ダーリン・イン・ザ・フランキスを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月18日
荒野に雨が降る。龍の青い血、人の赤い血。子供たちが起きてられない真夜中に、自分のためではなく誰かのために、道具のように使い潰されていく。比翼の鳥が、天蓋のない空を飛ぶ。ぶち破るべき壁がまだ見えなくても、支え方だけは判る。
そんな感じの、第一部完、というエピソードであった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月18日
バリッバリのアガリまくりアクションとか、『アハハー、ヒロの叫竜侵食、超アルミサエルっぽーい』とかは、あんま喋ってもしょうがない気がするので横に置く。
最近気になるのはいつも、子供の健気さと愚かさ、大人の卑怯ぶりばかりだ。
先週しっとりと切り取った、子供たちの不器用な距離感。今回の戦いもその延長線上にあり、水を受け渡せないフラストレーションから、ちょっと何処かへ飛び出せそうな、でもよく考えればどこにも出ていけないような、そんな微妙さの只中にある戦いだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月18日
グーテンベルク級(『手も足も出ない』構造が、最終的に超暴力となってガツガツ頭突きしてくるのは面白かった)をぶっ倒したところで、ヒロも子供たちも居場所が手に入る訳じゃない。未来へ飛び出せるわけじゃない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月18日
掴んだのはたかだか、自分と仲間の命。それで十分と胸を張るには、世界はクソすぎる
それでも、ヒロはしたり顔の自己犠牲の先にある血まみれのパートナーの顔を見れたし、セックスの悪趣味な真似事ではなく優しさを込めて(年相応の子供らしく)ゼロツーを抱けた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月18日
性が男女を分ける前段階の、親愛を込めた抱擁が、敵の血が混じったヒーローを人間に引き戻す。
取り繕った外面の良さで、告白をかわされたイチゴ。『リーダーの仕事、頑張ってね』と先手を打たれたら、自分の気持ちも言葉には出来ない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月18日
自分より強くて(先週『腕力』で02に負けたのは痛い)、自分よりスラットな女を前に、『死なないで』とはなかなか言えない。
それでもイチゴは、ヒロが死んだと思って立ちすくんでしまう、『リーダー』らしくな自分を素直に出すし、それをゴローに抱きとめてもらうことも出来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月18日
決戦前夜、ドロドロになったイチゴを前に立ちすくんでいたゴローは、極限の中でようやく、好きな女の子に接触する。
ゴローはイチゴにキスしない。02から教えてもらっていないし、それでイチゴが傷つくだろう実感を、己の中に内面化出来ているからだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月18日
第2話でその意味も知らないまま、02が見ている世界に憧れてイチゴを蹂躙したヒロの、真似はしない。死に満足するヒロの夢と、ただ命を掴むべく戦いを見るゴロー。
死にかけたヒロが迷い込んだ、あのモノトーンの世界。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月18日
あれが彼の内面なのか、はたまた世界の真実に接触している客観的な場所なのかは定かではないが、そこでの体験が彼を真実に近づけていく。
ロボアニメの最終回みたいに、やりきった男の顔を作って、満足して死のうとするヒロ。
しかし戦いはまだまだ続いているし、ヒロは満足して死ねるようなことは特にやっちゃいない。一目惚れした女の子は獣の顔でヒーヒー足掻いてるし、血まみれだし、そんな彼女の苦しさを肩代わりしてやる役は、全然果たせちゃいない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月18日
ヒロは戦う意味を、『パパや街の大人を守る』と答えた。ゴローのようにただ命を掴むでも、ゼロツーのように青い血にまみれて自分の中の怪物を塗りつぶすためでもなく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月18日
世界がそうなっているから。そうするのが子供の仕事だから。使い潰されて、役割を果たして満足して死にたい、と。
それを聞いた時、ヒロに謝らんといかんな、と思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月18日
彼のいる環境は、僕が幸運にも獲得できている社会よりも遥かに狂っていて、根源的な足場のネジが五六本ぶっ飛んでいる。
彼が求めた『子供らしい居場所』ってつまり、大人の安寧を守るための自爆兵器だったってことだ。
それしかスタンダードがない場所に、ヒロは追い込まれて、選ばれたパイロット≒享楽のための消費物という、社会から与えられた唯一の存在意義にもコミットできなくなって、必死に身勝手に、色んな女の子を踏みつけながら死のうとした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月18日
それは無知ゆえの純粋で、愚かさゆえに悲しい。少なくとも僕には
ヒロはそういう、ミーイズムと剥奪と洗脳が入り交じった生き方を貫通させて、白い世界にたどり着く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月18日
しかしそれが全てではないことを、他の子供のように彼は(文字通り)肌で(ゼロツーと接触する中で)感じていて、その温もりが彼を再起動させる。
1話以来描写が封じられてきた、ゼロツーと同衾しているコックピットの内部。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月18日
それは普段のゼロツーからは想像も出来ない、(ゴローがイチゴに差し出したのとはまた別の意味での)生きるためのむき出しの命が吠える、赤い血にまみれた荒野だ。そこでは余裕のない獣が、荒々しく息をしている。
それが、ゼロツーの真実の全て、というわけでは当然ない。まだまだ伏せ札にしているものは沢山ある。ラストカットの金髪小僧とか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月18日
しかし、彼女もまた侵食され荒い息をしていたヒロと、あるいは彼の停止を見て自分も立ちすくんでしまったイチゴと、そんな彼女の頬を手挟んだゴローと同じように
生きようとしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月18日
