Fairy gone フェアリーゴーンを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月28日
塔の都に、影が走る。
”黒の妖精書”をめぐり錯綜する思惑、蠢動する組織。異国情緒を味わう暇もなく、迫り来る異形の”掃除屋”。
誰もが嘘を隠しながら、”戦後”を生きる街の中で、妖精兵は何を探し求めるのか。答え…否、問いはまだ、記憶の向こう側。
そんな感じで、どっしりムードのタメ回。トルコっぽい塔の街をウロウロしつつ、登場人物が軒並みなんかを隠している様子をスケッチしていくエピソードである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月28日
異国情緒溢れる町並みと料理、カタコンベでの閉鎖都市戦。恐らくトルコモチーフの景色はなかなか良い。
話の方は伏せ札を大量に置く感じで、見ていて凄く頭がコンガラがった。冒頭、回想から更に二年前の回想が生えた時はどうしようかと…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月28日
多分素直に出されたものを食ってるだけだと消化不良を起こすアニメなので、今後は自分なりにつけた整理を、ある程度言語化していくことにする。
まずあの世界、表向きは戦争カッチリ終わって、皆平和を享受している。町並みは美しく、料理は上手く、人々は活気に満ちている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月28日
だがそれは表向きのことで、教堂の地下に広がる墓地迷宮のように、”戦争”は長く尾を引いている。ドロテア局長・ネインとイブランツ公の会話のように。
ネインはかつての上司を名前では呼ばず、役職で呼ぶ。その静止も聞き入れず、捜査のメスを城内に向ける。あくまで己は、国家機械の歯車の一つだと。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月28日
戦功により栄光を手に入れ、公の地位を手に入れた元妖精兵。イブランツ公が置き去りにしたものに、ネイン(とドロテア)は足場を置いている。
イブランツ公も『明るく楽しい戦後』に心底向き合ってるなら、城にウルフランを匿う理由はないわけで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月28日
表向き恭順を装いつつ、城の中には何かが隠されている。野心か、未練か、はたまた善意か。そこら辺は今後オープンになるところだ…ろう。
その伏せ札は、市井の妖精学者がテロリストとの繋がりを隠す動きと重なっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月28日
建前だけで言えば、マーリヤの言うとおり妖精省に飼われたほうが安定はする。だが体重を預けさせない不自由ときな臭さが妖精省…の背後にある統一ゼスキアにはあるのだろう。
戦争を胎盤にして生まれでた、統一ゼスキアという秩序。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月28日
それをひっくり返すテロリスト(あるいは犯罪結社)は”悪”とされる。そういう存在を追うのが、ドロテア(≒主役)の”仕事”でもある。
しかし御簾の奥から臭ってくる腐臭は、どうもお上がろくでもないことを教えてくる。
ならば造反有理、”悪”にもそれなりの理由があるのではないか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月28日
チラチラと揺らめく嘘と裏切りの多重奏は、そんな予感を強くしてくる。
まードロテアが”善”かっていうと、そういう書き方もされてないしね。つうか、ドロテアの活動がどういう結果を生んでいるか、具体的な描写が現状ない!だから判らん!
善悪不鮮明な”戦後”のなかを、主役たちは蟻のように進む。そのジリジリした歩みは嫌いではなく、塔の街特産の串焼きにかぶりつくシーンは、妙な生命力があった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月28日
こういう感じの異世界情緒は、作品世界にグリップする大事な手がかりになってくれる。今後も大事にして欲しい気持ち。
呪われし忌み子として生まれ、村を焼かれて生き延びてしまったマーリヤの過去。ヴェロニカのような復讐者になりきるでもなく、しかし”仕事”には奇妙な熱心さで取り組む彼女は、なんともチグハグな存在である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月28日
彼女が熱を上げる”仕事”は、”戦後”の何を守っているのか。不法な妖精は何を乱すのか。
そこの具体的な描写が一発欲しいが、まぁテロ計画が繋がってくると見える…のかな?
