イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

少年ハリウッドショートレビュー -質問箱から-

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ご質問ありがとうございます。 横幅広くアイドルアニメの好きなポイントを上げるのは、過去の解答でやってますので、ザ・ワンを選ぶとなると…悩みますが『少年ハリウッド』を推します。

濃口のキャラデザで距離を取られてしまうことも多い作品なんですが、非常に良い。

 

このお話は凄く色んな要素が詰まったアニメで、『アイドル』という職業の在り方を真剣に突き詰めていく『アイドルアニメ』であるし、その職について本気で自分を演じ見つけていく青年たちの『青春アニメ』であるし、生々しい青年たちの距離感が詰まってグループになる『群像劇』でもある。

ステージに立って観客に向かい合うことにどんな覚悟と意味がいるのかを描く『ステージアクトもの』であるし、世代を超えて継承されるものと時間が残酷に打ち砕くものを同時に切り取る『年代記』でもあり、人間はどんなものにしがみついて生きているかを泥臭く描く『人生の物語』でもある。

そういう欲張りな多層性を、シリーズ構成・橋口いくよの言語のセンス、『アイドル』への認識の深さと、監督である黒柳トシマサの映像的視力/詩力の高さが見事にアニメにまとめ上げて、語り尽くしている。 過剰も不足もなく、自分たちが語りたいもの、語るべきものを26話にしっかり詰め込んでいる。

そしてとても巧いのに、冷えたところがない。アイドルという存在、青春という季節、ステージという場所。全てに敬意と熱意があって、しかもそれが伝わる形で映像化されている。 キャラクターは一個人として作品世界の中でちゃんと生きていて、息吹と痛みを兼ね備えている。それを成立させる愛情がある

全体通しての成長や変化の楽しさ、発見の喜びもよく計算されているし、一話一話の満足度、やり遂げた充実感も高い。その仕上がりが、全てを見終わったときの『ああ、良いアニメだな』という感慨にも繋がる。 アニメを26話見る喜びに満ちた、とても良いアイドルアニメです。皆さんにもぜひ見て欲しい。