からかい上手の高木さん を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月22日
時は行きつ戻りつ、からかいは世界に満ち溢れる。
頃合いは4月、桜咲き鶯歌う時節。進級を控えた二人は駄菓子屋に行ったり、花見をしたり、呼び捨てするしないで駆け引きをしたり、今日も楽しく暮らしていた。
まさにこの世の春、永久なる青春のアヴァロン…。
そんな感じのノスタルジック・ピュアラブストーリー第三話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月22日
相変わらずコシの強いパンチを連打してきて、見終わった後は高血糖でフラフラである。
からかいと照れという薄い表皮を捲ると、二人がお互いを大好きな善意がみっしり押し寄せてくるのが、この作品の強さの根っこだな…。
お話は妄想と現実とか、一年生の4月と二年生の4月とか、色んな領域を行ったり来たりして進む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月22日
西片の勝手な妄想内部の、よわよわ高木さんが可愛かったり。
一年前の高木さんが『西片』より『からかい』重点で新鮮だったり。
ザッピングを繰り返すことで、色んな差異も見えてくる。
差異は同時に合同も強調して、呼び捨て狙いの背伸びは相変わらず失敗に終わり、からかいとじゃれ合いが二人の間の感情を上手く描く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月22日
呼び捨ては親愛の証拠。西片への牽制だったはずの言葉は、高木さんがスッと『西片』を滑り込ませることで、巨大な謎へと変わっていく。
今回は全体的に高木さんが強めで、西片ボーイを翻弄するにひひ小悪魔っぷりが色濃く出ていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月22日
しかし勝ちっ放しではなく、駄菓子屋でクリティカル、二年二組で大打撃と、キッチリ負けている姿もカメラは切り取る。視聴者はそれを見れるが、西片は見落とす。バカである。…"勝ってる"のにねぇ…。
色んなモノが揺れながら反復し、変化とリフレインの中で踊っている時代。羞恥、親愛、幸福…様々な感情が瑞々しい季節。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月22日
桜の花と鶯の声がきれいで、季節感も良かった。キャラクターを取り巻く気候が肌に感じられる美術は、目立たないけどこのアニメの強み。
ノスタルジー満載の駄菓子屋の中で、二人は虚実の駆け引きを楽しむ。表向きは相手の嘘を指摘するダウトゲームだが、そこでは思わせぶりな挑発と、そこに隠された本意が行き来している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月22日
西片はこのゲーム、本当に下手くそである。バカで純情なので、嘘がつけないのだ。嘘を見抜くのも下手。可愛い奴め
しかし表向きの虚実な実は二の次で、本当の勝敗はとっくに付いている。お互い惚れてんだから最初から両者敗北である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月22日
高木さんはそれを知りつつ、ゲームを成立させることでシャイボーイとのコミュニケーションを取る。からかいゲームという形式なら、照れつつもおしゃべりしてくれるから。
ここが一番策士なところで、好意を滲ませドギマギさせつつ、相手から手を伸ばさせる策略は上手く行っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月22日
高木さんも存外臆病なので、からかいを捨ててのまっすぐ勝負は出来ない。西片がバカと羞恥で踏み込めない所を、高木さんは賢さと弱気で踏み込めないわけだ。
このバランスが維持されることで、からかいゲームは成立している。天秤は危うく、甘く揺れつつも決定的な瞬間にはいきつかず、しかし"元高木さん"があることでゴール自体は見えている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月22日
ここら辺のメタな作品構造もまた、良いバランスでゲームを維持している。
一年目の呼び捨てゲームは、西片でなくても成立している気配がある。持ち前の知性でシャイボーイを弄び、手玉に取る楽しさがまず最初にある感じだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月22日
しかし一年間の関係構築(一期で僕らが見たもの)を経て、二年目は『西片だからこそ』のゲームになっていると思う。
ここら辺の微細な変化を肌で感じとり、キモく身悶えするべく二回の春を並べる構成は、非常に良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月22日
西片の純情クリティカルで頭殴られすぎて、高木さんもすっかり西片ジャンキーだからな…依存度はぶっちゃけ、高木さんのほうが高いだろこの関係…。