その証としての赤い血は、惨めな人間の子供のヒロも、忌子であり特別な存在でもあるゼロツーも、同じ色をしている。敵の青い血、味方の赤い血。等しく命は流れ、叫竜が何考えて人類襲うかは、まだまだ伏せ札のままだろう。
だがまぁ、ゼロツーもヒロも生きているのだ。
そんな赤い血が繋ぐ同志、あるいは共犯者として、二人は手を繋いで空に舞い、仲間ががっぽり開けてくれたパスルートをこじ開けて、勝利を掴み取る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月18日
ストレリチアに『繋ぐ』戦闘の描写は妙にスポーツっぽい健全さがあって、なんか変な味とアツさがあった。殺しの競技しか、子供たちには与えられない。
タッチダウンを決める時、イチゴがヒロだけではなく、ゼロツーの名も呼べたのが、僕は良いな、と思えた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月18日
足手まとい扱いされたのが気に食わねーとブーブーぶっこいてた26部隊とも、地獄を乗り越えた共感で子供たちは繋がる。その輪から、美しい赤鬼は遠くにいる。一緒に殺したり殺されたりしたのに。
でも、遠くから見つめるだけでも、彼女は人の輪のそばにある。まるで運命の仲間に投げかけるみたいな、イチゴの熱い絶叫も、多分ゼロツーには聞こえなかっただろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月18日
でも、命とか仲間とか真実とか、極限の中で少年少女がたどり着いたものは確かにそこにあって。もしかしたら、これからも在り続ける。
あの勝利は、子供たちだけが死線に触れ続ける不公平も強調する。現場で血を流す同志にだけ共有される連帯感は、死を超越した概念にはならない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月18日
あの世界はそういうものの存在を、執念深く消去するように組み上げられたシステムだ。アツい覚醒と勝利は、一瞬命をつなぐその場しのぎでしかない。
そこで獲得したもの、拡大したものがもっともっと広がって、硝子の天蓋をぶち壊して、鳥に自由を与えるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月18日
それとも、第1話で死んだ鳥のように、卑怯で不公平な(リアルな、とは口が腐ってもいいたくない)システムにぶち当たって、藁のように死んでいくのか。
それはやっぱり、さっぱり分からない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月18日
いい感じのロボアニメの快楽を積まれる度に、セックスモチーフのいやらしさを重ねられる度に、それをどう使うつもりなのか、信頼と確信ではなく疑念と当惑が降り積もる。
それでも、少年少女は変わることが出来て、変えることが出来るかもしれないという希望は。
今回のエピソードから、少し与えられた気がする。それがあると、僕はこのアニメを今より少し、好きになれる。ありがたい限りだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月18日
そうやって預けた足を、スパンと払われる可能性がまだ全然残っているとも、また思っているけども。でもそうやって、裏切り含めて作品と対話する足場は少し作れた気もする
ヒロがようやくたどり着いた、社会規範に従って自爆兵器として死ぬ以外の、彼の真実。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月18日
赤い恋は脆くて、不確実で、ヒロ自身の不誠実さや、ヒューマニティへの信頼と不信に揺らぎ続けるゼロツーの試しによって、簡単に揺らぐ。
世界はそのあたり前の感情を、あまり祝福も支援もしてくれないだろう。
それでも、それが彼の脈打つ命に繋がっているというのなら。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月18日
荒野の中で、幾度も試しつつ前に進んでくれたらいいなと思うし、この話は多分、そういう道に進んでいくのだろう。
それが個人の殻を突破し、彼の生存を心から(彼自身に拒絶されたとしても)望んだヒトや、それより大きな世界に接続するかは
やっぱり、さっぱり判らない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月18日
『比翼の鳥』と綺麗に飾った、主人公とヒロインのパートナーシップ。そこに漂うエゴイズム…と言っていいのかすらわからない、稚さと世界の卑怯さの共犯物が、一体どこに流れ着くのか。
そのスタートポイントに、ようやく色んな子供たちがたどり着いたのかな、と思う。
「寝だめしないと、深夜の戦闘は眠くなっちゃうから」というイチゴのセリフが、巧くてズルい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月18日
それくらいあの子らは子供のままで、なのに死ぬのが仕事とか言われる。クソい。子供たちのアツい絆の覚醒回の中に、そういう世界のクソさが山盛り仕込まれている。
竜に侵食された青い少年と、竜の血が入った赤い少女。二人の恋が、クソみたいな世界のクソさを改変していくのか、はたまた世界のクソさに気づいたり興味を持ったりするのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月18日
それもまた、よく判らない。子供らの中で、『公』に一番近いのは、イチゴとゴローだからなぁ…水は受け渡せるかね?
戦場においては『立ちすくむ』という形で発露した、『リーダー』らしくないイチゴの『個』。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月18日
それが、ちょっとキリッと『リーダー』っぽい顔した後に、やっぱ堪えきれずに泣いて抱きついてしまう変化は、やっぱ素直に良かったな、と思う。
好きで、大切で、生き残れたことが嬉しくて。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月18日
そんな当たり前の喜びすら、『戦って生き残ったご褒美』としてしか実感できない荒野は、今回の勝利とは全く関係なく彼らの前に広がっている。
今回、そしてここにたどり着くまでのエピソードで巻かれた種が、咲くか咲かぬか。咲いて散るか、徒花が芽吹くか
どうなるかはさっぱり判らんけども、できれば綺麗に咲いて欲しいと思う。大人たちが摘み取るためではなく、花が花として、ただ在るために。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月18日
それは荒野では過ぎた夢だ。天の恵みは、硝子の天蓋に守られた街だけの贅沢だから。そういう場所で、物語はどう進むか。来週も楽しみですね。