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月28日
人間のドラマがシンプルな分だけ、組織と社会が絡み合う陰謀劇は見えない部分が多く、ミステリを解く手間がかかる。こっちを一枚一枚見せていくことで、サスペンスを作る構造…なのか。
とすると、イブランツ公、グイ・カーリン、テロリスト、民間妖精学者が絡む”戦後”への叛逆は、その総体を安易には見せないだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月28日
目の前の”仕事”を果たしていったら、あるいは過去の後悔を追いかけていったら、その巨大な機械に取り込まれていた。主役たちはそういう道を歩きそうだ。
それが一寸先は闇、ハラハラドキドキのサスペンスとして機能するためには、簡単に先が見通せてはいけない。だから、テロルの総体はなかなか見えない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月28日
それは判る…のだが、大まかな輪郭、追いかけるもののスケールと脅威くらいは、分かりやすい形で受け取りたくもある。なかなか難しいね。
とまれ、スウィーティーは”掃除屋”を呼びつけて、国家の犬を襲わせる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月29日
クソ犯罪者とクソ官憲の、マクガフィンを巡る潰し合い。こっちは分かりやすい。
ジョナサンのトンだセリフ回し、コンテンポラリーダンスっぽい動きは、いい塩梅にキモくてよかった。何言ってんだアイツら…。
廃教堂(”教会”って言わないところが、異世界の宗教設定を感じさせて結構好き。トルコだし正教イメージなのか?)の埃っぽい空気。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月29日
その下に広がる、封じられた死骸。
長物がマトモに機能しない地下戦闘、すぐに息が上がるスタミナ。マーリヤの未熟さが良く見えるアクションだ。
すーぐ幸福だった時代の思い出にすがるところも甘ちゃんで、ヴェロニカお姉ちゃんにベッタリだった黄金時代を、今回よく回想される。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月29日
ヴェロニカは村に祝福され、帰属意識が強かった分、それが全部燃えた虚無をテロリズムに預けるしかなかったのだろうか?
忌み子だったマーリヤは、そりゃ気にせんわな
マーリヤとヴェロニカの間にある一方通行は、個人主義者と共同体主義者の断絶な気もする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月29日
共同体から切れた忌み子だったからこそ、復讐の呪いを無視し、国家組織に帰属できたマーリヤ。
愛された子供だったからこそ、故郷が燃えて生まれた”戦後”を肯定できず、孤戦を続けるヴェロニカ。
マーリヤが舌先で転がすほどに、ヴェロニカとの縁は甘くはないのかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月29日
しかし復讐者は超かっこよくガラスを突き破り、幼馴染を救済にやってきた。マーリヤ、ラッキーなのかアンラッキーなのか判らんな…幸不幸の変転は、テーマの一つな感じもあるし。
マーリヤの内面をみっしり埋めた、ヴェロニカとの記憶。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月29日
村と幸運に排除された空白を、唯一埋めてくれた思い出。
それがヴェロニカの中でも未だ黄金なのかは、次回の立ち居振る舞いで判るか。開けるべきカードが多いんで、伏せ札はスパスパ見せてくれんと手が足りん気がするね。
首輪を嫌い、フリーを煽ってきたスウィーティーが、どういう思惑で”黒”を狙ってるかも気になるしなぁ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月29日
かつて『主筋はシンプル』って書いたけども、個人の感情が解決される水路、それが彫り込まれる社会と組織の絡みは、かなり複雑怪奇だなこの話…独自整理せんと混乱するhttps://t.co/hBLZT3FIMu
主役の故郷を焼いて設立し、今では時代の忌み子として首輪をつけられている妖精。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月29日
アウトロー達が妙に”犬の首輪”を強調するのも、過去から、共同体から弾かれてなお秩序に与する主役を鮮明化するためだと思う。
何故、犬は首輪を欲するか。国家は元兵士に何を与えているか。
個人レベルの思い出や欲望と、巨大な組織や歴史、”戦後”がどう絡み合ってるかがいまいち不鮮明なのが、このお話の弱めなところだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月29日
ここがバチッと背骨はいると、かなり見やすくなる気がするけど…もう1/3過ぎたからなぁ、どうなることか。
とまれ状況は転がり、主役二人は生き死にのピンチである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月29日
空から降ってきたテロリストは、何を望むのか。この窮地を脱した先に、少しは見晴らしのいい景色が待っているのか。
忌み子たちの”戦後”は、未だ不鮮明なまま続く。来週も楽しみですね。