※訂正
以下の全文章に置いて、”惣治郎”が”惣次郎”になっています。双葉や蓮という、見捨てられたコドモのケアをした彼の名に”治す”が入ってるのは大事だと思うのに、うっかり間違えてしまった……。
ペルソナ5を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月22日
死へ向かう意志と、再生を願う気持ち。矛盾する少女の心が生み出した、存在し得ないピラミッド。怪盗団は心理と現実に分け入り、少女の真実へ一歩、また一歩と近づいていく。
アリババが暴くべき墳墓に眠るは、新たなる産声か、死せる母の呪いか。盗賊たちの冒険は続く。
というわけで、可愛い可愛い双葉ちゃん攻略戦・前半である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月22日
機能崩壊家庭、目の前での自殺、限界まで追い込まれた心理。かなりヘヴィな物語が展開するが、所々の息抜きパートが仕上がり良く、どん底にならない配慮がありがたい。
冒頭のシーン、全部あざとかったな…真先輩、お姉ちゃん呼びずるくね?
まぁ一番あざとかったのは、他人の娘のために猛ダッシュかけて、全力でカバー特攻しかけてくる惣次郎おじさんだったけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月22日
信じてた…ゴミ人間扱いされた少年に屋根を提供し、カレーを作ってくれるオジサンが悪人じゃないと…。ホント、ハラ満たしてくれるオトナに弱い。
オジサンがシェルターを作ることで、双葉は自責から少しだけ守られて、何とか生き延びてきた。引きこもりつつドアの外の言葉を聞き、扉の前に置かれたカレーを食べたのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月22日
惣次郎はペルソナを出せない。だけど、双葉のパレスに踏み入る資格を優しさで手に入れつつあった。
しかし、超常的な”何か”がその特権を、暴力的に破壊してしまった。市に誘う呪いの声は、メンタルをやられたリアルの幻聴であり、おそらくは精神暴走事件に関わるものなのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月22日
もしかすると、母親突然の自殺も関係しているのかもしれない。双葉と怪盗団は、同じ戦場に立っている。
これまでは他人を踏みにじるゴミクズ悪党どもの、秘めた悪事を暴き立てるのがパレス・ハックだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月22日
しかし今回、双葉は誰も傷つけていない。母も殺していないし、何かを盗んだわけでもない。だが、パレスは生まれている。悪事を正す窃盗は、今回は一種のカウンセリング、癒やしの側面を持つ。
惣次郎の過去を反映してか、あるいは引き取った娘のケアのためか。ひっそり臨床心理の本がおいてあるのが、『オジサン…優しいおじさんホンマ…』ってなるところである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月22日
カレーは作る、優しく接してくれる、声は中田譲治。いないよ、こんなオジサン…。
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惣次郎が寂しそうにつぶやく、『俺には何も出来ない』という声。それを双葉は聞いていて、ショックを受けた様子を見せる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月22日
それは惣次郎の善意が、ちゃんと双葉に届いていて、でも二人の真心がすれ違うから生まれる衝撃だ。本当は、双葉も感謝の言葉を届けたい。玄室から出て、惣次郎に会いたい。
でも出れない。傷ついてしまった心が、自分を死に誘う自責の念が、扉に鍵をかけて出してくれない。母親の死霊が眠るピラミッドで、自分も思い出に殉死する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月22日
本当にそうしたいのか、本当はそうしたくないのか。双葉本人にも分からないまま、認知は歪み、足は止まる。
その自縄自縛をぶっ飛ばせるのが、ペルソナのパワーであり、怪盗団の青春力である。かつての自分や友人のように、苦しみのただ中にいる仲間を救いたい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月22日
マブにそうするように、顔もよく知らない相手を名前呼びにしてるところが、無茶苦茶グッとくる。『俺たち、仲良くなれるぜ』という意思表示だ。
田口監督の演出力は今週も冴え渡っていて、惣次郎の警戒を背もたれのラインで見せたり、そこを明け渡した後は平らな立ち位置になったり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月22日
双葉を助けたい気持ちを共有するように、怪盗団はコーヒーを飲む。同じお宝を目指す仲間の、固めの盃だ。
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惣次郎が双葉に差し出していた真心を、ジョーカーは代わりに食う。優しいおじさんに助けられた同士として、惣次郎のカレーをたらふく食って、パワーに変える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月22日
あのシーンは蓮と惣次郎の、奇妙な信頼関係を巧く見せてくれて、とても良かった。
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重たくなりそうなネタを、仲間とダラダラバッセンで過ごす青春力でコーティングしたり、いろいろ上手かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月22日
第13話で明智の謎掛けをホームランしたように、蓮はボールを弾き返す。いろいろあるが、最後は勝ってみせる。そういう決意と預言。
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現実世界とパレスをザッピングしつつ、徐々に双葉の気持ちに近づいていくのも面白かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月22日
双葉の私室はクローゼットであり、乱れた気持ち、自罰の快楽を閉じ込めた心の内側だ。それはパレスと違い現実に存在するが、パレスより攻略が難しく、玄室を開ける決定打ともなる。
