ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月12日
男と男が街角で出会い、拳に思いを載せて語り合う。
腐り果てた街に、黄金の風が吹く。
激烈なる邂逅を果たした、ジョルノとブチャラティ。殴りつけたものの感覚を暴走させ、命を与えるゴールド・エクスペリエンスは、現実を諦めたギャングをどう変えるか…。
そんな感じの、殴り合いナポリである。ジョルノのオリジンも分厚く語られ、このアニメがどんなゴールを目指していくか、言葉ではなく魂で理解させるエピソードである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月12日
戦闘描写も気合い入りまくり、超常パワーと野蛮な殴り合いの合わせ技で、大興奮の仕上がりであった。
ジョルノ過去編は原作より少し足されて、侠客であってもギャングはギャングという部分が、揺るぎなく強調されていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月12日
『悪の中の善、善を目指しても悪は悪』というテーゼが、五部には常に付きまとう。主人公が未来を目指す星に、その陰りをちゃんと足すことで、作品全体がクリアに見える。
しかしゴミ溜めみたいな状況から、名もなきギャングスタがすくい上げてくれたことも事実だ。(ここで匿名無名の存在が、人生を決定的に変えてしまう奇縁は、仗助にも通じていて面白い。運命は必ずしも、地縁や血縁だけが引き寄せるわけではないのだ)
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月12日
ネグレクトされ、暴力を受け、『お前には価値はない!』という態度を取られれば、そのまま卑屈に育ってしまう。悪に抵抗する勇気をしょぼつかせたまま、背筋を曲げて生きていくしか無い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月12日
しかし誰かが信じて、愛してくれれば、人は光の中で、まっすぐ背筋を伸ばして生きていくことも出来る。
ジョジョ(というか荒木先生)は人間の醜く弱い側面をドス黒く描くけども、それとは逆の方向に進んでいける可能性もまた、けして見落としはしない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月12日
そんな勇気と正義が、過酷な試練を常に課せられることも。善は善だから無条件に勝つ、ということはない。どんな形であれ、正義は常に試される。
それでも”何か”を信じて、暴力や不正に立ち向かうためには”憧れ”が必要である。泥から顔を上げ、星を見上げるような。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月12日
ジョルノにとってそれは両親ではなく、名もなきギャングスタの侠気であった。悪が常態化した世界では、悪の中に正義を見出す道もある。
クズを殺すクズ。どっちに転んでもマトモな生き方はできないが、それでも少しは街の風を心地よく出来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月12日
13歳のガキが麻薬に溺れるような、悪徳の世界を変えることが出来る。かつての自分のような、惨めな気持ちで背中を曲げさせられている少年に、光を見せられる。
そんな闇の中の光は、ジョナサンの血統を追いかけてきた四部までの主人公像とは、結構違う。DIOの血を混ぜたのも、これまで敵対するばかりだった”悪”なるものに、主役の軸足を置く布石なのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月12日
悪の血を引き継ぎ、悪徳に満ちた世界に生まれた黄金の風は、どんな正義を求めるのか。
当たり前に堕落してしまっている世界で、どういう正義を貫けるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月12日
ジョルノが背負う物語は、つまり5部が立ち向かう主題だ。だからこのタイミングで、鮮烈に描かれたのはとても良かったと思う。
五部イタリアにおいて、”悪”は連続殺人犯のような社会の異物ではない。隠れる必要はない。
社会全体がマフィア化し、追うべき倫理も人を養う経済も支配されている世界。誰も”悪”から特権的に逃げることができない世界。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月12日
ジョルノもブチャラティも、そこにいる。どう転がってもクズなのだ。ならば、少しは人の役に立つ、ガキを殴らないクズを目指したほうが気持ちがいい。
しかしブチャラティはジョルノより少し大人(5歳差)であり、マフィア組織にも既に入団している。現実の重たさ、抱えた理想の無力さが彼をすり減らし、悪夢のペロペロ脅迫おじさんにしてしまっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月12日
そこら辺をぶっ叩いて再起動させるのが、今回のスーパーバトルとなる。
生命賦活 VS 断線転移。お互いの異能力を最大に発揮し、裏をかきあうスタンドバトルの醍醐味も素晴らしかったが、とにかくシンプルな殴り合いの描写が良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月12日
