月2日
100%シリアスになりきらず、自分たちなりのリアリティで非日常に適合している感覚が、アクションと会話で滲んでくるのはこのアニメ独特の強みだと思うので。
とまぁそんな感じで、不穏さは残しつつ綺麗に一戦片付ける、収まりにいいお話だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月2日
『TVシリーズアニメーション』の文法をエピソードや動画に混ぜた結果生まれた収まりの良さは、そこから思いっきりはみ出しているこのアニメでは、シンプルな心地よさと同時に違和感も生む。
普通じゃないアニメで展開された、普通のアニメっぽいお話。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月2日
矛盾まみれで同居する安定感と違和感がすごく不思議な感じで、ピーキーな所攻めてるのにキャラの掛け合いは呑気で。凄くこのアニメらしい中盤回だったと思う。
今回撒いた不穏さをどう発芽させて、話を伸ばしていくか。来週も楽しみです。
追記 単眼鍛冶神の系譜
あ、ことこ達のパワーの源泉である『アマツマラ』は古事記に登場する鍛冶神であり、古代のクリエイターといえる存在。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月2日
これは単眼神であり、天目一箇、あるいは後に零落してイッポンダタラともなる。鉄製の武器を作る神なので、闘う以外のコミュニケーションが無いのも、ある意味当然か。
スクーパーズの特徴が『単眼』であることを考えると、エビフリャーが与えてくれたスーパーパワーは敵と同根の力なのだろう。だけどPARKはそれをクリエイティビティに変換可能で、スクーパーズは奪うだけ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月2日
そこにある差異はなんなのか? ってのが、作品の一番のコア・クエスチョンだろうなぁ。