ここまでそれなりに明瞭だった、超常と日常の境界線。パレス攻略が”癒やし”の側面を強めた今回、その境目もあやふやになっていく。
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誘いつつ拒絶し、死を求めつつ活きたいと叫ぶ。双葉のアンビバレンツを知っていく中で、心理は現実に近づき、日常と超常は融合していく。
”現実”のはずの双葉の部屋に、突如現れたシャドウ。誰かを害する暴走ではなく、真実の道を指し示す勇気を宿した、もう一人の自分。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月22日
何処かおどろおどろしい光に満ちた双葉の部屋は、もう一つのパレスなのだ。怪盗団の奇妙な事件は、いつだって現実的だ
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美術の才がある祐介が、双葉の心理壁画を読み解いたり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月22日
志帆を助けられなかった杏が、自死を求める杏にガンガン共感していたったり。
仲間の過去を活かした演出が、彼らの変化をうまく見せていたのは、積んだ話数を感じられ感慨深かった。
杏殿がどんどん双葉に前のめりになっていくのが、ヒロイン力高く、また凄く切実でよかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月22日
志帆の名前を一切出さず、視聴者にちょっと考えさせる運びなのが、味わい深くていい。『杏殿、なんでこんな本気なん?』ていう疑問に、しっかい答えが用意されてる喜び、というか。
杏にとって双葉を助けるのは、かつて出来なかった救済で自分を慰め、万能感を取り戻すエゴイズムでもある。完全に無私の行為じゃない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月22日
でもそういう個人的な事情と欲望が、真実誰かを助けるときには大事だ。誰かのため、貴方のため。そういう無色透明な手助けは、嘘が多くて信じきれない。
志帆のため、志帆を助けられなかったかつての自分のため。そういう身勝手な認識が扉を超えて、杏に届く瞬間がかならず来る。”私のため”が、”貴方のため”になる奇跡が、人間には用意されている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月22日
そう信じられる描写と展開で、凄く良かったと思う。杏のヒロイン力が、未来を開くと信じて!(打ち切り)
蓮も世界のはみ出しものとして、惣次郎オヤジのカレーを食った仲間として、双葉にはかなり肩入れしていると思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月22日
なんとなくだが、ゴミクズなオトナのゴミな内面を暴く以上の力が、ペルソナと怪盗団にあると証明できるのが、嬉しいのかなとも感じた。他人を救うという”良いこと”に、力が使える喜び。
1クールを超えて、パレスの基本パターンを十分見知った頃合いでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月22日
現実と幻想が交錯する描き方。主の心理に分け入って、一歩ずつ現実を進めていく実感。暴くだけでなく、治す力を持った冒険。
いろいろ変則的だからこそ、怪盗団の特別なチカラ、その可能性を広げる冒険だったと思います。
シャドウに諭され、双葉は何かを掴むように手をさまよわせる。それは無力であり、同時にかすかな希望を求めてもいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月22日
トラウマと自罰にズタズタにされた自分では、どうにもならない状況。そこを開けてくれるのは、いつでも優しい誰かだ。
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それでも最後に掴み取り、あるいは勇気を持って扉を開けるのは、弱々しい自分の手にほかならない。凄く奇妙な仕草で、双葉は玄室の扉を開けて、死者のために死んでいることを止めた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月22日
その不格好な勇気は、可愛らしくも尊いと思う。
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さんざん苦しみ、現実を侵食する異常に怯え続けてきた双葉。怪盗団が狙うのは、誰かを断罪する証拠物品ではなく、光に向かって踏み出すための真実。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月22日
なかなか、異能ジュブナイルど真ん中の展開になってきた。怪盗団に親しんできたタイミングで受け取るのに、とても良いエピソードだと思う。
自分にできることを必死でやりつつ、それでも独力では突破できず、だからこそ主人公の助力を請う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月22日
双葉のヒロインの資質が極限的に高くて、異常にモチベーション上がる展開だ。やっぱ自分で進む足と、それを封じる壁、壁を壊す主役特権の三要素が、当事者性を生むヒロインには大事。(唐突な持論)
可愛くて可愛そうな双葉ちゃんの、心に触れて何かを変える。怪盗団が今までやってきた世直しとは、ちょっと違う冒険も佳境です。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月22日
玄室に封じ込められた魔物と、双葉が見失った真実がどんなものか。怪盗の大活躍が、どんな未来を連れてくるか。惣次郎オジサンは報われるか。次週も楽しみですね。
追記 落とし前は落とし前、破滅のカタルシスは大事。さて、どうひねってくるかな。
P5A追記。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月22日
”悪人”であるメジェドではなく、”被害者”である双葉のパレス攻略に行った今回。双葉のトラウマを切開し治療することが、メジェド断罪とどう繋がるかは気になる。
何らかの転倒が仕掛けられてるんだろうけど…双葉の無意識がメジェド事件を引き起こしてた、という形になるのか?