からくりサーカスを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月21日
黙示録来たれる世界の果てで、意地と意地がぶつかりあう。人間様最後の誇りを握りしめ、ルールを壊す端役達の物語が、音を立てて回りだす。
そんな感じの最終決戦、まずはサブキャラクターから煮込みましょう、てな感じのエピソード。
北米研究所を巡る激戦は、色んな人間を巻き込みつつ加速していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月21日
ギャンブラー気取りの家電製品と、過去に支配されたミンシア姐さん。
人間と機械の間で、アイデンティティに悩むジョージ。
醒めた功利主義者の仮面を、屈辱の中で引っ剥がす阿紫花。
時に側道が本筋よりも熱い、からくりらしい座組だ
ミンシア姐さんはギャンブラー・ジョーンズの手管に載せられて、相手の土俵で勝負をし続ける。ホントよくセクハラ受けるね…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月21日
機械仕掛けのいかさま師であるジョーンズにとって、ギャンブルは生き様ではなく退屈凌ぎ、結果がわかりきったゲームに過ぎない。
それを突破できない迷いが、ミンシアを縛る
ここら辺、中国編での描写がもうちょい分厚いと葛藤にも重みが出るわけだが、まぁそこを言っても詮無い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月21日
トンチキな道化の服を着せられ、プライドを傷つけられつつも、北米研究所の心臓…ゾナハ病の子供たちの”蔵”を見せられることで、ミンシアは己を取り戻す。
賭けに弱いなら、賭けに乗らなければいい。相手の土俵を拳で打ち割る一発で、姐さんは自分と”しろがね”の衣装を取り戻す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月21日
ジョーンズも真剣師という生き方を、その場しのぎの偽物ではなく、全霊をかけた生き様に昇華できれば、勝ち筋があったかもしれない。だが、人形にそれは無理だ。
正確にいうと、人形のままであり続ける存在には、だが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月21日
そこからはみ出しつつある存在で、今回のエピソード(というかこのお話全体)は満ちている。
ジョージにしても、阿紫花にしても、パンタローネにしても。今まで自分を規定してきた虚飾を剥いで、真実を捕まえつつある。
先週『所詮メトロノーム』と己を嘲っていたジョージは、身につけた技芸が子供に笑顔を取り戻す瞬間に飛び込む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月21日
ゾナハ病は”笑い”が生き死にに直結する奇病なので、ジョージの行いはその場しのぎのゲームではなく、真剣な医療行為でもある。でもゾナハ病がなくても音楽と笑いは魂を救うだろう。
体に機械を埋め込み、自動人形を殺す自動人形に為りかけたジョージは、その頭たるフェイスレスの裏切りで、存在意義を失った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月21日
それでも退屈に負けたくないから。かつて流れていたはずの赤い血を、もう一度取り戻したいから。
ジョージは再び、戦場に立った。
その事が、破壊者ではなく救済者、演者としてのジョージを顕にしていく。戦い、壊し、守ることと同じように、笑い日常を活きる姿も、人間には…人間である自分には大事。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月21日
そういうことを、ジョージは子供たちとの時間で手に入れていく。まぁ作画は正直、あそこスゲー苦しかったがな…動かねぇ…。
とまれ、サハラの地獄ですっかり擦り切れてしまった阿紫花より、ジョージはともすると『人間らしい』
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月21日
最終決戦に燃えカスの阿紫花を拾って、時分を付き動かす”何か”への衝動を共有するところとか、非常にヒューマニスティックだ。天国と地獄に向かう旅路には、誰か道連れが欲しい。
シガーキッスのシーンから漂うブロマンス。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月21日
ロボットと化した自分の影に立ち向かうジョージを、しかし阿紫花は置き去りにする。
口癖は『で、お題はいかほどいただけるんで?』
銭金が全ての醒めた現実主義者、命を張る理由はここにはない。そうやって己を諦める。
ところで、パンタローネ様がいいトスを上げに来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月21日
フェイスレスの傲慢に馴染めず、死せる主の面影を追って、しろがねを甲斐甲斐しく世話する哀しい人形。
遊び気分で殺戮を指示され、戦場の端っこでの残党狩りに身を置く。
退屈を吐き出すように、パンタローネは命令に背く。阿紫花を見過ごす。
自動人形もまた、己に刻まれた役割を変化させ、本気になれるなにかに飛び込んでいく。サハラではドットーレの命を奪った炎が、パンタローネには別の形で宿る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月21日
それはあくまで、身勝手な気まぐれ。落ちぶれた”最古の四人”を自虐する、やけっぱちの破れかぶれ。
なのだが、阿紫花を見過ごし結果として命を守った決断は、パンタローネをシンプルな”悪役”からはみ出させていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月21日
その圧力に押し出されて、物語から脱落しそうになった阿紫花も、人間様のプライドにしがみついて、死地に飛び込むことになる。
退屈、自虐。そういうものは、闘争の中でしか燃えきらない
独力で時分を取り戻したミンシア姐さんに対し、ジョージと阿紫花、そしてパンタローネはお互いを不器用にぶつけ合い、血を流すことで変化させていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月21日
激しく闘争のハンマーで退屈をぶっ叩き、本物に変えていく。錬鉄にも似た男達の関係が、激しく熱い。
こういう物語の爆弾が到るところにあって、これを適切に爆発させながら主筋も進めてかなきゃいけないんだから、やっぱ大河ストーリーは大変である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月21日
残った時間、どう使って何を描くか。アニメ化決定の一報が届いたときからの問題が、更に圧を強めている感じ。
そういう意味では、阿紫花とジョージのブロマンス、道を外れつつある”最古の四人”の滑稽と情熱は、なかなかうまく描けていると思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月21日
原作の力もあるけども、勝負どころに作画力を回して、印象的に描くことには成功できてる印象。
この活力を、どうメインストーリーに繋げていくかは来週以降か。
『電化製品もどきが、人間様に”どけ”ってか…』って阿紫花のプライドは、作品全体を燃やす炎だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月21日
『所詮ゲーム、つまらない遊び』と、人間と世界全てを嘲笑うフェイスレスの冷たさが、ゾナハ病にも自動人形にもしろがね-Oにも宿っている。
そんな冷たい場所から生まれた存在も、道を外れ生まれ変わる
仕掛けられた運命を乗り越え、新しい物語を掴むべく走っている主役と、その歩みはやっぱり似ている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月21日
皆同じものを見据えつつ、違う戦い、違うキャラクターを背負う。大河物語の面白さは、やはりそういう共通と差異にあるのだろう。
複数の物語が熱く交わればこそ、火花を散らす魂の色。次回も楽しみ。