西部劇の決闘のように、男二人が人倫の荒野に立ち、最も信じられる武器…スタンドに全てを掛ける。戦闘時、黄金の風はどこか乾いている。
スタープラチナもクレイジーダイヤモンドも、主役スタンドはパワー型だったので、ひ弱いゴールド・エクスペリエンスは味が変わる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月12日
ココらへんも、これまでの系譜からちょっとひねり変化をつけたところか。サポーター&ヒーラーが主役って、結構珍しい作りよね。
しかしオヤジの首から下はジョナサンのものなわけで、ジョースターの血はジョルノにも入っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月12日
ジッパーに隠れ潜む敵を追い込む、帰巣本能の罠。ブチャラティの魂の色を一瞬で見抜く、鋭い観察眼。ジョジョの主役に相応しい凄みと知性が、謀略戦からもしっかり見える。
命を与え、感覚を暴走させるゴールド・エクスペリエンスの能力。それがブチャラティの錆びついた正義に活を入れ、彼はかつて抱いていた理想を思い出していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月12日
超常の能力を扱っているようにみえて、実は凄く普遍的な感情とドラマにしっかり踏み込んでいるところが、このバトルの妙味だ。
ギャングスタに救われ、憧れたからこそ、その理想が泥にまみれているのは許せない。自分の背筋を曲げさせ、星を見上げられなくしていた悪しき存在と、同じになっちまってる現状は認められない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月12日
そして法も正義も機能しないこの世の果てで、それを正す手段は唯一つ。”悪”になることだ。
ジョルノはその覚悟を、包み隠さずブチャラティに伝える。拳を交える中で、『コイツは本物だ…!』と信頼できるような鬩ぎ合いがあったわけだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月12日
登場時は小物っぽかったし、決着直前の狼狽は情けないんだが、戦闘が加速するにつれブチャはどんどん冴えていく。
頭も回るし、覚悟もある。パワーはGEより遥かに上で、特殊能力も汎用性がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月12日
それがブチャの”素”なんだけども、現実のクソをなすりつけられた結果、黄金は錆びてしまっている。それを剥がすのが、ジョルノの赤心なのだ。
アニメで見返すと、かなり鮮烈な”大人と子供”の構図なんだな。
兎にも角にも、男と男は出会った。拳を交え、理想を交換し、嘘偽りのない思いを伝えた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月12日
この運命の出会いが、一体何を生み出すか。何を変えていくか。何が犠牲になるか。
そこに期待がモリッと高まる、素晴らしいファーストエピソードでした。んーむ、ヤッパ五部アニメは良い。
『ギャングスターに憧れるようになったのだ!』のシーンの胸はだけとか、片肌脱いだブチャラティのセクシーとか、とにかく男の色気がムンムン画面から立ち上っていて、凄くいい気分になる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月12日
ジョジョはずっとそうだけども、5部は特にセクシーだよなぁ…あらゆる瞬間が挑発してくる。
それが”媚び”にならないのは、正義への信念とか、悪徳に満ちた世界とか、そこを泳ぎ切る覚悟とか、精神の輝きがけして衰えないからだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月12日
なにかに訴えかけるためにセクシーなのではなく、心の瑞々しさが体から溢れることでセクシーになっているのだ。
5部のセクシーとは結果ではなく過程ッッ!!!
そんなことを再確認できるのも、アニメ化の有難いところである。良いリブートは優れた解釈者が、どう原典を読んでるかを肌で感じることが出来るのが、とてもありがたいですね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月12日
そして5部アニメの”読み”は、とても鋭い。色彩、美術、レイアウト。揺るぎなく”5部”してくる。
今後とんでもない強敵たち、魂を通わせた同志が、モリモリと溢れてくる。悪なる悪、悪なる善を抱えた好漢達(トリッシュ含む)が、アニメでどう描かれるか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月12日
そこへの期待も強く膨らむ、ブチャラティ接触編でした。いやー、おもしれーなこのアニメやっぱ。
追記 拳はベルトで卑劣に保護してガキを殴りつけることもできれば、腐ったギャングスタを本道に戻すことも、新たな命を与えることも出来る。力はいつでも使い方次第で、だからこそ悪に屈しない勇気を持つことは大事なのだ。
ジョジョ追記。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月12日
幼年期のジョルノを怯えさせていた義父の拳と、ブチャラティの魂を蘇らせる青年ジョルノの拳が、同じエピソードに乗っかるのはなんかいいですね。
アクション活劇であるジョジョが必然的に扱う”暴力”の二面性が、拳を通じて見える気がする。