呼び捨てになろうと、同じ名字になろうと、二人は相変わらずからかいからかわれ、知性と羞恥を絡み合わせながら仲良く暮らしていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月22日
背が伸び、子供が出来、色んな関係が変わっていっても、根っこの部分は変わらない。そして変わっていくものにも、優しい愛おしさが詰まっている。
そういう感覚をしっかり捕まえられる、ちょっと凝った構成のエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月22日
エイプリルフールの舞台である駄菓子屋が、細やかにノスタルジーを掻き立て、今はもうない実在感をしっかり宿していたのはこのアニメらしいなぁ、と思う。
どこにもないからこそ追い求める。ユートピアの描き方が上手い
私服デートな駄菓子屋は、明暗を上手く使った心理の具現でもあって。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月22日
同じクラスになれるかどうか、離れ離れになったら寂しいか。嘘と真実を弄びながら、高木さんは西片の真意を確かめる。
最初に素直な気持ちを、耳真っ赤にしながら差し出すのは西片で、それを受け取り高木さんは光の方に進む。
あなたが側にいると、とても嬉しいよ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月22日
シャイボーイの嘘のないメッセージは、思わず彼女を浮足立たせ、椅子から立ち上がらせる。緩む口元を見られないように外を向いて、視界は光に満ちている。
少し遅れて、西片も明るいほうへ進んでいく。その時間差、小悪魔と純情少年のディレイが愛おしい。
嘘つきゲームでは、本音を言ったほうが負け。西片が差し出してくる敗着を受け取った後、その真っ直ぐさにキュンキュンし、相手の言葉に、自分の胸に詰まった甘さを反復する時の細やかな表情変化。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月22日
勝負どころでキッチリ勝つ作画である。
©2019 山本崇一朗・小学館/からかい上手の高木さん2製作委員会 pic.twitter.com/bJBfTHy1SV
西片は気恥ずかしくて目をそらしているので、この変化には気づけ無い。高木さんが存外弱い存在である事実は、僕ら視聴者にしか観測できないのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月22日
しかしカメラは非常に細やかに、高木さんの弾む心、からかいを通じて繋がる嬉しさを切り取る。それを見せないように、必死に強がる純情も。
ここが公開情報になっていて、『高木さんは西片が好きなのか…?』と疑心暗鬼にならずに済むのが、このアニメの強いところだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月22日
相手の心を探るラブコメのスタンダード・レギュレーションは、最初から終わっている。駆け引きは必要ないほどに、二人はお互いが大事なのだ。マジ甘い。
その上で、ダイレクトなモノローグで内面を直接語るのではなく、表情と仕草で推察させるのは演出的な奥行きとしても、高木さんのキャラを守る上でも良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月22日
べらべら自分の本心を喋ってしまっては、ミステリアスだからこそからかわれても追いたくなる"謎としての少女"が壊れてしまう。
本心を言わず、西片に言わせたい高木さんのプライドは、西片だけでなく僕らに対しても守られなければいけない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月22日
気持ちの入ったレイアウト、遮られる視線と切り取られる表情変化、BGMとライティングの変化。映像として"絵"で語る巧さが、上手く少女のプライドを守り、作品の根っこを支えている。
しかし思春期ど真ん中、恥ずかしさと不安を抱え込んだ魂は、なかなか彼氏彼女の関係には踏み込めない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月22日
だからからかいゲームという"形"を通じて、二人はコミュニケーションする。それはとても真っ直ぐで、当たり前にひねくれてもいる年頃の二人が、繋がるための大事なメディアなのだ。
そういう作品の主題、演じられるゲームの意味を再確認する事も出来た、いい仕上がりのエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月22日
合間合間に挟まれる三バカ乙女のホッコリ感が、いい薬味になってもいます。ミナちゃんはご飯たくさん作れて凄いなぁ…あ、サナエちゃんが凄い重さの感情をジト目の奥に隠してる…。
二期は時系列のシャッフルで上手く"揺れ"を作って、強い基本構造をぶん回しつつも飽きさせない、面白い構成になっているようです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月22日
次はどんな季節の中で、恋が踊るのか。その瑞々しさを毎回楽しませてくれて、ありがたいことです。来週も楽しみ。